痛風とは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/06/22

痛風とは?原因、症状、治療法について解説

「痛風になったらどうなるの?」
「なりやすい食べ物は何がある?」
 
このような疑問はありませんか?
 
痛風は昔から男性がかかる病気といったイメージを持っている方も多いと思いますが、実際は男性だけが痛風になりやすいわけではありません。
実は、ある年齢を境に女性もかかりやすくなるため、性別関係なく気を付けなければなりません。
 
以降では、原因や症状、放置するリスクを解説していきます。

 
 

痛風とは

痛風とは、足や手などの関節に尿酸ナトリウム結晶がたまることで炎症を起こし、痛みを感じる疾患です。
尿酸は「プリン体」と呼ばれる物質が体の中で分解されることで作られます。
 
プリン体は、体の中で作られたり、食事から摂取されたりします。
臓器の新陳代謝や運動に使われるエネルギーになるため、プリン体そのものは悪い物質ではありません。
しかし、摂取しすぎると分解されてできる尿酸の量も増加し、痛風のリスクを高める可能性があるため適度な摂取が望まれます。
 
30歳代以降の男性に多く、100人に1人以上の割合で発症すると報告されています。


 
 

痛風の症状は

どのような症状が現れるのかを具体的に解説するとともに、放置のリスクもお伝えします。
 

症状

特有の症状として、突然の激しい関節の痛みや赤く腫れる症状が挙げられます。
足の親指の付け根の関節が発症しやすい傾向です。
 

 
他にも、足首や足の甲、手の関節、足のかかとに起きることがあります。
 
痛みは12~24時間程度でピークに達し、その後緩やかに7~10日かけて快方に向かいます。
しかし、夜になると痛風の痛みが発生する傾向にあるため、痛みで眠ることができず寝不足気味になる方もいます。
 
痛風を患っている方は、体内に多くの尿酸がたまっているため腎臓にも結晶がたまりやすいです。
腎臓に結晶がたまると、尿路結石や尿管結石と呼ばれる疾患を引き起こし、排尿時に激しい痛みを伴い、慢性腎不全を引き起こしてしまう可能性があります。
 

放置する危険性

痛風や高尿酸血症を放置すると、尿路結石や慢性腎不全を引き起こすリスクがあります。
加えて、脳卒中や虚血性心疾患を起こすリスクもあり命を脅かす危険性があるため、放置せず治療を受けることが大切です。
 
なお、尿酸値が通常の方よりも高い方は脳卒中のリスクが2.5倍、狭心症をはじめとする虚血性心疾患のリスクが4倍上がるとされています。
 
 

痛風の原因は

引き起こす原因にはどのようなものがあるのかを詳しく解説していきます。
 

痛風の原因は尿酸

痛風は尿酸値が上がることで発症します。
なお、一度痛風を発症した方は、尿酸値を6.0mg/dL以下にまで下げなければなりません。
尿酸の血中濃度を下げなければ、たまった結晶が溶けていかないためです。
 
これまでに発症経験がない方は、尿酸値の基準が明確に決まっていないため一概に「〇mg/dL以下」とは言いきることはできません。
 
しかし、尿酸値が上がっていくにつれて痛風のリスクが高まることは事実です。
したがって、尿酸値を9.0mg/dL以下に抑えることが大切といえるでしょう。
 

尿酸が上がる原因とは

尿酸値が上がる原因は以下のようなものがあります。
 

  • ●お酒によるプリン体のとりすぎ・暴飲暴食の習慣がある
  • ●激しい運動
  • ●ストレスの蓄積・水分摂取量が少ない

 
では、一つずつ解説していきます。
 

お酒によるプリン体のとりすぎ

少量ではありますが、お酒にはプリン体が含まれています。
飲みすぎると過剰摂取につながり、痛風を引き起こす原因となります。
 
加えてお酒は、アルコールの作用で尿酸値が高くなりやすいため、痛風を引き起こす可能性がさらに高くなります。
 
お酒に含まれているプリン体の例を挙げると、紹興酒は10mg/100ml、一般的なビールは1缶あたり12~25mg/350mlです。
 
なお、ビールを毎日飲む方は6年間で血清尿酸値が0.5~1.0mg上がり、痛風になるリスクが2倍以上高まることが報告されています。
 

暴飲暴食の習慣がある

食べることが好きな方やストレス発散で暴飲暴食する日が多い方は、特に痛風に注意しなければなりません。
なぜなら、尿酸値と内臓脂肪は深く関わっているためです。
 
摂取カロリーを低く抑えることで、尿酸値も低下することが明らかになっているため、暴飲暴食をしても、低カロリーのものやプリン体がほとんど含まれていないものであれば問題ない可能性もあります。
 
しかし、プリン体が多量に含まれる干物系や魚卵系などをたくさん食べる方や、高カロリーなものをたくさん食べる方は注意が必要です。
 

激しい運動

激しい運動は発症のリスクを高めるといわれています。
激しい運動をし、大量の汗をかくことにより体内の水分量が減り、尿酸値が急上昇するためです。
 
具体的には、短距離走やベンチプレスのような負荷の高い筋トレを指します。
エネルギーをたくさん消費する運動は、アデノシン三リン酸の分解などによりプリン体が生成され、尿酸がたくさん作られることにつながるためです。
 
大量の汗をかいた際には、十分に水分を補給しなければ、血液中の尿酸濃度が急上昇した状態のままになっているため、痛風になりやすくなります。
 

ストレスの蓄積

ストレスが蓄積されていくと尿酸値が高まる可能性があるといわれています。
ストレスの蓄積によって脂肪組織の慢性炎症を起こしたり、酸化ストレスを発生させたりします。
 
また、ストレスにより交感神経が優位になり続けて自律神経のバランスが乱れ、血管の収縮状態が続き腎臓が血流不足になることも、理由の一つとして考えられています。
 

水分摂取量が少ない

水分摂取量が少ない方は尿酸の排出量が減少するため、痛風になる危険性が高まるといわれています。
 
かくれ脱水になっている方も痛風の危険性を高めるといわれているため、痛風の予防には体内の水分量が重要であるといえます。
予防方法として、水やお茶を一日2L以上飲むことが推奨されています。
 
糖分やアルコールが含まれる飲料は水分補給に含まれないため、気を付けてください。
なお、一度に多量を飲むと水中毒を起こすリスクがあるため、こまめな水分補給で2L以上を目指しましょう。
 

痛風になりやすい方の特徴

発症しやすい方の特徴は以下です。
 

  • ●30代~40代の男性
  • ●不規則な生活を送っている
  • ●週に何度も激しい運動する
  • ●内臓脂肪が多い肥満体型である
  • ●早食いする
  • ●暴飲暴食が多い
  • ●ビールを飲む量や頻度が多い
  • ●脂っこいものや魚卵が好きでよく食べる

 
痛風になりやすい方の特徴を見ると、やはり生活習慣が大きく影響しているといえます。
不規則な生活を送っている方や、内臓脂肪が多い肥満体系になっている方は、生活改善が必要です。
 
 

痛風の関連記事についてはこちら

詳しくはこちら

 
 

【種類別】痛風になりやすい食べ物ランキング

ここからは痛風になりやすい食べ物をランキング形式でご紹介していきます。
 

含有量の基準

『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』では、一日のプリン体摂取量の制限を400gとしています。
食品に含有されているプリン体の量に応じて以下のようにレベル設定がされています。
 

  • ●300mg以上:極めて多い
  • ●200~300mg:多い
  • ●50~100mg:少ない
  • ●50mg以下:極めて少ない

 
ここから紹介していく痛風になりやすい食べ物の含有量と比較してみましょう。
 

【種類別】痛風になりやすい食べ物

食べ物の種類別に上位に入る食べ物を紹介していきます。
併せてプリン体が少ないものも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
 

野菜編

野菜の中でプリン体が多いものは379.5mgの干し椎茸です。
中間程度でも数値が高めなものには以下があります。
 

  • ●ほうれん草の芽:171.9mg
  • ●ひらたけ:142.3mg
  • ●ブロッコリースプラウト:129.6mg

 
プリン体が極めて少ない野菜は下記です。
 

  • ●グリーンピース缶詰:18.8mg
  • ●なめこ:28.5mg
  • ●そら豆:35.5mg
  • ●おくら:39.5mg
  • ●もやし:44.7mg

 

魚類編

魚類の中でプリン体が多いものは以下です。
 

  • ●カツオ:211.4mg
  • ●マイワシ:210.4mg

 
魚類は全体的に数値は100を超えており高めですが、普通または少ないものが多いです。
プリン体が極めて少ない魚類は以下です。
 

  • ●スジコ:15.7mg
  • ●カズノコ:21.9mg

 

肉類編

肉類の中でプリン体が多いものは以下です。
 

  • ●鶏レバー:312.2mg
  • ●豚レバー:284.8mg
  • ●牛レバー:219.8mg

 
上記のとおり、種類を問わずレバーにはプリン体がたくさん含まれていることが分かります。
肉そのものにはプリン体がそれほど含まれておらず、普通くらいです。
 
プリン体が極めて少ない肉類は下記です。
 

  • ●ビエナソーセージ:45.5mg
  • ●フランクフルトソーセージ:49.8mg
  • ●コンビーフ:47.0mg

 
プリン体が少ない肉類は加工品がほとんどです。
 

軟体・貝類

軟体・貝類の中でプリン体が多いものは以下です。
 

  • ●大正エビ:273.2mg
  • ●オキアミ:225.7mg

 
ぎりぎり200には届かないものの、多い数値に近いのは195.3mgのクルマエビです。
なお、極めて少ないものに該当するものはありません。
 

干物

干物の中でプリン体が多いものは以下です。
 

  • ●ニボシ:746.1mg
  • ●カツオブシ:493.3 mg
  • ●マイワシ:305.7mg
  • ●マアジ:245.8mg
  • ●サンマ:208.8mg

 
缶詰のサーモンとツナはそれぞれ132.9mgと116.9mgで、中間くらいのレベルです。
なお、極めて少ないものに該当するものはありません。
 

豆類

豆類の中でプリン体が多いものはありません。
数値が高めのもので172.5mgの乾燥大豆です。
 
プリン体が極めて少ない豆類は下記です。
 

  • ●湯豆腐:21.9mg
  • ●豆乳:22.0mg
  • ●冷奴:31.1mg
  • ●醤油:45.2mg
  • ●枝豆:47.9mg
  • ●ピーナッツ:49.1mg

 

酒のさかな

酒のさかなでプリン体が多いものは以下です。
 

  • ●あんこう肝(酒蒸し):399.2mg
  • ●イサキ白子:305.5mg

 
あんこうの肝はプリン体が多いことで知られていますが、生の状態は104.3mgであり、実はそれほど高くありません。
 
多くは50~70台で、全体的には少ないレベルに該当します。
極めて少ないものに該当するのは、3.7mgのイクラです。
 
 

痛風の予防方法は?

痛風を予防するためには、以下に気を付ける必要があります。

 

  • ●適量を食べる
  • ●プリン体が多い食品を食べすぎない
  • ●お酒は適量にする
  • ●休肝日をつくる
  • ●軽い有酸素運動をする
  • ●水分を2L以上摂る

 
カロリー摂取の制限、必要な体内水分量のキープを意識しながら生活していきましょう。
毎日お酒を飲んでいる方は、週に2回休肝日をつくり、尿酸値の上昇を防止しましょう。
 


できることからで構いませんので、実践できることを少しずつ増やして健康的な毎日を過ごしてください。
 
 

検査方法と検査ができる時期

痛風の検査では、まず症状の現れ方や部位の状態を診察します。
その後、血液検査や尿検査、超音波検査、レントゲン検査を行うことが多いです。
 


また、確実な方法である関節を注射針で穿刺して、尿酸結晶を確認することもあります。
この方法は痛みが強く患者さんに大きな負担がかかるため、できる限り避けられている方法です。
 
血液検査では、血中の尿酸値を知ることができます。
7.0mg/dlを超えた場合は高尿酸血症と診断されます。
ただ、数値だけでは痛風を起こしているかどうか分からないため、検査結果と臨床症状などを組み合わせて診断します。
 
尿検査では、尿酸の排出量や腎機能の確認ができます。
高尿酸血症の合併症として腎機能の低下や腎不全があるため、調べることはとても大切です。
 
超音波検査では、関節内の炎症の程度や尿酸の濃度を推定したり、尿路結石などの高尿酸血症の合併症を確認したりできます。
 
レントゲン検査では、患部の関節と正常な関節とを比較し、腫れ具合などを確認します。
 
 

痛風の治療は?

発症した場合の治療は基本的に対症療法です。
炎症があり痛みが出ているときには、痛み止めや炎症を抑えるステロイド薬、患部で白血球が尿酸結晶を攻撃しないようにする薬などを内服します。
 
炎症が鎮静したことが確認できたら、次は血中の尿酸値を低くする内服薬による治療をスタートさせます。
 
尿酸を生成しにくくする薬、尿酸の排出を促す作用のある薬です。
同時に生活指導も始まります。
 

 
 

まとめ

痛風は、尿酸が結晶として関節にたまり、はがれ落ちた時に白血球が攻撃することで痛みと腫れを感じます。
 
足の親指の付け根の関節に痛風発作が起きやすいです。12〜24時間で痛みがピークに達した後1週間程度で少しずつ改善します。
 
痛風を診断するには、関節穿刺や超音波検査などが有効です。
 
痛風発作時には痛み止めなどを、発作が終わったら尿酸を下げるお薬などを使います。
肥満やお酒を避け、水分をしっかりとり有酸素運動をすることで痛風を予防できます。


 

当院での痛風の検査・治療方法はこちら

詳しくはこちら

 
 

 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
一覧に戻る