INDEX
1.
梅毒とは
2.
原因と感染経路
3.
症状
4.
検査方法と検査ができる時期
5.
治療方法
6.
予防方法
7.
妊娠中の梅毒感染について
8.
感染後の注意点
9.
梅毒に関するよくある質問
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌による性感染症で、世界中で広くみられる深刻な公衆衛生上の問題です。主に性的接触を通じて感染します。 さまざまな症状が現れる、症状が一時的に消えることがあるなど、感染していることに気づきにくく、治療の開始が遅れてしまう危険があります。特に初期症状は他の性感染症と似ていることがあるため確実な診断には検査が必要です。 近年、日本を含む多くの国で感染者が急増しており、早期発見と適切な治療が重要です。 早期の薬物治療で完治が可能ですが、検査や治療が遅れたり治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。
性感染症(STD)についてはこちら
梅毒はスピロヘータ科トレポネーマ属の細菌である梅毒トレポネーマの感染によって生じる性感染症です。梅毒トレポネーマは性交渉(肛門、咽頭性交含む)などによる粘膜や皮膚の微細な傷から侵入します。全身に広がり、あらゆる臓器に急性・慢性炎症を引き起こし、全身に様々な症状が出ます。感染した妊婦の胎盤を通じて胎児に感染する場合もあります(先天梅毒)。 厚生労働省によると2021年(令和3年)の患者報告数は7,875人でこれまでの最多報告数であった2018年(平成30年)の7,007人を上回りました(以下「梅毒報告数推移」参照)。その後も報告数は増加傾向であり、性風俗店利用者の増加や性生活の多様化などがその原因として考えられています。 現在、性感染症の梅毒の感染者数は、2022年9月までで8000人以上に上り、すでに去年1年の感染者数を上回っています。感染のリスクがある行為に心当たりがあり、少しでも症状に不安のある方はご受診ください。
梅毒の患者数が近年急激に増加しており、以下のような状況が報告されています。
2021年以降、日本の梅毒患者の届出数が急増し、過去最多を更新し続けています。2023年には過去最高を記録し、2024年も高い水準で推移しています。
若年女性の感染増加に伴い、妊娠中の感染や先天梅毒のリスクが高まっています。 この急増傾向は、梅毒が「再興感染症」として認識されるほどの深刻な状況にあることを示しています。早期発見・早期治療が重要であり、特に若年層や妊婦への注意喚起が必要とされています。また、性的接触による感染が主な経路であることから、安全な性行為の実践や定期的な検査の重要性が強調されています。
感染がおきた部位(陰部、口唇、口腔内、肛門周囲)に初期硬結、硬性下疳(ぶつぶつ、ただれ、潰瘍、しこり)ができます。性器ヘルペスと紛らわしいことがありますが、痛みを伴わないことが多いです。稀に痛みを伴うこともありますので、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。また、病変の近くのリンパ節が腫れることもあります。治療せずに放置すると自然退縮して次の病期に入りますが、第Ⅱ期の症状と重なることもあります。
梅毒トレポネーマが体内で増殖し血液によって全身に運ばれ様々な症状を起こします。梅毒性バラ疹、丘疹性梅毒、扁平コンジローマを代表として他の疾患と紛らわしい様々症な病変(皮膚にうっすら赤い発疹がでる、皮膚が白くなる、脱毛、イボ)を起こすことがあります。 その他に咽頭炎症状、精神神経症状、胃潰瘍症状、急性肝炎症状、腎炎症状、全身リンパ節腫脹などあらゆる全身の症状を伴うことがあります。 放置すると自然に症状が軽快して次の病期に入ることが多いですが、治療しない限り、病原菌である梅毒トレポネーマは体内に残っており、梅毒が治ったわけではありません。第Ⅱ期の症状が再発することがあります。 第Ⅰ期と第Ⅱ期を早期梅毒といい、性的接触による感染力が強い時期です。
感染から1年以上経過した梅毒を後期梅毒といいます。性的な接触での感染力はないとされています。皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。また、心臓、血管、脳、脊髄などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死亡に至ることもあります。現在、我が国でみられるのは稀です。
実際の梅毒の症例写真
血液検査(抗体検査)で梅毒の判断をします。症状が出ていても気づかないことや、症状が出ない時期もありますので、医師による診察や問診も重要です。血液検査の結果の解釈は医師でないと難しいことがあります。第Ⅰ期の最初の数週間は血液検査をしても陽性反応が出ないことがあるため、感染したと思われる時から1ヶ月以上期間をあけて、検査をしてください。
1
医師問診
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梅毒TP抗体定性 RPR方定性にて採血検査
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1週間後結果説明
性病検査についてはこちら
ペニシリンという抗菌薬を内服することで治療します。アレルギーがありペニシンが使えない方は他の抗菌薬を使います。病期などにより内服期間は異なります。効果判定は血液検査で行います。治療終了と医師から言われるまでは、処方された薬は確実に飲みましょう。治療中は性交渉を控えてください。また、性交渉の再開時期も医師に確認してください。これまでは内服の抗菌薬が一般的でしたが、2022年1月に1回投与(後期梅毒は3回)するだけのペニシリン注射薬が国内で使用可能となり、より確実な治療ができるようになりました。
感染部位と粘膜や皮膚が直接接触をしないように、性行為時にはコンドームを使用することが勧められます。感染力の強い第 I 期及び第 II 期の感染者との性行為や疑似性行為は避けることが基本です。キスで感染することもあります。コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、コンドームを使用しても100%予防できると過信はせず、皮膚や粘膜に異常があった場合は性的な接触を控え、早めに医療機関を受診して相談しましょう。
公益財団法人 性の健康医学財団理事長が監修 梅毒について
妊娠中の梅毒感染は母体と胎児の両方に深刻な影響を及ぼす可能性があり、胎盤を通じて胎児に感染する先天梅毒のリスクが高まります。これにより、流産、早産、死産のほか、生まれてくる子どもに神経系や骨格の異常、難聴、視覚障害などの先天性障害が生じる可能性があります。 症状は出生時に現れないこともありますが、後に発症することもあるため、妊娠早期での検査と適切な治療が重要で、これにより胎児への影響を最小限に抑えることができます。
いいえ、梅毒に対する免疫はできません。再感染する可能性があります。
いいえ、治りません。適切な治療が必要です。
基本的な症状の進行は同じですが、現れる部位に違いがあることがあります。
はい、妊娠中でも治療可能です。むしろ、胎児への感染を防ぐために積極的に治療を行います。
ある程度の予防効果はありますが、完全ではありません。感染部位によっては予防できないこともあります。
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