風疹の恐ろしい合併症とは?予防ワクチンとあわせて解説
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風疹の恐ろしい合併症とは?予防ワクチンとあわせて解説
昨今では多くの予防接種を受けることが義務付けられています。なかでも風疹は、予防接種を行っていない妊婦の方が発症すると、重症化してしまうだけでなく、お腹の赤ちゃんを危険な目に晒してしまうおそれがあり大変危険です。
今回は危険な病気である風疹について、ご紹介します。予防接種のワクチンや重篤な症状を引き起こす合併症についても解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
風疹とは
それではまず、風疹とは何かということについて解説いたします。
風疹ウィルスによって起こる感染症
風疹は風疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。かつては5~6年おきに流行していましたが、政府や自治体が予防接種や風疹に関する研究を進めたことにより、現在では大規模な流行はみられなくなりました。日本ではウイルスの抑制にほぼ成功しているものの、海外では未だ風疹の影響は大きく、海外からウイルスが持ち込まれることもあります。
また最近では新型コロナのワクチンと同時接種ができなかったために接種を控える方が多く、海外では再び流行の兆候がみられています。海外からのウイルス感染のリスクを抑えるためにも、予防接種を行うことがおすすめです。
麻疹との違いは
風疹は別名を「三日はしか」ともいい、麻疹(はしか)のウイルスや病状などが非常によく似ていますが、全く別のウイルスです。麻疹(はしか)ほどのウイルスの強さはなく、発症が出る期間の長さや合併症が起こる頻度も風疹のほうが弱いとされています。
しかし、麻疹(はしか)より弱いとはいえ、風疹は重篤な症状を引き起こしてしまうおそれもあるため、決して軽視したりしないよう注意しましょう。
3~4日ほど熱が出ることもある
風疹ウイルスを体に取り込んでしまうと、2~3週間ほどの潜伏期間の後に症状があらわれます。症状としては、体のいたるところに虫刺されのような赤い発疹が出て、それにともない発熱や首のリンパ節の腫れがみられるようになるのが特徴です。熱はおよそ3〜4日ほどで下がるとされており、ほとんどが軽症であるといわれています。
しかし、中には感染しているにも関わらず、ほとんど症状が表立ってあらわれない「不顕性」と呼ばれる状態の方もいます。知らないうちに他者へ感染させてしまっているおそれがあるため、高い熱が出ていなくとも、風疹と診断された際は無用な外出を控えるようにしましょう。
1人の患者から多数へ感染する
風疹ウイルスは、1人の感染者から周囲の5〜7人に感染するほど強力な感染力をもっています。主な感染経路としては、つばやくしゃみによる飛沫感染です。発疹が消えるまでの1週間前後はウイルスが健在であるとされているため、発疹が見られる間は他者へウイルスをうつしてしまうおそれがあります。
特に妊娠中の方が近くにいる場合は注意が必要です。予防接種を受けられていなかった妊娠20週ころまでの妊婦の方が風疹にかかってしまった場合、お腹の赤ちゃんに先天性障害などの悪影響を及ぼしてしまうおそれがあります。
また妊娠中はワクチンの接種が受けられないうえ、使用できる薬にも制限があるため、重篤な状態になることがあります。妊娠の予定がある方は、自身も含めご家族などの周囲の方も予防接種を受けているかを確認するようにしましょう。
風疹ワクチンで予防できる
風疹の最も有効な予防は、ワクチンによる予防接種です。
ここでは、予防接種として使用されるワクチンについて解説いたします。
MRワクチンで予防する
MRワクチンは、「麻疹・風疹混合ワクチン」とも呼ばれ、麻疹(はしか)と風疹のどちらの抗体も作り出してくれるものです。混合ワクチンは複数の病気の抗体となる成分を溶け合わせたもので、単発で受けるワクチンと同様の効果をもたらしてくれます。そのため、単発でワクチンを受ける必要がなくなり、手間と時間の大幅な短縮が可能となりました。
MRワクチンで免疫を獲得できる確率は、1回目の接種で約95%、2回目の接種では約99%とされています。確実に抗体を体内で作っておくためには、2回の接種がおすすめです。MRワクチンは1歳から受けることができますが、地域で流行していることが認められた場合、生後6ヶ月からでも受けることもできます。2回目は小学校に入学した年の4月〜6月に受けるのが適切です。
昭和37年度~昭和53年度生まれの男性は無料で接種を受けられる
風疹の予防接種は1977年に開始されましたが、当初は女児のみの接種で良いとされていました。しかしその結果、現在において広い世代の男性に風疹が認められたため、政府は追加対策として2025年3月まで、昭和37年~53年度生まれの男性が風疹ワクチンを無料で接種できるようにしたのです。
症状が出ていなくても感染しているおそれがあるため、仕事の仲間や家族にうつしてしまわないためにも、予防接種は積極的に受けるようにしましょう。
副作用で熱が出ることもある
MRワクチンの副反応として、接種後1週間ほどで熱を出してしまうことがあります。しかし、2日程度でおさまることが多く、入院などの措置が必要になることは滅多にありません。
また、アレルギー反応によるアナフィラキシーを起こしてしまうことがあるため、けいれんや普段みないような症状が出た場合は、即座に医療機関へ連絡してください。
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風疹の合併症
風疹は症状が重篤になってしまった際に、恐ろしい合併症を併発するおそれがあります。
主に可能性がある合併症は以下の2種類です。
- ● 急性脳炎
- ● 血小板減少性紫斑病
急性脳炎
脳炎とは頭蓋骨と脳の間にある髄膜や髄液にウイルスが侵入することで、脳に炎症を起こしてしまう病気です。風疹ウイルスの場合は6,000人に1人という稀な確率で、発疹が出始めてから1日〜8日後に脳炎を発症することがあります。
意識を失ったりけいれんしたりするほどの重篤な脳炎になってしまうことは稀ですが、風疹を発症した際に脳炎を併発するのは子供よりも大人の方が引き起こしてしまう頻度が高いとされています。
血小板減少性紫斑病
血小板減少性紫斑病とは、ウイルスを駆逐するはずの抗体が、なんらかの原因により自分の血小板まで攻撃してしまい、血小板が減り続けてしまう病気です。風疹が完治した数週間後に血が止まらなくなるなどの症状が出てしまうことがあり、3,000人に1人の割合でこの血小板減少性紫斑病を発症すると言われています。
なぜ自身の血小板まで攻撃してしまうのかは未だ解明されていませんが、約半年から1年ほどで自然と血小板の数値が戻るようです。その後も慢性的に血小板の量が減ってしまう後遺症が残ってしまうことがありますが、慢性型に移行するのはおよそ10%ほどとされています。
まとめ
今回は、風疹について解説いたしました。今まで風疹になっておらず、予防接種を受けたことがないという方は、重症化を防ぐためにも予防接種を受けるのがおすすめです。
特にお腹に赤ちゃんのいる妊婦の方が周囲にいる場合は、赤ちゃんとお母さんを守るためにも必ず受けましょう。自治体ごとに風疹の対策が行われているため、市役所などで確認しておくことが大切です。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師