子宮頸部異形成とは?検査や治療法を徹底解説します

  • クリニックブログ
2024/03/07

子宮頸部異形成とは?検査や治療法を徹底解説します

近年子宮頸がんは20〜30代での発症が増加している疾患です。そのため市町村で行われているがん検診の対象者も20歳以降の方を対象としています。また、子宮頸がんの原因とされるHPVウイルス感染を防ぐHPVワクチンの接種も、2022年から再開されました。
 
この記事で紹介する「子宮頸部異形成」とは子宮頸がんの前段階の状態です。子宮頸部異形成と診断された場合、どのような治療が行われるのか、診断から治療、予防について解説していきます。

 

子宮頸部異形成とは

子宮頸部異形成とは子宮頸がんの前段階です。
子宮頸がんになる可能性のある病変ではありますが、がんではありません。
 
では、子宮頸部異形成の原因は何なのでしょうか?気づくための症状はあるのでしょうか?
子宮頸がんに移行するまでの段階についても解説していきます。

子宮頸部異形成の原因

子宮頸部異形成の原因はヒトパピローマウイルス(HPV)による感染です。HPVに感染することで、正常な細胞が変化した状態を子宮頸部異形成といいます。HPVには100種類以上の種類があり、その中で子宮頸部異形成になりやすい「高リスク型HPV」が少なくとも13種類はあるといわれています。
 
HPVの感染経路は性交渉です。HPVに感染しても、多くの場合自身の免疫力によって自然治癒します。しかし、高リスクHPVに感染し、自然治癒せずに感染が持続した場合や、自然治癒して再び感染することを繰り返した場合、子宮頸部異形成から子宮がんへと進行してしまうケースがあります。
 

子宮頸部異形成の症状

子宮頸部異形成はまれに不正出血などの症状が現れることがありますが、自覚症状がないことが多いとされています。そのため、ほとんどの方が子宮頸がん検診で発見されるといわれています。早期発見・治療のためには、定期的に子宮頸がん検診を受けることが重要です。
 

子宮頸部異形成から子宮頸がんへ移行するまで

子宮頸部異形成は軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)に分類されます。軽度異形成、中等度異形成ではほとんどが自然治癒をするため、定期的な検査を行い、経過をみていくことが多いです。
 
しかし、高度異形成と長期に感染が持続している中等度異形成は、子宮頸がんに移行する可能性が高いため治療を行います。子宮頸がんへ移行するスピードは速くはなく、数年から10年ほどの期間をかけて移行するといわれています。また子宮頸がんには扁平上皮癌と腺がんがあり、全体の割合は扁平上皮がんが約75%、腺がんが約23%です。
 
子宮頸がんの細胞診は以前まで「クラス分類」とよばれる方法で、5段階での結果表示がされていました。しかし、ヒトパピローマウイルス(HPV)関与のエビデンスが取り入れられていないなどの理由から、現在は国際分類である「ベセスダシステム」に基づいた分類で行われています。
 
細胞診の結果は以下の通りです。

細胞診結果 ベセスダシステム分類 クラス分類
陰性 NILM Ⅰ、Ⅱ 異常なし:定期健診
意義不明な異形扁平上皮細胞 ASC-US Ⅱ-Ⅲa 要精密検査:
・ハイリスクHPV検査
・6か月目と12か月目に細胞診再診
・コルポスコピー、生検
HSILを除外できない異形扁平上皮細胞 ASC-H Ⅲa、Ⅲb 要精密検査:
直ちにコルポスコピー、生検
軽度異形扁平上皮内細胞 LSIL Ⅲa
高度異形扁平上皮内細胞 HSIL Ⅲa、Ⅲb-Ⅳ
扁平上皮癌 SCC
異形線細胞 AGC 要精密検査:コルポスコピー、生検、頸管・内膜細胞診または組織診
上皮内腺癌 AIS
腺癌 Adenocarcinoma
その他の悪性腫瘍 other malig. 要精密検査:病変検索

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子宮頸部異形成の診断方法

自覚症状のないことが多い子宮頚部異形成はどのように発見、診断されるのでしょうか?
診断方法について解説します。

細胞診

細胞診は子宮頸部をブラシでこすって採取した細胞を顕微鏡で観察し、異常な細胞がないか確認する検査方法です。子宮頸がん検診で行われる検査の一つとなっています。健診では細胞診のほかに問診、視診、内診をおこないます。

 

コルポスコピー診・組織診

コルポスコピー診とは、細胞診で異常が見つかった場合に行う検査です。コルポスコピーという拡大鏡を使用し、子宮頸部を観察します。その際に採取した組織を検査するのが組織診です。組織診は細胞診よりも診断率が高いとされています。
 

HPV(ヒトパピローマウイルス)検査

HPV検査は「高リスク型HPV」が存在しているかどうかを調べる検査です。検査方法は細胞診と同様、子宮頸部から採取した細胞を調べます。HPV検査は細胞診よりも早い段階で前がん病変を発見できるとされており、子宮頸がん検診への導入が検討されています。

 
 

子宮頸部異形成の治療法

治療を行うのは長期間感染の状態が持続している中等度異形成(CIN2)と、高度異形成(CIN3)の方です。
治療方法は、子宮頸部円錐切除術と子宮頸部レーザー蒸散術の2種類です。

子宮頸部円錐切除術

子宮頸部円錐切除術とは、子宮頸部の病変を電気メスやレーザーで円錐状に切除する方法です。切除した部分の病理検査を行い、子宮頚部異形成および子宮頸がんの段階を確定診断また、切除した断端の組織検査を行うことで、切除しきれていない病変が残っていないか確認します。病変が切除しきれていない「断端陽性」との結果が出た際には、追加治療が考慮されます。

 

子宮頸部レーザー蒸散術

子宮頸部レーザー蒸散術とは、子宮頚部異形成のある部分にレーザーを照射し、病変を焼く手術方法です。痛みが少ないことが特徴のため、手術を行う際の麻酔は痛み止めの座薬または局所麻酔のみで、日帰りの手術が可能です。円錐切除術と比べ術後の出血量が少ないことはメリットですが、病理検査での確定診断ができないというデメリットもあります。

 
 

子宮頸部異形成を予防、早期発見する方法

子宮頚部異形成が子宮頸がんに移行するまで、数年から10年ほどの期間があるといわれています。そのため、早期発見することで経過を観察して自然治癒を確認したり、早い段階で治療をおこなうこともできるのです。
 
こちらでは、子宮頸部異形成の予防、早期発見について解説していきます。

HPVワクチン

HPVワクチンは子宮頸がんを起こしやすい高リスク型HPVの一部の感染を防ぐことができます。HPVワクチンの公費での接種対象年齢は小学校6年生から高校1年相当です。HPVワクチンが一時中止されていた期間に接種機会を逃した方を対象に、2023年現在は対象年齢でなくても接種ができる「キャッチアップ接種」制度がおこなわれています。ワクチンが子宮病変を予防する有効性は16歳以下の接種が最も高いとされていますが、20歳頃の初回接種まではある程度有効性が保たれるとされています。
 
HPVワクチンはHPV感染を予防することが目的のため、すでに感染している方には効果がありません。そのため、HPVワクチンは性交渉を経験する前のHPVに感染していない時期に接種することが望ましいとされています。HPVワクチンは高リスク型HPVの一部の感染を防ぐことはできますが、全ての感染を予防できるわけではありません。ワクチン接種後も定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

 

子宮がん検診

市町村で実施している子宮頸がん検診は、20歳以上の方を対象としていて2年に1回の間隔で受けることができます。検診内容は、問診、視診、細胞診、内診です。
 
2023年現在、20〜69歳の子宮頸がん検診受診率は43.7%と低く、他の年齢層から比べ特に20〜25歳の受診率は15.1%と低くなっています。子宮頸部異形成、子宮頚がんは自覚症状がほとんどなく進行していく疾患です。そしてがん検診で発見できる疾患でもあるため、定期的に検査をすることが早期発見につながります。

 

子宮頸部異形成にがん保険は適応される?

がん保険に加入していて子宮頸部異形成と診断された場合、保険の保障対象外となります。理由は、子宮頚部異形成は子宮頸がんの前段階であり、がんではないためです。
 
そして、まだがん保険に加入していない方で子宮頸部異形成と診断された場合、がん保険の加入が難しいとされています。しかし子宮頚部異形成は自然治癒の可能性があるため、定期的に検査を受けて状態がよくなった場合に加入することができるケースもあります。


 

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まとめ

子宮頸がんの前段階である子宮頸部異形成は、ワクチン接種で予防ができ、子宮頸がん検診で早期発見することができる疾患です。早めに発見することで子宮頸がんへの移行を食い止められる可能性を高めることができるため、予防接種を受けておき、定期的に検診を受けるようにしましょう。


 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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