レジオネラは家庭でも感染する?感染経路や治療法・ワクチンを解説

  • クリニックブログ
2024/01/05

レジオネラは家庭でも感染する?感染経路や治療法・ワクチンを解説

レジオネラ症は、免疫が低い方が感染すると命の危険がある感染症として知られています。
しかし、家庭内でも感染することは、あまり知られていません。
入浴施設で感染するイメージがある方もいると思いますが、対策をしなければ家庭内でも感染する可能性は十分にあります。
 
本記事では、レジオネラ症の感染経路や治療法、ワクチンについて解説します。

 

レジオネラ症とは

レジオネラ症がどのような病気なのか、原因や症状、潜伏期間、レジオネラ属菌について解説します。

概要・原因

レジオネラ症は、1976年にアメリカの会議センターで重症肺炎の集団感染が起き、はじめて確認された感染症です。
治療しなければ1週間で悪化します。
レジオネラ肺炎を発症すると呼吸器不全や多臓器不全に進行し、命を落とすケースがあります。
 
発症原因は、水や腐葉土などに含まれるレジオネラです。
感染が成立する細菌量はいまだ不明ですが、免疫が低下している方は細菌量が極小量でも感染する可能性があると考えられています。
 

症状・潜伏期間

レジオネラ症は肺炎(在郷軍人病)と非肺炎性(ポンティアック病)の感染症をまとめて呼ぶ名称です。
以降では、各疾患の特徴を解説します。
 

レジオネラ肺炎(在郷軍人病)

レジオネラ肺炎(在郷軍人病)は、急激に重症化するケースがあるのが特徴です。
呼吸不全や多臓器不全を引き起こす進行性の肺炎を発症し、亡くなることがあります。
2日〜10日の潜伏期間があり、主な症状は以下のとおりです。

 

  • ● 発熱
  • ● 食欲不振
  • ● 頭痛
  • ● 倦怠感・無気力など

 
人によっては、上記に加えて筋肉痛や下痢、最悪の場合昏迷を起こします。
初期症状には軽い咳がみられ、ときに血混じりの痰や血痰の症状があらわれることもあります。
 

非肺炎性(ポンティアック病)

非肺炎性(ポンティアック病)は、他人に感染しないインフルエンザのような病気で、厚生労働省によると命を落とす危険性はないとされています。
潜伏期間は数時間から48時間の急性疾患で、主な症状は以下のとおりです。

 

  • ● 発熱
  • ● 悪寒
  • ● 頭痛
  • ● 筋肉痛
  • ● 倦怠感

 
上記の症状は、約2日〜5日間ほど続きます。

 

レジオネラ属菌とは

河川や湖水温泉や土壌などに生息している細菌です。
基本的に、自然の環境下で存在しているときは体に悪影響を及ぼしません。
人工水循環設備に侵入して増殖し、 微細な水滴とレジオネラ属菌を一緒に吸い込むことで感染し、病気を引き起こします。
特徴として、20〜50℃の水まわりに生息し、最適温度の35℃になると増殖が活発化します。

 
 

感染経路は?人から人にうつる?

人から人への感染はありません。
主な感染経路は、家庭内のお風呂や入浴施設です。
家庭内のお風呂や入浴施設でどのようにして感染するのか詳しく解説します。

感染方法は3通り

主な感染経路は、エアロゾル感染、吸引・誤嚥、土壌からの3つです。
エアロゾルとは、目に見えないほどの微細な粒子をさし、レジオネラ症のエアロゾル感染はその微細な水滴を浴びたり吸引したりすることによる感染をいいます。
 
吸引や誤嚥による感染は、汚染された水の温泉施設や河川で溺れて汚染水を飲んでしまった場合に起こります。
土壌からの感染は、レジオネラ属菌が含まれる腐葉土の粉じんを吸い込んだことが原因と考えられていますが、はっきりとはわかっていません。
 

家庭内

家庭内感染でよく見られる感染経路は、エアロゾル感染と吸引・誤嚥です。
腐葉土を扱うような農家の家庭では家族間での感染は見られないものの、腐葉土を扱う本人が感染する可能性があります。
 
家庭内感染を引き起こす主な原因には以下があげられます。
 

  • ● 循環式を起用した浴槽のお湯張り・追い焚き
  • ● 加湿器の使用
  • ● ジェットバス・スパの使用
  • ● 空調機の冷却塔でのレジオネラ属菌の生息・増殖

 

温泉施設

温泉施設では、 大型の施設になるほど感染リスクがあがります。
大型の施設は使用する湯量や水量を節約するために構造が複雑になっており、レジオネラ属菌が好む環境です。
特に露天風呂は外にあるため、汚染を受けやすい傾向にあります。

 
 

予防法は?ワクチンはある?

レジオネラ症を予防できるワクチンはまだ開発されていません。
よって、免疫が低い人は、入浴施設のジャグジー付近に近寄らない、家の浴槽をしっかりと洗うなどして対策する必要があります。
家庭内でできる予防策や入浴施設などの予防策を詳しく紹介するので、ぜひ実践してください。

家庭内での予防策

家庭内でできる予防策は以下のとおりです。
 

  • ● 浴槽内を毎日あるいは定期的に洗う
  • ● 空調機の冷却塔を定期的に清掃や消毒、メンテナンスする
  • ● 空調機にエリミネーターを導入する
  • ● 自宅内で使用していない蛇口があれば、 週に1回洗い流す

 
浴槽内はレジオネラ属菌が増殖しやすい水温であるため、掃除をしないと感染リスクが高くなります。
浴槽内に汚れやバイオフィルムが生じないよう清潔を保ちましょう。
 
また、エリミネーターは、冷却塔からのエアロゾルの拡散防止に役立ちます。
空調機を取り扱うメーカーや企業に相談しましょう。
もし、未使用の蛇口がある場合は、洗い流すと水の停滞を解消でき菌の増殖を抑制できます。
 

入浴施設での予防策

入浴施設での予防策は、基本的に施設のスタッフがきちんと消毒や清掃を行っているかどうかにかかっています。
 
施設の使用者としてできる対策は主に2つです。
 

  • ● 水しぶきがあがるような場所に近寄らない
  • ● 露天風呂を入浴する前満杯状態または溢水状態かをチェックする

 
免疫が低い方あるいは免疫が下がっていると思われる方は、ジャグジーなどの水しぶきが立ちやすい場所から離れることで感染の予防が可能です。
 
また、汚染しやすい露天風呂は「自然環境の浮遊物を除去するために満杯状態・溢水状態を保つ必要がある」とされています。
よって、満杯状態・溢水状態が保たれている場合、入浴施設は対策にきちんと取り組んでいると判断できるでしょう。
 
 
厚生労働省の「レジオネラ症の知識と浴場の衛生管理」 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/legionella/about.html

 
 

レジオネラ症の診断・治療法

レジオネラ症の診断方法と治療法を解説します。
医療機関でどのように検査・診断され治療が行われるのか知りたい方は、ぜひご覧ください

診断方法

基本的に、温泉や入浴施設の利用歴を確認した上で検査を行います。
検査方法は以下の4つです。
 

  • ● 尿中抗原検査キット
  • ● 抗体検査
  • ● 鏡検・培養検査
  • ● 遺伝子検査

 
以前の尿中抗原検査キットは血清型1のみ診断できましたが、2019年2月に血清型1-15のすべてを対象としたキットが登場したため、血清型1以外も診断可能となりました。
ただし、尿中抗原検査はレジオネラ症の既往歴がある場合、陽性の反応を示すことがあります。
 

治療法

レジオネラ肺炎の場合、細菌感染症の治療を行うため、次の抗菌薬で治療可能です。
 

  • ● マクロライド系
  • ● ニューキノロン系
  • ● リファンピシン など

 
対してポンティアック熱は自然に軽快することが多いため治療する必要がありません。


 
 

まとめ

レジオネラ症は温泉施設だけでなく、家庭内の浴槽を介して感染する可能性があります。
とくにレジオネラ肺炎は重症化するリスクがあり、命を落とす危険性もあるため早めの受診と治療が大切です。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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