インフルエンザとは?原因、症状、治療法について解説

  • クリニックブログ
2023/06/08

インフルエンザとは?原因、症状、治療法について解説

インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染することで、喉が痛い、咳が出る、熱が出るなどの症状が出る感染症です。通常は、数日で少しずつ症状がおさまってきますが、小さい子どもや高齢者、重症な疾患をお持ちの方などの免疫が弱い方は重症化して命に関わる場合もあります。
インフルエンザは、秋くらいから少しずつ増え始め、冬にピークを迎えます。春になり暖かくなってくると流行が落ち着きます。感染力が強く、学校では学級閉鎖になることが多いです。



 

インフルエンザの原因は

インフルエンザは人から人にくしゃみや鼻水、咳などを通じて感染します。また、電車の吊り革や、ドアノブについたインフルエンザウイルスを手で触ったりしてそれが目や口、鼻の粘膜から身体の中に侵入してきます。手で触れるだけでは感染しないので、感染しないためには手洗いなどが重要です。

インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型の3種類があります。A型が一番感染力が強く、流行の原因となり、重症化しやすいと報告されています。インフルエンザウイルスに一度感染すると、そのウイルスに対しては免疫がついて再び感染しにくくなりますが、インフルエンザウイルスは変異といって少しずつ性質を変えることができます。その影響で同じ季節にA型に2回感染することもありますし、次の年に再び感染してしまうこともあります。
A型が最も変異しやすいので、免疫がつきにくいです。C型が変異することは極めて稀なので、一度感染すれば免疫が有効です。B型はA型とC型の中間です。

 

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インフルエンザの症状は

インフルエンザの症状は、突然の38℃以上の発熱、節々の痛み、筋肉痛、頭痛、だるさなどが特徴です。インフルエンザウイルスに感染してすぐに発症するのではなく、1~3日程度の潜伏期間が終わって症状があらわれてきます。
その他にも、鼻水が出る、鼻がつまる、喉が痛い、咳が出る、痰がからむなどの呼吸器症状がでます。インフルエンザは通常、数日から7日程度で症状が改善していきます。その一方で、高齢者、妊婦、肥満の方、乳幼児、免疫不全の方、慢性疾患がある方は重症化しやすいと報告されています。

インフルエンザ自体の症状に加え、免疫が弱ることもあり、脳炎、脳症、細菌性肺炎、心筋炎などを合併することもあります。特にインフルエンザに感染してから7日以上呼吸器症状や発熱が改善しない場合、または増悪傾向にある場合には、インフルエンザによって肺が弱っているところに別の細菌が肺炎を起こし、二次性肺炎となっていることがあるので注意が必要です。

 

検査方法と検査ができる時期/潜伏期間

インフルエンザの検査、診断は、現在迅速診断キットによって行われています。従来は、インフルエンザウイルスを血液などから分離したり、血液中のインフルエンザウイルスに対する抗体があるかどうか調べたりしていましたが、診断までにかなりの時間がかかっていました。迅速診断キットでは、10〜20分で結果が出るので現場で用いるのに非常に役に立ちます。

迅速診断キットは、インフルエンザウイルス量によって陽性か陰性かを判断しています。つまり、インフルエンザウイルス量が少ない状態で検査をしても、実際はインフルエンザにかかっているのに、検査上は陰性という結果になることがあります。発熱してから、12〜24時間程度経過すれば、充分なウイルス量になると考えられているので、検査をする際には発症してからの時間に注意が必要です。

また、迅速診断キットで、実際にインフルエンザウイルスに感染している人で、検査上も陽性となるのは、10人に8人程度です。反対に、インフルエンザに感染していない状態でも迅速検査キットで陽性と判定されるのは、10人に1人程度います。このように迅速診断キットだけではインフルエンザと誤って診断してしまう可能性や、インフルエンザを見逃してしまう場合もあります。インフルエンザは、迅速診断キットだけではなく、周りの流行や、インフルエンザらしい症状などを組み合わせて総合的に診断することが多いです。

 

インフルエンザの治療は?

インフルエンザの治療方法は、薬物療法と対症療法とがあります。薬物療法では、インフルエンザウイルスそのものの数を減らすのではなく、それ以上ウイルスが増えないようにするのを目的としています。そのため、ウイルス量が増加しきる前に薬物療法を開始しないと効果がありません。目安として、症状が出てから48時間以内にお薬を始めるのが良いとされています。薬物療法は、錠剤、吸入、点滴などの種類があり、個々の患者様の状態に応じて使い分けます。また、元々健康な方は、インフルエンザのお薬を使わなくても自分の免疫で自然と治ります。
対症療法としては、発熱や咳、痰のからみ、喉の痛み、関節痛などに対して症状をやわらげるためにお薬を使います。

 

インフルエンザの予防方法は?

インフルエンザを予防するには、普段から気をつけることと、ワクチンがあります。日常生活では、こまめな手洗い、うがい、喉を乾燥させない、人が多く集まる場所に行かない、バランスの良い食生活と充分な睡眠で体調を整える、などがあります。
インフルエンザワクチンは、インフルエンザを発症しにくくさせるだけではなく、発症した後に重症化するリスクを減らします。インフルエンザにかかると多くの方は7日程度で少しずつ治りますが、中には肺炎や脳症などの合併症が起きることがあります。ワクチンはこのような合併症を起こしにくくします。13歳以上の方は原則として1回、13歳未満の方は原則2回接種します。

 


 

まとめ

インフルエンザは、秋から冬にかけて流行する感染症で、インフルエンザウイルスが原因となるウイルスです。
インフルエンザウイルスは、タイプを変えることで毎年のように感染してしまう可能性があります。インフルエンザの診断は、迅速診断キットと流行や症状を組み合わせて行います。インフルエンザに感染すると数日間の潜伏期間がたってから、突然の高熱や全身の関節痛、筋肉痛に加えて、咳や鼻水、咽頭痛などの呼吸器症状が出ます。健康な方であれば、1週間程度で自然と治っていきますが、高齢者や乳幼児など免疫が弱い方は、肺炎や脳症などの合併症が起きてしまうことがあります。インフルエンザの治療方法として、インフルエンザウイルスを増やさないようにするお薬と、対症療法のお薬を使います。発症してからできるだけ早く使うのが大切です。インフルエンザを予防するには、予防接種と、普段から免疫状態を高めて感染しないように行動することが大切です。

 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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