ヘルパンギーナの感染予防と注意すべきポイント

  • クリニックブログ
2023/05/24

ヘルパンギーナの感染予防と注意すべきポイント

ヘルパンギーナって何?

ヘルパンギーナは、主に夏季に流行するいわゆる夏かぜの代表的疾患です。口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹と発熱を特徴としている急性のウイルス性咽頭炎です。乳幼児を中心に夏季に流行するものと言われてます。年齢は4歳以下がほとんどとなります。1歳代がもっとも多い疾患です。集団で生活する保育所や幼稚園等では、子ども達の生活距離が近いので集団感染が起こりやすいと考えられます。学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染を受けている場合が多いので成人での発症はあまり多くはありません。毎年5月頃から流行し始めます。ピークは6〜7月となります。その大多数はエンテロウイルス属に属するウイルスに起因し、主にコクサッキーウイルスA群である場合が多いですが、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスで発症する場合もあります。一度感染したウィルスに対する免疫は持続していくため、同じウィルスに再度感染することはありません。


 

ヘルパンギーナの原因って?

ヘルパンギーナは主にコクサッキーA群ウイルス(Coxsackie virus GroupA)を原因とします。ヘルパンギーナにかかった人の咳やくしゃみに含まれるウイルスによって感染します。これを飛まつ感染といいます。水疱の内容物や便に排出されたウイルスが手などを介して、眼や口などの粘膜に入って感染します。これは経口感染や接触感染といいます。急性期にもっともウイルスが排泄されるため感染力が強いです。エンテロウイルス感染としての性格上、回復後も2〜4週間の長期にわたり便からウイルスが検出されることがあります。


 

ヘルパンギーナの症状って?

2〜4日の潜伏期の後に、突然の高熱、咽頭発や咽頭発赤を認め、口腔内に水疱や発赤が現れます。38度以上の発熱を高熱と一般的にいいます。水疱は破れて痛みも伴います。発熱は2〜4日で解熱し7日程度で治癒していきます。それにやや遅れて粘膜疹も消失していきます。発熱時に熱性けいれんを伴うことや口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈することがあります。かしほとんどは予後良好です。合併症としては、熱に伴う熱性けいれんとまれに心筋炎や髄膜炎が生じることがあります。


 

ヘルパンギーナの検査や診断について

検査項目

通常は症状による診断を行いますが、検査診断は病源体の検出によります。感染症法によってヘルパンギーナは五類感染症(定点把握対象)として定められており、定点医療機関から毎週患者数が報告されています。報告のための基準は下記1の臨床的特徴を有する者を診察した結果により、症状や所見からヘルパンギーナが疑われ、かつ、下記2により、ヘルパンギーナ患者と診断した場合、

1. 臨床的特徴

潜伏期は2〜4日、初夏から秋頃にかけて、乳幼児に多い。突然38〜40℃の発熱が2~4日間続き、食欲不振、全身倦怠感、嘔吐、咽頭痛、四肢痛などがある場合もある。咽頭所見は、軽度に発赤し口蓋から口蓋帆にかけて1〜5mmの小さな水疱、これから生じた小さな潰瘍、その周辺に発赤を伴ったものが数個認められる。

 
 

2. ア. 突然の高熱での発症、 イ. 口蓋垂付近の水疱しんや潰瘍や発赤

五類感染症とは、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)が定める感染症の5類型のうちの1つで、感染力や重篤性などに基づく総合的な観点からみた危険性が最も低いとされるものです。ヘルパンギーナの他に、季節性インフルエンザや麻疹、風疹、感染性胃腸炎、RSウイルス感染症などの一般的な感染症は、ここに分類されています。

 

ヘルパンギーナの治療は?

ウイルス性の感染症のため、通常の感冒と同様に抗菌薬は治療の効果がありません。しかし、ヘルパンギーナに罹患しても重症化することはほとんどありません。ほとんどの人が子どもの頃にかかり免疫をつけてきた感染症のひとつです。そのためなるべく感染を拡げないよう、感染対策を行うのがポイントです。治療は特別なものはなく症状に応じた対症療法が行われます。対症療法とは、表面化している症状を緩和させ、苦痛を和らげるための治療法です。苦痛を制御することを目的とする治療である口の中に水疱ができ食事がとり難いため、柔らかく薄味の食事を工夫し、水分補給を心がけることが大切です。嘔吐や頭痛、発熱が続く場合は主治医に相談しましょう。1週間ほどで水泡も熱もひくケースがほとんどですが、発症して2~3日目以降に発熱がひどくなり、吐き気や頭痛を伴う場合は、脳や髄膜にウイルスが侵入している可能性がありますので注意が必要です。その場合は入院して治療を行います。
もしお子さんがヘルパンギーナと診断されたら、自宅でできるだけゆっくり休ませ、脱水症状にならないよう栄養補給・水分を充分にさせることを心がけましょう。口の中が痛くて食事を嫌がったりすることもありますので、痛みを増強させないために刺激物や味の濃い食べ物は避け、口当たりのよいものや軟らかいものを食べさせるようにしましょう。例えばオレンジジュースなど酸味の強いものはしみて強く痛むため摂取しづらいですが、牛乳などは比較的痛みが少ないので摂取しやすいでしょう。

 
 

ヘルパンギーナの予防方法は?

ヘルパンギーナに対しての予防接種はありません。基本的な予防策は「自分の体の中に病原体を持ち込まない」ということです。多くの病原体はのどや消化器官の粘膜、鼻の粘膜、眼の粘膜から感染します。これらの粘膜に病原体の付いた手で触らないために第一に「手洗い」を行います。「咳エチケット」は、これらの感染症を他人に感染させないために、個人がくしゃみ・咳をする際に、マスクやハンカチ・ティッシュ、袖を使って、鼻や口をおさえることです。特に電車や学校、職場など人が集まるところで実践することが重要です。
 エンテロウイルスはエンベロープを有しないウイルスです。アルコール消毒の場合には長時間を要し熱水(98℃15〜20分)で消毒が可能です。

 

 

まとめ

ヘルパンギーナの原因となるウイルスは、飛沫感染、経口感染、接触感染などで感染します。そのため、幼稚園、保育所では玩具のこまめな消毒が望まれます。症状が消失しても、2週間から4週間の長期にわたり、糞便中にウイルスが排泄されることがありますので注意が必要です。ヘルパンギーナに有効な特効薬・治療はありません。症状に応じて解熱鎮痛薬を使って熱を一時的に下げたり、頭痛をやわらげます。また、適宜こまめな水分補給を行い、脱水状態にならないように努めてください。ただ、当院には小児科がありません。そのため症状の改善を認めない時には、早めに近医受診をお願いいたします。


 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

  • 麻酔科標榜医
  • 日本医師会認定産業医
  • 専門

  • 麻酔・救急・内科/外科全般

学歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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