アナフィラキシーショックの原因や症状は?予防や治療についても解説

  • クリニックブログ
2023/11/14

アナフィラキシーショックの原因や症状は?予防や治療についても解説

「卵アレルギーで意識不明になった」
「蜂に刺された方が、その後亡くなった」
「予防接種を受けたあと、体調が急変した方がいる」
 
このような話を見聞きしたことがある方もいるのではないでしょうか?
これらは、アナフィラキシーショックという急激なアレルギー反応が原因とされています。
 
この記事では、アナフィラキシーショックの原因や症状、治療法などについて詳しく解説いたします。

採血中の看護師
 
 

アナフィラキシーショックとは

アナフィラキシーショックとは、きわめて短期間で体の広範囲にわたって症状が出現する、強いアレルギー反応のことです。
症状の程度によっては、生命の危険にさらされるおそれもあります。
 

アナフィラキシーショックでの死亡者数

厚生労働省の人口動態統計集計によると、2001年から2020年までにアナフィラキシーショックで亡くなった方は合計で1161人でした。平均すると1年間に58人です。
 
死亡者数が最も多かったのは2013年で、77人の方が亡くなられています。
 

アナフィラキシーショックが疑われるケース

以下の3つにあてはまる場合は、アナフィラキシーショックであることが強く疑われます。
 
1:じんましんやかゆみなどの皮膚症状や、くちびるやまぶたの腫れなどの粘膜症状、もしくはその両方が数分から数時間のうちに発症する。
かつ、呼吸器症状もしくは循環器症状のうち1つ以上をともなう。

  • ● 呼吸器症状(息切れやせき、ヒューヒューという呼吸時の音)
  • ● 循環器症状(血圧低下、失神や失禁)

 
2:アレルゲンになり得るものに触れたあと数分から数時間のうちに、以下の症状が2つ以上現れる。

  • ● 皮膚、粘膜症状(じんましんやかゆみ、くちびるやまぶたの腫れ)
  • ● 呼吸器症状(呼吸困難、息切れやせき、ヒューヒューという呼吸時の音)
  • ● 循環器症状(血圧低下、失神や失禁)
  • ● 消化器症状(腹痛や繰り返す嘔吐)

 
3:アレルゲンになり得るものに触れた後数分から数時間のうちに、急速に血圧が低下する。
急速な血圧の低下とは、収縮期血圧(最高血圧)が平常時の70%未満、もしくは以下の基準に該当するものです。

  • ● 生後1~11か月:70mmHg
  • ● 1~10歳:70mmHg+(年齢×2)
  • ● 11歳~成人:90mmHg

 
 

アナフィラキシーショックの原因

ここでは、アナフィラキシーショックが発生する原因のうち、食物、昆虫、医薬品の3種類について解説します。
 

1.食物

食物によるアナフィラキシーショックは頻度が多く、全ての年齢で発症が認められますが、特に多いのは乳幼児や学童期の子どもが発症するケースです。
 
日本では、卵、乳製品、小麦製品、ナッツ類によるアナフィラキシーショック発症が多いとされています。
アナフィラキシーショックの原因を年齢別でみると、0〜3歳では卵、4〜6歳では牛乳、7〜19歳では落花生、20歳以上では小麦が主な原因であるという研究結果もあります。
 

2.昆虫

ハチやアリ、ムカデなどの昆虫も、アナフィラキシーショックの原因の1つです。
 
昆虫の中でも特に危険なのがハチです。
ハチの被害は、夏から秋にかけて多く、ピークは8月頃といわれています。
そして、ハチによるアナフィラキシーショックは重症化しやすいとされています。
 
人を刺す習性があるハチは、アシナガバチやスズメバチ、ミツバチです。
ハチに2回刺されるとアレルギー反応が強くなり、アナフィラキシーショックを引き起こしやすくなるといわれています。
 
ハチに刺されないためには、さまざまな注意が必要です。
山や森に行くときには、肌の露出や黒い衣服を避ける、ハチを見かけたら手で払いのけたりせず、静かにゆっくりと離れるといったことが注意点としてあげられます。
 

3.医薬品

アナフィラキシーショックを引き起こしやすい医薬品としては、
 

  • ● 抗生物質
  • ● 抗がん剤
  • ● 生物学的製剤
  • ● 解熱鎮痛剤
  • ● 造影剤
  • ● 血液製剤
  • ● 局所麻酔薬
  • ● 筋弛緩剤

 
などがあります。
医薬品によるアナフィラキシーショックは、昆虫(ハチ)と同様、重症化しやすいものです。また、予防接種でアナフィラキシーショックが発症する可能性もゼロではありません。
 
そのため、医療機関を含む予防接種会場では、もし接種者がアナフィラキシーショックを起こしても、すぐに対応できるように準備をしています。

 
 

アナフィラキシーショックの症状

アナフィラキシーショックの主な症状としては、以下のようなものがあげられます。
 

  • 1. 皮膚症状
  • 2. 呼吸器症状
  • 3. 粘膜症状
  • 4. 消化器症状
  • 5. 神経症状

 

1.皮膚症状

主な皮膚症状は以下のとおりです。
 

  • ● じんましん
  • ● 皮膚のかゆみ
  • ● 皮膚の赤み
  • ● 湿疹

 
じんましんや湿疹、皮膚の赤みは、軽症なら部分的な症状ですが、重症になると全身に広がります。皮膚のかゆみは、軽症の場合は我慢できますが、重症になると我慢できないこともあります。
 

2.呼吸器症状

主な呼吸器症状としては、以下のようなものがあります。
 

  • ● くしゃみ
  • ● せき
  • ● 息苦しさ
  • ● 声のかすれ
  • ● 喘鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイといった音)

 
軽症の場合、くしゃみやせきは数回でおさまりますが、重症になると何度も続き、「犬が吠えるような」強いせきになります。
そして、息苦しさが重症化すると、呼吸困難になり、呼吸が停止する可能性もあるのです。
 

3.粘膜症状

粘膜症状として挙げられるのは、主に以下のとおりです。
 

  • ● 目の充血
  • ● まぶたや唇が腫れる
  • ● 涙が出る
  • ● 立毛(鳥肌が立つ)

 
粘膜症状で、まぶたや唇など、一部分が腫れるのは軽症例です。
重症化すると、顔全体の腫れにつながります。
 

4.消化器症状

主な消化器症状としては、以下のようなものがあります。
 

  • ● 吐き気
  • ● 嘔吐
  • ● 下痢
  • ● 腹痛

 
軽症の場合は吐き気だけで済む、もしくは嘔吐や下痢も回数が少ないのですが、重症化するにつれて回数が増えてきます。
腹痛も重症になると、我慢できないくらいの強い痛みになってくるのです。
 

5.神経症状

神経症状として挙げられるのは、主に以下のとおりです。
 

  • ● 頭痛
  • ● 元気がなくなる
  • ● 意識がもうろうとする
  • ● 意識がなくなる
  • ● 失禁する

 
意識がなくなる、失禁する、もしくは血圧の低下といった症状が出ている場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

 
 
 

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アナフィラキシーショックの対応及び治療

アナフィラキシーショックの症状が起きたときの対応および治療法は、
 

  • 1. 症状発生時の対処
  • 2. 医療機関での処置
  • 3. 症状が落ち着いてからの対応

 
に分かれます。
 

1.症状発生時の対応

アナフィラキシーショックと思われる症状が現れたら、すぐに救急車を呼びましょう。
症状を訴えている方が、アドレナリン自己注射を持っている場合は、自己注射を行います。
 
意識がない、症状が出ているのが乳児など、患者本人が自己注射できない場合は、家族など周りの方が注射を行ってください。
救急車の到着を待っている間の対応は、主に以下のとおりです。
 

  • ● 両足を挙げたあおむけの姿勢を取らせる
  • ● 吐き気や嘔吐がある場合は、顔を横に向ける
  • ● 衣服をゆるめる
  • ● 体の震えなどが見られたら毛布などで保温する

 
もし意識がない場合は、心臓マッサージやAED操作などの心肺蘇生を行いましょう。
 

2.医療機関での治療

医療機関では、早急な治療が行われます。
主な治療内容は以下のとおりです。
 

  • ● アドレナリン投与(筋肉注射)
  • ● 酸素投与
  • ● 生理食塩水や乳酸リンゲル液などの点滴(心停止予防の処置)
  • ● 症状に応じて、アドレナリン以外の薬剤投与

 
アナフィラキシーショックが重症化すると、のどの部分が腫れてしまい、気道がふさがってしまう可能性があります。その結果、呼吸が困難になるので、回復のため気管内にチューブを挿入して気道確保を行います。
 
ひととおりの治療後は、呼吸や血圧、脈拍、酸素濃度などの数値を把握して、全身状態を注意深く観察することが必要です。
 

3.症状が落ち着いた後の対応

症状が落ち着き、病院から帰宅(退院)する際には、医師から今後の予防について指導を受けることが一般的です。アドレナリン自己注射の処方及び指導を受けるケースが多くあげられます。
 
また、今後の予防として、アレルゲン特定のための検査を受ける場合もあります。その際は医師の指示に従ってください。検査は、アレルギー専門医で受ける場合もあります。
 

少なくとも24時間の経過観察が必要

アナフィラキシーショックの中には、遅発型、遅発性と呼ばれるタイプのものがあります。アレルギー物質に触れてから3〜6時間程度で発症するものが遅発型、それ以降になってから発症するものが遅発性です。
 
実際にかにを食べて、5〜6時間後に強い皮膚症状が現れて、一度は回復したものの、24時間以上経ってから再び症状が現れて、ショック状態になったという事例もあります。
そのためアナフィラキシーショックの場合は、少なくとも24時間は経過観察が必要です。
24時間以上経過したあとにも症状が出る場合もあるので、そのときは速やかに医療機関を受診しましょう。

 
 

まとめ

この記事では、アナフィラキシーショックの原因や症状、治療について解説しました。
アナフィラキシーショックは、強いアレルギー反応であり、命に関わる可能性もあります。
 
食物や医薬品など身近なところで発症する危険も多く、季節によっては、ハチに刺されないように注意する必要もあります。
ご自身やご家族の命を守るためにも、正しい知識と対応を知っておきましょう。もし、アナフィラキシーショックと思われる症状が現れた場合は、一刻も早く医療機関を受診してください。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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