ポリオ(急性灰白髄炎)とは?小児の病気?感染する前にワクチンで予防!

  • クリニックブログ
2023/12/19

ポリオ(急性灰白髄炎)とは?小児の病気?感染する前にワクチンで予防!

ポリオは、日本では珍しい感染症ですが、中近東やアフリカでは現在でも多くの方が感染しているウイルスによる病気です。
主に小児が感染しますが、ポリオが発生している国に渡航歴がある大人も感染します。
 
この記事では、ポリオがどのような病気で、どのように感染するか、症状や治療法、さらに小児が感染しないように予防接種が受けられる場所やスケジュールについても解説します。
中近東やアフリカに旅行計画や、妊娠中の女性や小児の両親は最後まで読んで、ぜひ参考にしてポリオに感染しないように予防してください。

問診中の男性医師
 
 

ポリオ(急性灰白髄炎)はワクチンで予防できる主に小児のウイルス疾患

ポリオは、別名急性灰白隨炎という感染症で、主に小児が感染しますが重症化すると小児麻痺になることもあります。
しかし、ポリオはワクチンの有効率が高く、予防ができるウイルス疾患です。

ポリオはウイルス感染で主に小児がかかる病気

ポリオという名前を聞いたことがありますか?
急性灰白隨炎という感染症で、別名を脊髄性小児麻痺ともよばれ、主に小児が感染する疾患です。
日本では乳幼児の頃にワクチン接種を受けるため、日本ではほとんど感染者がみられない感染症です。
 

ポリオにかかると小児麻痺になることもある

ポリオは、急性麻痺がおこる感染症です。
ポリオウイルスに感染すると、ほとんどは発症しませんが、発症者は感染者全体の5%程度で、そのうち1~2%の感染者が髄膜炎になって麻痺が残り後遺症になるといわれています。

 
 

ポリオ(急性灰白髄炎)とは?感染経路について

ポリオはどのように感染するのでしょうか?
感染経路や大人も感染するのかについて理解しましょう。
ポリオは日本では珍しい感染症ですが、中近東やアフリカに渡航予定がある方は注意が必要な感染症です。

ポリオウイルスはどのように感染するの?

ポリオの感染者はほとんどが乳幼児です。
ポリオウイルスが口の中に入り、咽頭や腸の中でウイルスが増加したポリオウイルスが血液中に入ります。ポリオウイルスは感染者の便から他の方に移ります。
 
咽頭で増加したポリオウイルスは、発症後1週間するとつばなどの咽頭分泌液にはみられなくなりますが、便中に排泄されたウイルスは、症状の発症後も数週間にわたりウイルスを排泄するので感染源になります。
 

大人もポリオに感染することはある?

中近東やアフリカに感染者が多く、日本では珍しい感染症のポリオですが、これらの国に渡航歴がある大人が感染することもあります。

 

 渡航前ワクチンについてはこちら

詳しくはこちら

 

ポリオ(急性灰白髄炎)の症状や症状別の治療法

ポリオの症状や治療法はどのようなことをするのでしょうか?
初期症状や治療についても理解が必要です。

ポリオは感染後3~35日以内に現れる症状はさまざま

ポリオに感染して症状が現れるのは感染者全体の約5%で、数日から1ヶ月程度の潜伏期間の後、初期症状が現れます。
 

<初期症状>

  • ● だるさ
  • ● 背中の痛み
  • ● 首の後ろの痛み

 
その後、風邪のような初期症状が1~10日程度続きます。
 

  • ● 発熱
  • ● 頭痛
  • ● のどの痛み
  • ● 吐き気
  • ● 嘔吐

 
初期症状の後、1~7日程度の期間をあけて腸管に入ったウイルスが脊髄に入り込み、筋肉痛、手足のだらんとした麻痺(弛緩性麻痺)が現れ、一生麻痺が残ることもあります。
呼吸困難の症状が現れた場合には、最悪死に至ることもあります。
 

治療は症状に応じた対症療法

ポリオの治療には、ポリオそのものを治療する特効薬がないため、それぞれの症状をやわらげるための対症法しか治療法が確立されていません。
麻痺にはリハビリテーションを行い、呼吸障害には気管切開、気管挿管、補助呼吸が行われます。
 

  • ● 麻痺: リハビリテーション
  • ● 呼吸障害: 気管切開、気管挿管、補助呼吸

 

ポリオ(急性灰白髄炎)を予防する方法とは?

ポリオは乳児の期間にワクチン接種を開始することで予防ができる感染症です。
 

小児がポリオワクチンを受けるのは生後3ヶ月から

ポリオの予防にはワクチンを受けることが推奨されています。
ポリオワクチンを接種すると、99%の人に抗体獲得の効果があることが報告されています。
 
出典:厚生労働省 公式サイト「ポリオについて」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/polio/polio/
 
ポリオワクチンは、生後3ヵ月~12ヵ月の間に初回ワクチンを接種し、その後は20~56日間の間隔をあけて3回繰り返してワクチン接種を行います。
3回のワクチン接種後、追加接種として12ヵ月~18ヵ月の間に1回のワクチン接種を受けます。合計4回のポリオワクチン接種を乳児の間に受ける必要があります。
 
ポリオワクチンは、一般的に乳幼児の期間に接種しますが、小学生以上や成人になってからワクチン接種を受けることもできます。
成人で感染がみられる地域へ行く場合に、接種経験が無い、接種回数が不完全、接種の既往がわからない方は、4〜8週間隔で2回の接種、2回目から6〜12ヵ月後に3回目の接種をしてください。
 
ポリオワクチン接種後には、副反応が生じることがあります。
極めて稀に重篤な副反応が起こることがありますので、接種後に何か気になることが起こった場合、速やかに医師に相談してください。

 

<比較的見られる副反応>

  • ● 発熱
  • ● 発疹
  • ● ワクチン接種部分の腫脹

 

<稀に見られる重篤な副反応>

  • ● アナフィラキシー
  • ● 血小板減少性紫斑病

 

 
 

まとめ

ポリオは日本では稀な感染症なので、診断や治療ができる医療機関を探すのが困難な病気です。
しかし、中近東やアフリカでは感染する方も多く、人から人へウイルス感染をするリスクもあります。
小児がポリオに感染すると小児麻痺や、最悪の場合は死に至るリスクもあるために、生後3ヶ月から予防接種が受けられます。
大人も感染するリスクがあるので、ポリオについて知識を備えて、大切な家族を守るために小児には予防接種、大人も感染対策を行うことが大切です。
 
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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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