緊張型頭痛とは?原因、症状、治療法について解説
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緊張型頭痛とは?原因、症状、治療法について解説
緊張型頭痛とは
軽度から中等度の痛みで、頭がベルトで締め付けられるような感じのする頭痛を緊張型頭痛と言います。
頭痛は頭皮、首の上部、顔面、頭部の中を含む頭部のいずれかに生じる痛みの総称で、後頭部と首(後頸部)の境界、目の奥の痛みも頭痛として扱います。
頭痛は熱や腹痛などと同様に、”症状”の名称ですが、慢性的に頭痛発作を繰り返す場合には病名として扱い、”頭痛症”とします。頭痛は医療機関の受診理由として最も多いもののひとつです。
頭痛は一次性頭痛(原発性頭痛)と二次性頭痛に大別されます。二次性頭痛は他の病気が原因となっており、脳、眼、鼻、のど、副鼻腔、歯、あご、耳、首など全身の病気が関わっています。特に髄膜炎や脳腫瘍、脳内出血など脳に影響を及ぼすものには注意が必要です。
これに対し一次性頭痛は他の病気が原因ではありませんが、頭痛発作を繰り返したり持続することが問題となります。緊張型頭痛も一次性頭痛の一つで、一次性頭痛には他に片頭痛と群発頭痛があります。
緊張型頭痛は一次性頭痛のなかで最も多い頭痛で、世界人口での有病率は38%と言われています。
緊張型頭痛の原因
緊張型頭痛の原因はよく分かっていませんが、痛みを感じる閾値(いきち)が正常より低くなることと関連すると言われています。ストレスが関係している可能性もありますが、頭痛とストレスの関係はよく分かっておらず、ストレスだけで症状を説明できるわけでもありません。
頭痛は、他の身体的な問題、心理的な問題、生活習慣の問題、あるいは複数の問題の組み合わせによって引き起こされることがあります。身体的な原因としては、頭部や首の痛み、目の疲れ、歯の問題、疲労、睡眠不足、飲酒、薬の副作用などが考えられます。心理的な原因としては、うつ病、不安、パニック発作などが挙げられます。
また、生活習慣の問題としては、不規則な食生活、運動不足、長時間のデスクワーク、携帯電話やパソコンなどの画面を長時間見続けることなどが考えられます。
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緊張型頭痛の症状
頭をベルトで締め付けられるような感じがします。そのような感覚は、前頭部または眼の周辺から始まり、次第に頭全体に広がっていきます。
緊張型頭痛には反復性(月に15日未満)のものと慢性(3ヶ月を超えて、平均して月に15日以上)のものがあります。
反復性緊張型頭痛では痛みの強さは軽度から中等度であることが多く、持続時間は30分から数日です。朝起きてから数時間後に頭痛が始まり、時間が経つにつれて症状が悪化していきます。通常は眠っている間に頭痛がひどくなって目が覚めるようなことはありません。
慢性緊張型頭痛では頭痛発作の回数が多いほど、頭痛が強くなる傾向があります。1日の中で痛みの強さが変わることがあるものの、ほぼ常に痛みを感じている状態が続きます。
緊張型頭痛が重度であることはまれで、日常生活に支障が出ることはありますが、寝込んでしまうようなことは普通ありません。
脈打つような痛みがある偏頭痛とは異なり、緊張型頭痛は吐き気や嘔吐を伴わず、身体活動、光、音、匂いによって痛みが悪化することもありません。
緊張型頭痛の検査方法
緊張型頭痛を診断するために特定の検査は存在しません。緊張型頭痛は、一般的には症状や患者の訴えに基づいて診断されます。
医師は、頭痛の種類や症状のパターン、患者の病歴、身体検査などを総合的に評価して診断を下します。他の疾患を除外するために、必要に応じて血液検査や画像検査を行うこともあります。
しかし、緊張型頭痛自体に特異的な検査はありません。そのため普段から痛みの起こった際に詳しく日記などに記録しておくと診断に役立ちます。
CTまたはMRI検査は、重篤な病気が疑われる場合に、まれに行うことがあります。
СТ検査
CTはcomputed tomographyの頭文字で、コンピュータ断層撮影法のことです。ベッドに仰向けになり、ドーナツ状の機械の中を通ります。多方向から身体にエックス線を照射し、透過したエックス線を検出してコンピュータで断層像を計算します。短時間で全身の様々な部位を検査することが可能です。
詳細な観察が必要な場合に、造影剤を使用することがあります。造影剤は静脈注射されることが多く、特定の物質を含むため、アレルギー反応を引き起こすことがあるため、事前に医師にアレルギーの有無を伝えることが大切です。
また、腎機能が低下している場合には、造影剤を使用することができない場合があるため、医師に事前に相談する必要があります。
MRI検査
MRI とはMagnetic Resonance Imagingの頭文字で、磁気共鳴画像のことをいいます。
大きな磁石による磁場の中で体の中の水素原子の核磁気共鳴現象を測定し、さらにコンピューターで解析し、人体の内部構造を画像化する検査です。エックス線を使用しないため、被ばくの心配はありません。
緊張型頭痛の治療方法
頭痛がたまにしか起こらず、日常生活に支障をきたさない場合は治療が必要ないかもしれません。しかし、頭痛によって日常生活が制限されたり、頻度や重症度が増している場合は治療が必要です。
軽度から中等度の緊張型頭痛はほとんどの場合、アスピリン、アセトアミノフェノン、イブプロフェン など、市販薬の痛み止め(鎮痛薬)で痛みを軽減することができます。また痛む場所をマッサージすると痛みが軽減することがあります。
市販の鎮痛薬で効果がなく、頭痛が重度の場合は、緊張型頭痛ではなく、片頭痛である可能性があります。
頭痛薬の一部にはカフェインが含まれていますが、実際にカフェインを摂取することで鎮痛効果が得られることもあります。
カフェインは中枢神経を刺激する作用があるため、頭痛の緩和に役立つことが知られています。ただし、カフェインの摂取量には限度があり、過剰な摂取は頭痛を引き起こす原因になることがあるため、適切な量を守ることが重要です。
しかし、鎮痛薬を過剰に使用したり、カフェインを摂取しすぎると、頭痛が毎日起こるようになることがあります。
このような頭痛は薬物乱用頭痛と呼ばれ、朝起きたときに発生することがあります。頭痛の治療薬を急に中止すると、頭痛が悪化することがあるだけでなく、新たな頭痛が発生することもあります。頭痛薬には、中止すると急激な脳血管反応が引き起こされ、頭痛が再発するリスクがあるものがあります。
特に、過剰に使用される場合には、頭痛薬の中止による頭痛の再発リスクが高くなるため、適切な量と期間の使用が重要です。頭痛の治療には、医師の指導のもと、正しい方法で頭痛薬を使用することが大切です。
頻度の多い反復性緊張型頭痛や、慢性緊張型頭痛では抗うつ薬などの予防薬の内服、ストレスマネジメント、リラクセーション、理学療法などが推奨されています。頭痛体操なども効果的です。
緊張型頭痛の予防方法
緊張型頭痛は精神的または身体的ストレスなどによる首や肩の筋肉のこり、血行不良から起こるため、ストレッチが効果的です。
頭痛体操は日本頭痛学会のホームページでも紹介されています。
・腕を振る体操
正面を向いた状態で頭を固定し、両肩を大きく回転させます。
頸椎(けいつい)を軸として肩を回転させ、頭と首を支えている筋肉(インナーマッスル)をリズミカルにストレッチします。2分間続けましょう。
・肩を回す体操
ひじを軽く曲げ、肩を前後に回転させます。前に回すときはバッグを方にかけるような感覚で、後ろに回すときは洋服を脱ぐような感覚で肩を回します。
6回繰り返しましょう。慣れてきたら僧帽筋にたくさんの刺激を与えるように大きく肩を回します。
・椅子に座ったままでできる体操
椅子に座り、両足を揃えたまま正面を向いたまま、左右の肩を交互に前に出しながら、体を回転させる運動を行います。
まとめ
多くの方が抱えている頭痛。頭痛が起きることもあるけど、病院に行くほどではないな、と感じている方が多いのではないでしょうか。忙しい働き世代の方々は、ぜひ頭痛体操を試してみてください。
普段の頭痛では起こらない吐き気がしたり、ろれつが回らない、ものが二重に見える、眩暈や痙攣など、いつもと違う症状を感じたら危険な病気が隠れている可能性がありますので、すぐに医療機関を受診しましょう。
マイメディカルクリニックでは頭部CTまたはMRI検査を提携先のメディカルスキャニングにて実施可能です。また大手町医院ではCT検査も可能ですので、お気軽にご相談ください。
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略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師