肝硬変とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/07/20

肝硬変とは?原因、症状、治療法について解説

肝硬変とは

肝硬変とは肝臓が慢性的なダメージや疾患によって正常な組織が失われ、線維化して硬くなってしまう病気です。正常な肝臓は、体内の代謝、排泄、貯蔵などの多くの重要な機能を持っています。
具体的には、肝臓は血液中の栄養素やホルモンの調節、有害物質の解毒、脂肪の代謝やエネルギー生産、血液凝固因子の産生などの役割を担っています。また、肝臓は、ビタミンや鉄分の貯蔵、胆汁の生成・排出、免疫系の活性化、胎児の成長にも関与しています。肝臓が正常に機能している場合、これらの機能がきちんと働き、健康な体を維持するために必要なさまざまな役割を果たすことができます。

しかし、肝臓にダメージが蓄積すると、炎症が起こり、肝臓細胞は損傷し、線維化します。線維化が進むと、肝臓の機能が低下し、最終的には肝臓が全体的に硬くなり、血液が流れにくくなってしまいます。


 

肝硬変の原因

肝硬変の主な原因は、長期にわたるアルコールの過剰摂取、ウイルス感染(B型、C型)、自己免疫疾患、薬物や有害物質の摂取などが挙げられます。
これらの原因によって、肝臓細胞は慢性的な炎症にさらされ、傷つき、繊維化して硬くなります。この結果、肝臓は正常な機能を果たすことができなくなり、肝硬変となります。肝硬変は、初期段階では症状が現れないことがあり、発見が遅れることが多いため、早期発見・治療が重要です。適切な治療を行わない場合、肝硬変は最終的に肝がんや肝不全を引き起こす可能性があり、命に関わる重篤な状態に至ることがあります。

  

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肝硬変の症状

肝硬変は、初期段階では症状が現れないことが多く、気づきにくい場合があります。
しかし、肝硬変が進行するにつれて、さまざまな症状が現れることがあります。代表的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
 

1.腹水

心不全のリスクとなる糖尿病や高脂血症などの有無を評価できます。
また、心不全の際に心臓から産生が増えることが知られているBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の濃度を測定することで、心不全の有無や程度を評価することができます。
 

2.食欲不振・体重減少

肝硬変によって、肝臓の機能が低下し、栄養素の吸収や代謝がうまくできなくなります。そのため、食欲不振や体重減少が生じることがあります。
 

3.肝臓や腹部の腫れ

肝硬変によって、肝臓や腹部が腫れることがあります。肝臓が腫れると、腹部の右上部に痛みや圧迫感が生じることがあります。
 

4.便秘や下痢

肝硬変によって、胆汁の分泌量が減少し、腸内環境が悪化することがあります。そのため、便秘や下痢が生じることがあります。
 

5.血液凝固異常

肝臓は、血液凝固因子の産生に重要な役割を果たしています。肝硬変によって、肝臓の機能が低下し、血液凝固異常が生じることがあります。そのため、出血しやすくなることがあります。
 
以上のように、肝硬変は初期段階では症状が現れないことが多いため、定期的な健康診断が重要です。また、症状が現れた場合には、早期発見・治療が重要となります。


  

肝硬変の検査方法

肝硬変の検査方法として以下のようなものがあります
 

1.血液検査

肝硬変によって肝臓の機能が低下するため、肝臓機能検査を行うことで肝硬変の可能性を調べることができます。
 

2.超音波検査

肝臓のサイズや形状、腫瘍などの異常を調べるために超音波検査を行います。
 

3.CT検査、MRI検査

超音波検査だけでは異常が確認できない場合に、CT検査やMRI検査を行います。これらの検査では、肝臓やその周辺の様子をより詳しく確認することができます。
 

4.肝生検

肝臓の組織を直接採取して、病変の種類や進行度を確認するために肝生検を行います。ただし、肝生検は合併症のリスクがあるため、必要性が高い場合に行われます。
 
肝硬変の潜伏期間は、人によって異なりますが、肝硬変の原因によって左右されます。
ウイルス感染による肝硬変では、感染から発症までの期間は数十年に及ぶ場合があります。一方、アルコール性肝硬変では、数年から十数年で発症することが多いです。
しかし、肝硬変は初期段階では症状が現れないことが多く、気づきにくいため、定期的な健康診断が重要となります。


  

肝硬変の治療方法

肝硬変の治療法は、原因や進行度によって異なります。治療の目的は、肝硬変の進行を遅らせ、肝臓の機能を維持することです。
ウイルス感染による肝硬変の場合は、ウイルスを抑える抗ウイルス薬が用いられます。アルコール性肝硬変の場合は、アルコールの摂取を避け、肝臓を休めるための生活習慣改善が必要です。また、肝臓機能を維持するために、栄養療法やサプリメントの使用が勧められることもあります。

肝硬変が進行し、肝臓の機能が著しく低下している場合は、肝移植が必要となる場合もあります。肝移植は、健康なドナーから肝臓を移植し、肝臓の機能を回復させる手術です。
ただし、肝移植は重症度や待機期間、手術費用などの問題があり、決して簡単な選択肢ではありません。肝硬変の治療においては、早期発見と適切な治療が重要であるため、定期的な健康診断や適切な生活習慣の維持が求められます。

 

肝硬変の予防方法

肝硬変を予防するためには、以下のような生活習慣や注意点が必要です。
 

1.適度な飲酒

アルコールは肝臓に負担をかけ、肝硬変を引き起こす原因の一つとされています。飲酒は適度にし、度を超える飲酒は避けましょう。
 

2.ヘルシーな食生活

バランスの良い食生活を心掛け、脂肪や塩分が多い食品を控え、野菜や果物を多く摂りましょう。
また、栄養豊富な食品やサプリメントを摂取することも、肝臓の健康を維持するために有効です。
 

3.感染症への対策

B型肝炎やC型肝炎などのウイルス感染は肝硬変を引き起こす原因となるため、感染症に対して注意することが重要です。
予防接種や衛生的な生活習慣の維持などが有効です。
 

4.健康管理の徹底

定期的な健康診断や、肝臓の検査を受けることで、早期発見や早期治療が可能となります。
また、肝硬変のリスクが高い人は、定期的な検査や医師の指導のもと、生活習慣の改善を行うことが大切です。


  

まとめ

肝硬変を予防するためには、アルコールの適量摂取、肥満や高脂血症などの生活習慣病の予防、B型肝炎やC型肝炎などの感染症への予防が重要です。
定期的な健康診断を受け、肝機能を確認し、早期発見・治療することも大切です。また、ワクチン接種や適切な処置によって感染症を予防することも効果的です。
健康的な生活習慣を心がけ、肝臓に負担をかけないようにすることが、肝硬変予防につながります。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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