自閉症とは?原因、症状、治療法について解説
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自閉症とは?原因、症状、治療法について解説
自閉症とは
自閉症は、生まれつき対人関係がうまくできず、コミュニケーションを取れず、言語の発達が遅いなどが特徴の障害です。原因はまだ不明ですが、親の育て方などによって発症するものでは決してありません。
自閉症は、生まれつき脳機能が障害を受けていることによって発症すると言われています。知的障害がなくIQが高い人(アスペルガー症候群)から、重度の知的障害がある方まで個人差が大きいです。最近では、自閉症や知的障害、アルペルガー症候群などを完全に分類するのは難しく、疾患を連続したものと捉えてスペクトラムという英単語を用いて、自閉症スペクトラムと呼ばれています。
自閉症スペクトラム症は、人口の1%程度に発症すると報告されており、決して珍しくない疾患です。
自閉症の原因は
自閉症の原因は、現在でもまだ明らかにはなっていません。ただし、子どもの育て方やしつけ、愛情不足などはまったく関係がないことは確かです。本人の性格なども無関係です。また、ストレスやトラウマなどで自分の殻に閉じこもってしまうわけでもありません。
知的障害が重症の自閉症の方は、てんかんを発症しやすいと報告されていますし、自閉症の多くの方は、独特な運動機能や感覚機能を持っていることからも、精神疾患というよりは、生まれつきの脳そのものや機能に問題があると考えられています。遺伝的な要因なども複雑に関わって発症するといわれています。
自閉症の症状は
自閉症の症状は、一人ひとりで異なりますし、発達・成長の段階によっても症状の現れ方が違います。代表的な問題点は、社会的にコミュニケーションが取りづらいことと、こだわりの強さです。
社会的なコミュニケーション障害では、オウム返しをして会話が成立しない、相手の気持ちを汲みとれない、抽象的な話が通じない、暗黙のルールが分からない、表情が乏しい、集団行動ができない、一人での行動が好む、相手との距離感がつかめない、冗談が通じない、話がかみ合わないなどの問題があります。
こだわりの強さでは、物事をやる手順に際してのこだわりが強すぎる、一度熱中すると時間や他の用事などを忘れてやり続けるなどが問題になります。
そのほか、光やにおい、聞こえる音、ものに触れるなどの五感が異常に敏感で気になりすぎたり、鈍感で怪我などを起こしたりして、日常生活を送るのに障害となることがあります。人によっては、乳児期早期から、親や周りの人の身振りの真似や、視線を合わせることが少なく、周りに興味がない様子が分かります。また、乳幼児健診で指摘されることもあります。小学校以降では、友人ができにくく、仮に友人ができたとしてもうまく付き合っていけなかったりすることで判明することもあります。
検査方法と検査ができる時期/潜伏期間
自閉症の診断には、問診するのが最も大切です。診断基準としては、世界保健機関やアメリカ精神医学会の基準を参考にして診断します。診断には、産まれる前後から現在までの発達歴や、これまでにかかった疾患などの情報も重要です。必要に応じて心理検査を行うことも自閉症の診断に役立ちます。
自閉症と診断するには、その他の精神疾患ではないことをチェックすることが必要です。また、自閉症には多くの方が精神疾患を1個以上もっていると言われていますのでその確認も大切です。注意欠如・多動症や知的障害、不安症、学習障害、抑うつ、発達性協調運動症などが代表的です。てんかんや便秘、睡眠障害も合併しやすいので注意が必要です。
自閉症の治療は?
自閉症を根本的に解決し治療することはできませんが、自閉症の方は、独自で少しずつ学習していきます。そのため、一人ひとりのペースにあった対応をするのが大切です。無理に物事を学ばそう、行動させようとしても治療効果は望めません。
乳幼児期から学童期や大人になっていくにつれて、発達段階や発達過程、周りをとりまく環境も変わっていきます。焦らずにその場、その時にあったサポートをしていき、日常生活・社会生活を送れるように支援することが重要です。
また、自閉症に併存している精神病や、てんかんなどの併存症があった場合には、それらに対する薬物治療や心理サポートを行ったりします。
自閉症の予防方法は?
自閉症は生まれつき発症している疾患であり、原因もはっきりとは分かっていないため、予防する方法は現時点ではありません。その一方で、早く自閉症だと診断されれば、その後に成長していく上でのサポートをしやすくなり、本人にとっても周りの家族にとっても生活していきやすくなります。
乳幼児健診で指摘される場合もありますが、日頃から子どもの行動や言動、振る舞いを注意して観察することで、周りの方が気づいてあげられることがあります。視線をあまり合わせない、他人とうまく関われない、周りに興味を示さない、こだわりが強く一人行動が好きで協調性がないなどに気づいたら早めに医療機関に相談してください。
早期発見して適切な環境やサポートを受けなければ、それがきっかけで精神疾患になってしまって、本人も周りも苦しい思いをすることがあります。本人と周りの方がしっかりと自閉症という疾患を理解して対応していくのが重要です。
まとめ
自閉症は、生まれつき、脳の機能が障害されており、コミュニケーションがとりづらくて対人関係がうまくいかかい、こだわりが強くて社会生活や日常生活がうまく送れません。症状の程度はその人によって個人差が大きく、どのような併存疾患があるかも違います。重症の自閉症の場合は、てんかんを併発することが多いです。
検査は、問診や心理検査を行うとともに、他の精神病などを起こしていないかをチェックするのが重要です。治療は、薬物治療などは用いません。自閉症の方は、自分なりの方法で少しずつ学習していくので、周りはそのペースに合わせてサポートしていくのが大切です。ライフステージに沿った対応を心がけ、日常生活・社会生活に支障が出ないようにしてください。
自閉症は、全体の1%に発症すると言われている珍しくない疾患であり、早期発見して早めに対応することで本人も周りも生活を送りやすくなります。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師