ネフローゼ症候群とは?症状・原因や治療法とあわせて解説

  • クリニックブログ
2023/11/13

ネフローゼ症候群とは?症状・原因や治療法とあわせて解説

ネフローゼ症候群とは、体にとって重要な栄養素であるタンパク質が尿から大量に排出されてしまうことが原因で発症する病態の総称です。

ネフローゼ症候群を発症すると、全身の浮腫みを引き起こし、全身の血行不良や栄養障害、腎血流障害などを引き起こします。
ここでは、ネフローゼ症候群の原因や症状、その治療法について、ご紹介します。
倦怠感・怠さを訴える女性
 

ネフローゼ症候群の症状と原因

ネフローゼ症候群の症状と原因は、以下のとおりです。

ネフローゼ症候群の症状

ネフローゼ症候群の主な症状は、体全体の浮腫みです。しかし、浮腫んでいても血管の中の水分が減っていくことから症状があらわれます。

ほかの症状としては、以下のようなものがあります。

  • ● 尿量の低下
  • ● 体重の増加
  • ● 腹痛
  • ● 倦怠感
  • ● 尿の泡立ち

そのほか、重症化すると腎機能低下、免疫機能低下による感染症、脳梗塞などの血栓症のような合併症を引き起こします。

ネフローゼ症候群の原因

ネフローゼ症候群は、特発性(一次性)ネフローゼ症候群と続発性(二次性)ネフローゼ症候群に分けられます。

特発性(一次性)ネフローゼ症候群

突然発症し、明らかな原因がないのが特発性ネフローゼ症候群です。一次性ネフローゼ症候群とも呼ばれ、厚生労働省によって難病指定されています。原因は不明ですが、免疫異常が示唆されています。

続発性(二次性)ネフローゼ症候群

慢性腎炎など、肝臓に関係する病気や薬剤などによって発症するのが、続発性(二次性)ネフローゼ症候群です。

糖尿病、血管性紫斑病、膠原病などの基礎疾患や薬剤、遺伝的な要因が原因と考えられています。糖尿病や高血圧などの持病を抱えている人が罹患することが多いものの、こうした持病を抱えるすべての人が発症するわけではありません。

 

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ネフローゼ症候群の診断

ネフローゼ症候群は、尿検査と血液検査によって診断されます。
尿中のタンパク量が基準以上であることや血液中のタンパク質の量が基準より下回っていることなどから、ネフローゼ症候群と診断されます。

成人の場合、尿中タンパク量や血液中のタンパク質の量の基準値のほか、タンパク質が尿から排出されたことでおこる浮腫み、LDLコレステロール値や中性脂肪が高い脂質異常症であるのかも、ネフローゼ症候群の判断するための基準となります。
ネフローゼ症候群と診断された場合は、さらに、経過や症状などもあわせて観察することで、特発性(一次性)ネフローゼ症候群か、続発性(二次性)ネフローゼ症候群であるかが判断されます。

ただし、ネフローゼ症候群は、特発性(一次性)か続発性(二次性)のどちらであるのか、判断が難しいケースがあります。
その場合は、腎臓の組織の一部を針で採取して検査する「腎生検」を行い、その結果によって、使用する薬剤などの知恵用方針を決めていくことになります。

特発性(一次性)ネフローゼ症候群と続発性(二次性)ネフローゼ症候群の違い

その場合は、
● 抗ウイルス薬の使用
● 血液透析など肝臓の機能を補助する特殊な治療等
治療を行っても肝機能が回復しない場合には、肝移植を行います。
肝移植は脳死者の肝臓を用いる場合と、近親者の肝臓の一部を用いる場合の2通りがありますが、日本では後者が広く行われています。

急性と慢性の治療の違い

ネフローゼ症候群には、特発性(一次性)ネフローゼ症候群と続発性(二次性)ネフローゼ症候群の2種類があります。
特発性(一次性)ネフローゼ症候群は腎臓疾患、続発性(二次性)ネフローゼ症候群はその他全身性の病気の原因となることが考えられています。

成人の場合は、特発性(一次性)と続発性(二次性)の発症率は1:1か2:1ですが、小児性のネフローゼ症候群のおよそ9割は、特発性(一次性)ネフローゼ症候群です。

 

ネフローゼ症候群の治療法

ネフローゼ症候群の治療は、尿蛋白を減らし、浮腫みをとる対処療法が行われます。また、治療とあわせて、無理をしない、規則正しい生活を送ることも大切です。

ネフローゼ症候群の治療

B型肝炎ウイルス(HBV)の感染経路は垂直感染と水平感染に分けられます。

食事療法

食事療法としては、浮腫みをとるための塩分摂取制限やタンパク質を調整した食事をとるようにすすめられます。浮腫みがある場合は、塩分の一日の摂取量は、3グラムが目安です。

また、タンパク質の摂取量を調整した食事をすすめられます。以前は高タンパク質食をとるように推奨されていましたが、現在では、タンパク質制限食での食事療法がメインとなります。

薬物療法

薬物治療としては、副腎皮質ステロイドの服薬がメインです。薬物療法の際には、全身状態を総合的に診断して、投与量が決められます。
また、通常量の副腎皮質ステロイドを投与しても、効果が見られない場合は、大量の副腎皮質ステロイドを短期間で点滴静注するステロイドパルス療法も一つの方法です。

ただし、副腎皮質ステロイドは、赤いポツポツがでる痤瘡様発疹や消化性潰瘍、感染症などの副作用が出る場合があります。こうした副作用は、副腎皮質ステロイドの投薬を中止することで回復していきます。

 

ネフローゼ症候群の医療費助成制度

特発性(一次性)ネフローゼ症候群は難病指定されているため、医療費助成制度の対象となります。

一次性ネフローゼ症候群は難病医療費等助成制度の対象疾病

原因不明である特発性(一次性)ネフローゼ症候群は、難病医医療費助成制度の対象疾患です。
この制度は「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)に基づいて指定されている指定難病について、長期療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援するものです。

一次性ネフローゼ症候群における医療費自己負担割合

難病医医療費助成制度では、医療費の自己負担割合が3割から2割に引き下げられます。また、経済的な負担を軽減するため、入院・外来に関わらず、自己負担上限額が設定されています。この自己負担上限額は、世帯収入により変動します。

まとめ

ネフローゼ症候群は、体全体が浮腫み、腹水や胸水がたまりやすくなるほか、重症化すると、腎不全や血栓症などの合併症を引き起こす疾患ですが、診断や治療が早いほど、完治する可能性は高くなります。
そのため、定期健診でタンパク尿が指摘された場合は、できるだけ早く専門医の診断を受けましょう。

ネフローゼ症候群には、原因不明の特発性(一次性)ネフローゼ症候群と基礎疾患や薬剤、遺伝などが原因である続発性(二次性)ネフローゼ症候群がありますが、一次性ネフローゼ症候群は、難病指定疾患のため、医療費助成制度の対象なので、制度も活用して完治を目指しましょう。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

専門

麻酔・救急・内科/外科全般

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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