ガングリオンとは?原因、症状、治療法について解説
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ガングリオンとは?原因、症状、治療法について解説
ガングリオンって何?
皆さんはガングリオンという病気を聞いたことはありますか?
ガングリオンは中にゼリー状の物質が詰まった腫瘤(しこり)です。
主に関節包(関節を包む組織)や腱鞘(腱を包む組織)に何らかの変性が生じてできます。
米粒くらいの大きさからピンポン玉くらいのもの、柔らかいものや硬いものなど、さまざまな大きさや硬さがあります。腫瘤(しこり)の中身によっては、大きくなったり小さくなったりと大きさが変化することもあります。
手首の甲にできることが非常に多く、その他にも親指の付け根、ばね指の下などに発生しやすいです。約80%が手の周囲にできますが、身体のあらゆる場所に発生する可能性があります。
ガングリオンの原因って?
では、なぜガングリオンができてしまうのでしょうか?
ガングリオンは関節包(関節を包む組織)や腱鞘(腱を包む組織)が損傷してしまうことでできます。
身体中の関節は滑らかに動けるようにするために水で満たされているのですが、関節包(関節を包む組織)や腱鞘(腱を包む組織)が損傷して袋のようになると、その袋の中の関節にある水が流れて溜まってしまい、ゼリー状に固まってしまいます。これがガングリオンです。
発症するのは若い女性が多いです。また、ガングリオンの80%は手首の周りにできるとされております。
ただ、必ずしも手や指をよく使うと発症するということはありません。明確な発症メカニズムは未だに解明されておりません。
また、稀にですが骨や筋肉・神経などにガングリオンができることもあります。これらの骨・筋肉・神経にできるガングリオンは粘液変性したものが融合してできると考えられております。
ガングリオンの症状って?
ガングリオン自体は良性の腫瘤(しこり)です。良性なので、ガングリオン自体が痛んだり、身体に悪さをすることはありません。しかし、ガングリオンが神経の側にできるとガングリオンが神経を圧迫して、しびれ・痛み・運動麻痺などを起こすことがあります。
ガングリオンの検査方法ついて
ガングリオンは腫瘤(しこり)の特徴や発生部位などから「ガングリオンではないか?」と予測をたてることができます。
しかし、ガングリオンと同じような症状を引き起こす腫瘤(しこり)がいくつかあるので、画像検査や吸引検査をして診断を確定させる場合があります。
1: 吸引検査
腫瘤(しこり)に針を刺して内容物を吸引し、中身の性状を調べる検査です。
淡く黄色いゼリー状の内容物が吸引されれば、ガングリオンであると診断できます。
腫瘤(しこり)の内容物を吸引することで、腫瘤(しこり)が小さくなったり消失したりするため、治療として吸引されることもあります。
外側から触れられないような小さなガングリオンはMRI検査や超音波などの画像検査をして診断します。
2: 画像検査
腫瘤(しこり)の形や大きさ、周りにある骨・関節包(関節を包む組織)・腱鞘(腱を包む組織)との位置関係を確認するために行います。針を刺して吸引しなくても内容物の形状がある程度わかる場合もあります。主に行われる画像検査はMRI検査か超音波検査です。
MRI検査は約20〜30分程度の検査です。検査中はずっと身体を動かさないようにしなければならないため、人によっては辛く感じるかもしれません。また、身体の中にペースメーカーなどの医療機器が入っている方や、刺青やアートメイクをしている方はMRI検査を受けることができない場合があります。ですがMRI検査では腫瘤(しこり)の内容物だけでなく、周りにある骨・関節包(関節を包む組織)・腱鞘(腱を包む組織)との位置関係がとても良く観察できます。
超音波検査は比較的短い時間で行うことができる検査です。既往歴に関わらず検査を受けることができますが、撮影できる画像はやや荒く、診断には熟練者の知識と技術が必要です。
ガングリオンの治療は?
ガングリオンは良性の腫瘤(しこり)なので、特に症状が出ていなければ治療を行わなくても良いとされております。しかし、周りにある神経を圧迫して痛みがでている場合は、吸引治療や手術が必要な場合があります。
ガングリオンに直接力を加えて押し潰す治療法もあります。ただし、押し潰す治療は神経や骨、筋肉など正確な知識が必要です。安易に自分で圧迫すると感染を起こすおそれがありますので、必ず整形外科の専門医による治療を受けてください。
1: 吸引による治療
吸引検査と同じように、ガングリオンに針を刺して内容物を吸い出します。これによってガングリオンが小さくなったり、場合によっては消失したりするため神経を圧迫することが無くなり、痛みが軽減します。
身体への負担が少なく短い時間で簡単に行える治療なので、ガングリオンの治療としては1番最初に行われることが多いです。ですが、腫瘤(しこり)の原因となっている関節包(関節を包む組織)や腱鞘(腱を包む組織)にくっついている袋は残ったままなので、再発する可能性があります。
何度も繰り返し吸引を行うことで、袋が小さくなっていき腫瘤(しこり)ができにくくなることもあるとされております。
2: 手術
注射による吸引を何回行っても再発を繰り返す場合や、重度な神経症状がでている場合は手術する場合があります。
関節包(関節を包む組織)や腱鞘(腱を包む組織)にできた袋を根元から切除する手術をするので、再発しにくいです。
ガングリオンの予防方法は?
ガングリオンの発症メカニズムは、実は正確には解明されていません。そのため、確実な予防法はないとされています。ですが、発生したガングリオンは手や指を使い過ぎることで大きくなるとされています。
万が一ガングリオンを疑った場合には、整形外科を受診してみましょう。正しい診断を受けて、適切な治療について相談することが何よりも大切です。
まとめ
自分の指や手首にこぶが出来ているとびっくりしてしまいますよね。
ガングリオンは良性の腫瘤(しこり)なので、いま特に痛みやしびれを感じていないのであれば、無理に病院へ行く必要は無いと思います。
ですが、痛みやしびれが出たり、腫瘤(しこり)の見た目がどうしても気になってしまうようであれば、ぜひお近くの整形外科を受診してみてください。専門の医師に相談、診察してもらうことで、快方へ向かうでしょう。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師