今年の飛散予想と花粉症対策

  • クリニックブログ
  • 病気・症状
  • 豆知識
2023/01/20

今年の飛散予想と花粉症対策

まだまだ余寒きびしい日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
ティッシュをたくさん使う花粉の季節が近づいてきましたね。
本日は2023年の花粉の飛散予測とその対策についてお話しします。

 

2023年春シーズンの花粉の飛散傾向

【例年比】
2023年春の花粉飛散予測は、九州では例年並み、四国と中国、近畿、北陸ではやや多くなり、東海では多く、関東甲信と東北では非常に多く飛ぶ見込みです。北海道は例年よりやや少ない予定です。

 

【前シーズン比】
九州から東北にかけて前シーズンより飛散量は多く、特に四国、近畿、東海、関東甲信では非常に多く飛ぶ見込みです。前シーズンは症状が弱かった方も万全な花粉症対策が必要になりそうです。

 

【飛散量の予測根拠】
花粉の飛散量は前年夏の気象条件が大きく影響します。気温が高く、日照時間が多く、雨の少ない夏は花芽が多く形成され、翌春の飛散量が多くなるといわれています。
2022年の夏(6月~8月)は梅雨前線の活動が弱く、特に6月の降水量は西日本 太平洋側でかなり少なく、日照時間は東日本日本海側と西日本 太平洋側でかなり多くなりました。また、6月後半から7月上旬にかけて太平洋高気圧が強まり、東・西日本を中心に晴れてかなりの高温となりました。そのため、6月に「高温・多照・少雨」となり、スギの花芽形成に好条件となり、2021年~2022年に花粉飛散量が少なかった地域が多く、スギの木に花芽を形成させるエネルギーが蓄えられていたため、より一層スギの花芽形成が促進されたと考えられます。

 

 

2023年のスギ花粉の飛散開始時期

スギ花粉の飛散開始日※は、九州から東北まで例年並みとなるでしょう。2月上旬に九州や四国、中国、関東の一部から花粉シーズンがスタートする見込みです。
2023年の1月から2月にかけての平均気温は、西日本と東日本で平年並みか低く、北日本ではほぼ平年並みで、この時期らしい寒さにより休眠打破が順調に行われて、スギ花粉の飛散開始は各地で例年並みとなる見通しです。
スギ花粉は、飛散開始と認められる前からわずかな量が飛び始めます。2月上旬に飛散開始が予測される地域では、1月のうちから早めに花粉対策を始めるとよいでしょう。
※飛散開始日:1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を2日連続して観測した場合の最初の日

 

対策について

【初期療法】
初期療法とは「花粉シーズン時の症状を抑える、または軽くする為に、発症する少し前からクスリの服用を始めておく治療方法」のことです。
通常ですと花粉飛散が大体2月上旬~下旬ですので、その頃かそれ以降に飲み始めますが、初期療法では、1月上旬~下旬に服薬をスタートしていただきます。理由としては、薬が体内で充分な効果が発揮されるまで約2週間程度かかること、年明けから微量ながらスギ花粉が飛んでいるため、症状を引き起こす前の段階でアレルギー反応を抑えることにより良い効果が得られることが挙げられます。
たったこれだけなのですが、得られる結果はかなり変わってきます。特に、毎年の症状が中等症以上になる方で、楽にシーズンを乗りきりたいと考えている方におすすめです。

 

初期療法で期待できること
● 症状の出現を遅らせること。
● 飛散量の多い時期の症状を軽くすること

 
主な治療薬
花粉症に効く薬は、時期と症状によって異なります。初期療法には、主に第2世代抗ヒスタミン薬などの経口薬が用いられ、症状が重い場合には鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)やロイコトリエン拮抗薬などが併用されます。 (一部の薬は、ドラッグストアなどでは手に入れることができず、医師の処方によってしか入手することができません。)
毎年の症状の出方、治療の希望、現在の症状の程度をしっかり把握し、医師と一緒に自分に合った治療薬をみつけましょう。
 

【日常生活における対策】
花粉に触れる機会・量を減らすことが大切です。
ニュースなどで花粉の飛散状況をチェックし、飛散の多いときには念入りに対策したり、外出を控えたりするようにしましょう。
具体的な対策としては、以下のような対策が有効です。
 
1.マスク、眼鏡、帽子を着用する。
2.表面がすべすべした素材のコートを着用する。
3.帰宅時に衣服や髪をよく払ってから入室する。
4.入室後、すぐにうがい、手洗い、洗顔をする。
5.窓、戸をなるべく閉めておく。換気時には窓を小さく開け、短時間にとどめる。
6.洗濯物の外干しは避け、室内干しや乾燥機を使用する。
7.こまめに掃除をする。特に窓際を念入りに掃除する。
8.空気清浄器を使用する。
 
その他に喫煙、睡眠不足、過労、ストレス、偏った食事などは症状を悪化させる要因といわれていますので、シーズン中はこれらを避けるといった配慮も必要でしょう。

 

<参考文献>
・花粉症対策と治療について
https://www.hospital.japanpost.jp/health/health201702.html

・目と鼻の症状と治療

https://www.kyowakirin.co.jp/kahun/treatment/nose02.html

・日本気象協会 2023年 春の花粉飛散予測(第2報)
~2023年春の飛散量は、前シーズンを大幅に超えるところが多い~

https://tenki.jp/pollen/expectation/

一覧に戻る