EDとは?原因、症状、治療法について解説
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EDとは?原因、症状、治療法について解説
EDとは
一般的に耳にすることのあるEDとは、勃起不全/勃起障害(Erectile Dysfunction)の頭文字を取ってそう呼ばれています。
この状態はどの様な状態を指し示すかというと、『満足な性行為を行うのに十分 な勃起が得られないか,または(and/or)維持できない状態が持続または(or)再発 すること。』と定義されています。
たまに勃起しないことがある、勃起できるか不安になるなどご本人が勃起に満足を感じられない場合もEDであるともいえます。実はEDは大きく3つのタイプに分類することができます。『器質性ED』・『心因性ED』・『混合性ED』このように原因によって分類されています。ただ、ほとんどの症例で病因は混合していることが多いです。EDの有病率は年齢とともに上昇します。
EDの原因
EDのリスクファクターに関しては多く存在しますが。前述した通りEDに関しては3つのタイプ分類があり、それぞれについてお話したいと思います。
①器質性
加齢に伴うものであれば、特に動脈硬化が原因と考えられます。動脈硬化になると血管が十分に拡がらず、血液の循環が悪くなってしまいます。
そのため、陰茎海綿体にも十分な血液が流れ込まず、EDが起こりやすくなるということになります。
糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病の人では、血管に大きな負担がかかるために、しばしば動脈硬化が進行していることがあります。
そのため結果としてEDが起こりやすくなるということになります。喫煙や過度の飲酒もEDを引き起こす原因となる可能性があります。
その他、肥満や神経が傷害される病気(脳出血、脳腫瘍、脳外傷、脊髄損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病など)、陰茎海面体の血管や神経を損傷するような手術・外傷、一部の泌尿器系の病気でもEDが起こりやすくなります。
加齢によるものかな?と考えていても生活習慣などがこの器質的原因に大きく関わってきていることがわかります。
②心因性
こちらに関してはすぐに想像がつくかと思いますが、心的ストレスが主な原因になっています。
神経の性的な興奮がうまく伝達できないために起こります。こちらの原因に関しては不安が増えたり、ストレスが増加すると悪化してしまうおそれがあります。
うつ症状とEDは高い相関関係にあること、心的外傷ストレス障害(PTSD)によってED発生率が高まります。
③混合性
ストレスだけが原因、あるいは動脈硬化の進行や神経に障害があるだけが原因ということは少なく、どちらの要素も合わさった混合型が多いと考えられています。
特に、糖尿病や高血圧、外傷などに精神的な要素が加わってEDになっていることが多いといわれています、うつ症状と心血管疾患とEDの3者が共存しやすいことが指摘されているという報告もあります。文字通り前述した2つの要因です。
◎薬剤性
上記3つ以外にも薬で引き起こされるケースもあります。
- ・中枢神経に作用する薬剤→解熱、消炎鎮痛剤、抗不安薬、抗うつ薬、抗けいれん薬、抗精神病薬、睡眠薬を含む向精神薬
- ・末梢神経に作用する薬剤→筋弛緩薬、鎮けい薬、麻酔薬、抗コリン薬
- ・循環器系に作用する薬剤→不整脈治療薬、利尿剤、降圧剤、血管拡張剤、高脂血症用剤
- ・消化管に作用する薬剤→消化性潰瘍治療薬、麻酔薬、抗コリン薬、鎮けい薬
一概に薬剤性と言っても前述の3つのタイプが原因なのか、薬剤が作用してのEDなのか判別が難しいです。
見てみるとリスクファクターになり得るものの薬剤が入っているのもわかります。
EDについて詳しくはこちら
EDの症状
症状に関しては前述の『EDとは?』で記載させていただきましたが、陰茎が十分に硬くならない、膣内へ挿入できない、性交の途中で勃起が中断するなど、勃起が起こらないケースはもちろんのこと、硬さが不十分、勃起状態が維持できないなど、満足な性交が行えるだけの勃起が得られない状態のことを指します。
EDの検査方法
タイプ別のところでも出てきた通り、生活習慣なども深く関係してきているのがわかっていただけたと思います。
年齢が関係しているなどではなくもしかして自分はEDなのかな?など感じたら受診していくことが大事になると思います。
軽度〜中等度、重度のものなど人それぞれではありますが、いつか治ると放っておくのは、あまり得策ではありません。
検査に関しては、国際勃起機能スコア(IIEF5やSHIM)と呼ばれる問診表のセルフチェックに沿って診断すると同時に、過去と現在の性的関係や発生と経過、治療歴、服用中の薬剤、喫煙・飲酒、運動の習慣などを問診で聴取し、次に身体所見で陰茎の変形や前立腺疾患などのチェックを行います。
臨床的な検査は、最近1年間のデータがなければ、血糖値などを調べる。性腺機能低下を疑う場合にはホルモン検査を行います。約8割近い患者が問診、身体所見、臨床検査でEDと診断されています。ここまでが非専門医が行うフローチャートになっています。
ここからは専門医が行う検査を簡単に紹介していきたいと思います。
・夜間勃起現象の評価
通常は 3 晩連続で測定する。最低でも 2 晩連続で行います。陰茎遠位で 10 分以上持続する少なくともmo60% 以上の硬度が得られれば正常と判定。心因性 ED と器質性 ED の鑑別に有用である。
・PGE1 の陰茎海綿体注射(intracavernous injection test: ICI)
プロスタグランジン E1 (PGE1)を陰茎海綿体に注射するものです。
血管系の機能が正常であれば、注射後 10 分以内に勃起が発現し30分以上持続し、勃起反応は5段階に分類する事ができます。
・カラードプラ検査(color doppler ultrasound: CDU)
PGE1 を海綿体注射し、10 分後までの CDU において、収縮期最大血流速度が 30 cm/sec 以上で、抵抗係数(resistance index)が 0.8 以上の場合に正常と判断する。
・造影 CT,血管撮影,海綿体造影
血行再建手術を視野に入れている患者に行う検査。
・精神医学的評価
精神疾患を有する疑いのある患者は、精神科医に紹介したほうが良いといわれています。
- ① 明らかな器質的原因が見あたらず,最初の性交機会から ED である場合
- ② 神経/血管などの障害を思わせる病歴がないにもかかわらずPDE5 阻害薬が無効な場合
- ③ 性的虐待や性的外傷体験が患者本人やパートナーにある場合
- ④ うつ症状
EDの治療方法
治療に際して前述した問診のような物に答えていく必要があります。
基本的に飲み薬での治療になっていきます。PDE5阻害薬の内服が第一選択の治療法となっています。
日本では3つの薬が使用可能になっています。
心因性EDに対しては、カウンセリングによる助言や指導などの心理療法も併せて行うと共に、抗うつ剤や漢方薬などを併用することもあります。
PDE5阻害剤が効かない場合や、服用できない患者には、陰圧式勃起補助器具を使用する治療などが行われます。
また、性腺機能が低下している患者には、男性ホルモンを補充する治療でEDが改善するとされています。
注意点としてED治療には健康保険が適用されないため、診察費、検査費などすべて自己負担となります。
症状や健康状態によって行う検査、治療が異なるため、治療費は個人で異なってきます。併用できない薬もありますので、内服している薬などをしっかりと把握しておくのも大事なことです。
海外輸入の治療薬もありますが、こちらは日本での安全性が確立されていないものなどあり、厚生労働省のホームページには有害事象の発生や偽造医薬品の可能性、個人輸入による安易な使用は控えるような注意事項も載っているので、しっかりとした治療をするためには専門医に見てもらって処方してもらうのが一番です。
ED症の予防方法
糖尿病や高血圧症などの生活習慣病や食生活の乱れ、ストレスなどが原因となる場合もあることから、予防のためには、普段からバランスの良い食事や規則正しい生活が重要となってきます。EDを未然に防ぐということは他の病気も防ぐ事に繋がります。
まとめ
EDについて意外とタイプが分かれている事を知らなかった方、普段聞き馴染みのある疾患がEDにつながって来るということも知らない方が多かったと思います。
昨今コロナウイルスでの後遺症のコロナEDと呼ばれているものも報告されております。生活習慣も含め罹患率の高くなってきたコロナウイルスともあわせると、意外と自分にとって関係ない話では無いのかもしれません。
少し恥ずかしくて躊躇してしまう節もあるかと思いますが、間違った治療薬などに手を出す前にしっかりとした診断を受けて治療していきましょう。
EDについての詳しい内容はこちら
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師