日中の強烈な睡魔は「ナルコレプシー」かも?!症状や原因を詳しく解説
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日中の強烈な睡魔は「ナルコレプシー」かも?!症状や原因を詳しく解説
「最近、居眠りを起こしてしまう」
「驚いたり笑ったりしたあと、急に身体の力が抜ける」
これらの症状は、実は「ナルコレプシー」という睡眠障害が原因かもしれません。
この記事では、睡眠障害の中でも居眠り病と言われるナルコレプシーについてご紹介します。
また、具体的な症状や2つの診断方法、治療内容まで詳しく解説します。睡眠の質が低下し、似たような症状でお悩みの際はぜひ参考にしてください。
居眠り・怠け病と言われるナルコレプシーとは
ナルコレプシーは約1000人に1人の割合で発症するといわれており、代表的な症状としては以下の3種類です。
- ● 日中に何度も強い眠気に襲われる
- ● 突然手足の力が抜ける
- ● 睡眠時には幻覚や金縛りが起こる
日中に何度も強い眠気に襲われる
ナルコレプシーの症状として、日中に何度も強い眠気に襲われるということがあります。
例えばこのような症状は、会議中や授業中などに突然眠ってしまうため、周りからはやる気が感じられないなどと誤解されてしまうこともあるようです。
このような症状が続くことで、ストレスを溜めやすくなる可能性があるため、ナルコレプシー患者の方は注意が必要です。
全身や手足の力が抜けてしまう
ナルコレプシーの身体的な反応として、手足の力が急にガクッと抜けることがあります。
このような症状は、びっくりした拍子や大笑いをしたあとに起こります。
突然気を失ったように眠ってしまうことから、周囲の人から度々心配されることがあるかもしれません。
睡眠時に幻覚や睡眠麻痺が起こる
ナルコレプシーの症状のひとつに、睡眠麻痺状態に陥る「金縛り」などがあります。
また、誰もいない場所から声が聞こえる幻聴症状を訴える方もいます。
正夢のように鮮明な映像が見ることも多いため、このような体験をすると眠りにつくことに恐怖を覚える方もいるかもしれません。
ナルコレプシーが起きる原因が不明なのはなぜ?
ナルコレプシーの原因については、以下のように考えられています。
- ● 明確な「原因は不明」とされている
- ● ナルコレプシーは遺伝疾患ではない
- ● 後天的な「環境的要因」が大きい
- ● 自らの身体を攻撃する「自己免疫反応」の可能性もある
明確な「原因は不明」とされている
ナルコレプシーが起きるのは、環境的な変化や誘発する疾患が関係していると考えられていますが、正確な原因は現在も不明とされています。
原因が不明だと「死に至る病なのではないのか」など不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ナルコレプシー自体は死亡率が高い疾患ではないため、治療方法なども含めて冷静に判断する必要があります。
ナルコレプシーは遺伝疾患ではない
ナルコレプシーは、遺伝疾患ではないと考えられています。
このほかにも、ナルコレプシー患者の中には、似た遺伝子をもつ方が発見されていますが、こちらも原因とはされていません。
このことから、近親者にナルコレプシー患者が居たとしても、直接遺伝するとは限らないでしょう。
後天的な「環境的要因」が大きい
ナルコレプシーは、生まれてから変化する後天的要因が関係しています。
例えば、インフルエンザなどのウィルス感染や、環境変化が大きい転職などのストレスです。
このようなストレスが蓄積されて、発症しやすくなると言われています。
自らの身体を攻撃する「自己免疫反応」の可能性
ナルコレプシーが起きる原因として、自己免疫反応が関係しているのではないかと考えられています。
細菌や病原菌から自らの身体を守るために自己免疫反応が起こり、この反応が脳の神経細胞を攻撃してしまう可能性があるとされています。
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ナルコレプシーには1型と2型が存在する
ナルコレプシーは1型と2型の種類に分けられます。
- ● 「1型」は突然眠ってしまうなど動作発作を生じる
- ● 「2型」は脱力発作を伴わない
それぞれ詳しく解説していきます。
「1型」は突然眠ってしまうなど動作発作を生じる
ナルコレプシー1型は、日中の過剰な眠気や突然眠り込む「情動脱力発作」を起こします。
特徴は、十分な睡眠を確保しているが日中に何度も眠ってしまう、喜怒哀楽など感情が高ぶった際に身体の力が抜けるなどです。
眠気が起きやすいタイミングとして、単調な作業やテレビの流し見など、退屈した場面に起きやすいとも言われています。
「2型」は脱力発作を伴わない
ナルコレプシー2型は強い眠気を感じたあと、全身・身体の一部に力が入らなくなる動作的発作は起こりません。
加えて過眠症の検査で用いられる睡眠潜時反復検査では、眠りにつくまでの時間(入眠時間)の計測が行われます。
このような検査で、睡眠を開始するまでに要した時間(睡眠潜時)が8分以下の場合は2型と診断されるでしょう。
ナルコレプシー|診断や治療・改善方法
ナルコレプシーには2つの検査と治療・改善方法があります。
- ● 睡眠ポリグラフ検査
- ● 疲労と眠気を区別する睡眠潜時反復検査
- ● 「根治的治療は確立されていない」
- ● 生活習慣の改善と適切な薬物療法を続ける
それぞれの項目にしたがって詳しく解説していきます。
一晩かけて行う睡眠ポリグラフ検査
ナルコレプシーの1つ目の診断方法は、ポリグラフ検査です。
ポリグラフ検査とは、脳波や眼球の動きを記録するもので、ホテル・睡眠施設・病院などで一晩かけて行われます。
全身に電極を貼りつけ、睡眠時の心拍数・筋肉の動き・呼吸なども計測されます。
疲労と眠気を区別する睡眠潜時反復検査
ナルコレプシー診断の2つ目は、睡眠潜時反復検査です。
睡眠潜時反復検査では、身体的な疲労から日中の眠気につながる要因はないのか確認します。
睡眠検査施設などで1日を過ごし、眠りにつくまで要した時間やレム睡眠の有無を計測します。
根治的な治療法は未だ確立されていない
ナルコレプシーは、根治的な治療法が未だ確立されていないことから、対処療法にて治療を行います。
例えば、夜間にしっかりと睡眠時間を確保する、日中に仮眠を挟むなどです。
また、軽度の症状であれば、このような対処療法でも日中の辛い眠気などを改善する場合があるでしょう。
生活習慣の改善と適切な薬物療法
対処療法だけではなく、場合によっては生活習慣の改善と薬物療法が用いられます。
治療薬として代表的なものは、日中の過度な眠気を抑制する「モダフィニル」などです。
このほかにも症状に合わせて適切な薬物療法が行われます。
まとめ
ナルコレプシーは睡眠を多くとってしまう(過眠症)睡眠障害の一つで、約1000人に1人が発症するとされています。
代表的な症状は、日中に我慢できないほどの強い眠気です。
明確な原因は未だ解明されていませんが、ストレスによる環境的要因や自己免疫反応などが挙げられます。
ナルコレプシーには1型・2型があり、睡眠ポリグラフ検査と睡眠潜時反復検査の両方で診断されます。
根治的治療は確立されておらず、生活習慣の改善や症状に合わせて薬物療法があげられるでしょう。
日中によく寝てしまうなど心当たりがある場合は、一度医師や看護師に相談することが大切です。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師