急性胃炎とは?原因、症状、治療法について解説
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急性胃炎とは?原因、症状、治療法について解説
「急性胃炎を起こすのはストレスだけ?」
「がんとの違いや似たような病気はある?」
「普段からならないように気を付ける方法は?」
このような疑問はありませんか?
ストレスが原因であることが知られているため、身近に感じる病気であると感じている方も、中にはいらっしゃるかもしれません。
ここでは、概要や慢性胃炎との違い、よく似ている病気、予防方法などを詳しく解説します。
現在進行形で胃の痛みに悩んでいる方、よく痛くなる方はぜひ参考にしてください。
急性胃炎とは
急性胃炎とは、急性的にさまざまな原因で起きる胃粘膜の炎症をいいます。
胃粘膜の炎症(胃炎)とは、赤く腫れたりただれたりする状態を指します。
以降では、さらに詳しく慢性との違いや原因などを深堀りして解説しますので、参考にしてください。
急性と慢性の違い
まず、言葉の意味合いの違いから解説します。
「急性」は、突如発症し、進行するのが早い病気を意味します。
そして「慢性」は、じわじわと小さな病変から積み重ねられて発症し、激しい症状は見られない状態を意味します。
上記を踏まえて、急性胃炎は突然胃炎の症状を発症し、症状が強いことが特徴です。
一方の慢性胃炎は、胃の炎症が長期的に続いているのが特徴です。
それほど胃の痛みが強くなく、1カ月や半年など長期にわたって胃の不調を感じている方は、慢性タイプの胃炎の可能性が高まります。
原因
急性タイプの胃炎を発症する原因は以下のとおりです。
- ●ストレス
- ●刺激物の食べすぎ・飲みすぎ
- ●薬の副作用による胃の荒れ
- ●食中毒
- ●全身疾患 など
上記のように、原因は複数ありストレスだけではありません。
普段ストレスを感じないという方も、食べ物や別の疾患によって引き起こす可能性があるのです。
したがって、誰にでも発症するリスクがあるため、油断せず注意して生活したり、正しい知識を持って正しく対処できる術を身に付けたりすることが大切です。
症状
急性の場合、以下のような症状が突如として現れます。
- ●激しい胃痛やみぞおちの痛み
- ●吐き気・嘔吐
- ●胃の膨満感や張り
- ●食欲の低下
- ●下血 など
上記の症状は、2~3日をピークに徐々に治まっていくのが一般的です。
しかし、放置すると長引いたり、さらに悪化して出血を伴ったりする場合もあります。
痛みや不快感は我慢せず、早めに受診して治療を受けることをおすすめします。
治療法
急性胃炎の治療は、基本的に以下の内容が行われます。
- ●薬物療法
- ●原因の除去
- ●食事制限
薬を使った治療は、胃の保護や痛み止めを目的に行います。
原因の除去は、ストレスケアや生活習慣の指導、ピロリ菌の除去といった形で行われます。
食事制限は、胃に優しい食べ物を食べ、刺激物は控える食事法を実施します。
食事については、次に詳しく解説します。
食事
療養中の食事量や内容量について解説します。
胃が炎症を起こしていたり荒れていたりする場合、負担をかけないことが大切です。
そのため、食事量は少なめにし、食べ物は消化に良いものを選んでください。
例えば、柔らかく煮たうどんやおかゆが消化に良い食べ物の代表例です。
加えて、白身魚や卵も胃にかかる負担が少ないためおすすめです。
飲み物に関しては、コーヒーやお酒は刺激物であり、胃に負担をかけてしまう恐れがあるため、治るまでは避けてください。
また、辛い食べ物やスパイシーな食べ物も、療養中は控えたほうがよいでしょう。
検査方法
問診や臨床症状から診断するケースもありますが、確実な診断や状況確認として胃カメラ検査を行うのが一般的です。
胃カメラの検査では、びらんや出血、潰瘍といった病変を見つけることができます。
これらは胃がんでも見られる症状のため、疑わしい場合は組織検査を受けることもあります。
急性胃炎の検査についてはこちら
急性胃炎に似た胃の病気
「急性胃炎と思っていたら、別の疾患だった」という例もあります。類似の症状が見られる病気には以下があります。
- ●ポリープ
- ●胃がん
- ●胃潰瘍
以降では、概要や治療法などを解説します。
ポリープ
ポリープとは、組織が突起状になる病変です。
良性と悪性があり、悪性の場合はがんへの進行が認められます。
また、ポリープそのものにも種類があり、基本的にピロリ菌がいない胃で見られる「胃底腺ポリープ」、ピロリ菌がいる胃で見られる「過形成ポリープ」があります。
治療方法は、経過観察または手術による除去です。
ポリープが小さい場合は検査が難しいこともあり、経過観察します。
ポリープが大きい場合、もしくは徐々に大きくなる場合はがんに進行する恐れがあるため、内視鏡手術で除去します。
胃がん
胃がんは、萎縮または胃炎により発症するとされています。急速に進行する「スキルス性胃がん」は、胃の壁の厚みや硬さが徐々に増す病変が見られる、致死率が高いがん疾患です。
転移のリスクもあるため、早期発見と速やかな治療を要します。
治療法は、基本的に手術です。
胃の摘出またはがん部分のみの摘出を行います。
抗がん剤治療や免疫療法、放射線治療を行う場合もあります。
胃潰瘍
胃に潰瘍が見られる病気です。
完全に穴があいてしまった場合、強い痛みが持続的に起こります。
消化性潰瘍の場合、60~70%の方の胃にピロリ菌が発見されます。
治療法は、止血処理や薬物療法が中心です。
潰瘍は出血が見られることが多く、内視鏡を用いて止血処理を行います。
薬物療法では、胃液の分泌を抑える薬の使用が一般的です。
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急性胃炎の予防方法
発症を予防するためには、以下を実践することが大切です。
- ●規則正しい生活を心がける
- ●ストレスや過労をできるだけ回避する
- ●刺激の強い食べ物を過剰に摂取しない
- ●過度なアルコール摂取をしない
- ●非ステロイド性抗炎症剤は胃が荒れやすいものがあるため、胃薬を併用する
- ●生魚にはアニサキスがいる場合があるため、よく観察してしっかりかんで食べる
では、一つずつ解説します。
規則正しい生活を心がける
規則正しい生活とは、生活リズムが規則正しい生活のことです。
毎朝同じ時間に起き、食事も毎日同じ時間にとり、就寝も毎日同じ時間というサイクルを意識しましょう。
これらを意識することで、病気のリスクを抑制できます。
加えて、できる限り運動する時間も取り入れるとより良い生活になります。激しい運動をする必要はなく、30分のお散歩程度でも構いません。
ストレスや過労をできるだけ回避する
ストレスや疲労の蓄積を感じたら、セルフケアをすることが大切です。
ストレスや過労は免疫力を低下させ、病気のリスクを高めるためです。
睡眠をしっかりとる、タンパク質を一日2食以上とるといった生活習慣の見直しや、音楽を聴いたりアロマをたいたりといったリラクゼーションの時間の確保を行いましょう。
刺激の強い食べ物を過剰に摂取しない
カレーやトウガラシを使った料理を食べすぎると、胃が荒れてしまいます。
また、コーヒーの飲みすぎも同様です。
これらは、胃液の分泌を促す作用があるため、食べすぎると胃液の過剰分泌を起こし、胃がダメージを受けてしまいます。
好物でたくさん食べたいと思う方もいるかもしれませんが、胃に負担をかけないよう、食べすぎに注意しながら食事を楽しんでください。
過度なアルコール摂取をしない
アルコールは、消化管に影響を与えるため、飲みすぎは胃腸疾患のリスクを高めることが分かっています。
アルコールは胃液の分泌を促進するほか、直接的または間接的に消化管に障害を与えます。
そのため、飲みすぎると胃液が出すぎてしまい胃を荒れさせ、急性胃炎を起こす原因となるのです。
アルコール類は、適量を守って楽しみましょう。
非ステロイド性抗炎症剤は胃が荒れやすいものがあるため、胃薬を併用する
非ステロイド性抗炎症剤とは、ドラッグストアなどにある風邪薬や解熱剤、痛み止めの薬です。
胃の粘膜を傷つける副作用があるため、常用していると急性胃炎や胃潰瘍を起こすリスクが高まります。
胃を保護するためにも常用は避けて、服用する際は胃薬を併用するとよいでしょう。
生魚にはアニサキスがいる場合があるため、よく観察してしっかりかんで食べる
お寿司やお刺身が好きでよく食べる方は特に、アニサキスに気を付けましょう。
生魚の多くにはアニサキスが寄生しており、胃に入ると食中毒による急性胃炎を起こす原因になります。
目視でしっかり確認して除去するか、一度冷凍したものを解凍して食べると死滅するため安心です。
また、よくかんで食べることも大切です。
まとめ
急性胃炎にならないようにするためには、まずは規則正しい生活をすることが大切です。1日3食、決まった時間に極力食事を摂るようにしましょう。
例えば、長時間胃をからっぽの状態にしアルコールを過剰に摂取すると胃液だけが分泌され胃粘膜が荒れてしまう原因になります。逆に食べすぎたりしてしまうと消化不良を起こしてしまうため適度な食事量を摂取するよう心がけてください。
また、ストレスで胃炎が悪化することがあるため現代社会でストレスを根本的になくすことは難しいですが、ストレスとうまく付き合いながら規則正しい生活を送れるよう心がけをしていきましょう。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師