かぶれは誰でも起こるもの?接触性皮膚炎の種類・原因や治療法・予防法を解説

  • クリニックブログ
2024/05/01

かぶれは誰でも起こるもの?接触性皮膚炎の種類・原因や治療法・予防法を解説

「化粧品のせいで肌がかゆい」「腕時計をしていたらヒリヒリする」こうした症状は、医学的には接触性皮膚炎、一般的にはかぶれと呼ばれています。「かぶれは誰でも起こる?」「かぶれる物質はどんなものがある?」「かぶれを予防したい」このような疑問を持たれる方もいることでしょう。
 
今回は、かぶれの種類や原因、かぶれの原因になる代表的な物質リスト、かぶれの治療法・予防法を解説します。

 

かぶれとは

かぶれとは、皮膚に刺激物質やアレルゲン物質が触れることで引き起こされる皮膚の炎症のことです。物質に触れることで発症するため、医学的には「接触性皮膚炎」と呼ばれます。接触部分の皮膚にかゆみや赤みが出たり、腫れや水ぶくれといった症状が出たりします。原因物質は自然のものから人工物までさまざまで、人によっても違いがあります。
 
かぶれを起こさないためには、原因と思われる物質に触らない、接触しない工夫をすることが大切です。

 
 

かぶれの種類と原因

かぶれはその原因によって、大きく4つに分類できます。

刺激性接触皮膚炎

刺激性接触皮膚炎は、肌のバリア機能でも守りきれないほどの強い刺激物質に触れてしまったときに引き起こされます。たとえば、強酸や強アルカリといった化学物質などに触れると、強いかぶれを生じます。物質そのものが強い刺激を持つことが原因であり、刺激性接触皮膚炎は誰にでも起こり得るものです。
 
また、刺激性接触皮膚炎は原因となる物質に触れて数分以内に症状が出ることがほとんどです。しかし原因物質の濃度が低いケース、たとえば薄めた強酸などに触れた場合は、数日経ってから症状が出ることもあります。さらに、石鹸やシャンプーなど毎日の入浴時に使うものでも刺激物質が入っていれば、徐々に皮膚炎の症状が出ることがあります。
 

アレルギー性接触皮膚炎

アレルギー性接触皮膚炎とは、免疫システムによって引き起こされる皮膚炎です。特定の物質に対してアレルギー反応を獲得した人にのみ発症するものであり、刺激性接触皮膚炎のように誰もが起こり得るものではありません。人によってアレルゲンとなる物質には違いがあります。
 
アレルギー反応を獲得した場合、アレルゲンに触れることで数時間から1日程度で皮膚症状が出てきます。ただし、数日~1週間くらいしてから症状が出るケースもあります。
 

光接触性皮膚炎

光接触皮膚炎とは、物質とともに光や紫外線がきっかけとなってかぶれ症状が引き起こされるものです。たとえば、化粧品を塗っただけでは特に問題はないものの、強い日光を浴びることで症状が出ます。光接触性皮膚炎は皮膚の赤みやかゆみだけでなく、水ぶくれができたり火傷のような症状が出たりすることもあります。

 

全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群

全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群とは、物質が接触した部分だけでなく、かぶれが全身に出てしまうことです。アレルゲンが血液やリンパによって全身に送られる、注射などでアレルゲンが体内に侵入するといったケースで引き起こされます。

 
 

かぶれの原因になりやすい物質リスト

接触性皮膚炎の原因となる物質は人工物だけでなく自然のものもあり、多岐にわたります。中でも、以下のようなものが原因物質となることが多いです。
 

  • 植物:ウルシ、ブタクサ、ドクダミ、イラクサなど
  • 食品類:里芋、山芋、しそ、パイナップル、各種柑橘類、唐辛子、胡椒など
  • 日用品:洗剤、化繊の衣服、シャンプー、ゴム製品、ヘアピン、化粧品、毛染め液、時計など
  • 金属:ニッケル、マンガン、コバルトなど
  • 医薬品:日焼け止め、痛み止め、湿布、目薬など
  • 日常的に使う化粧品や腕時計は、使用した部位だけかぶれを生じます。使い続けると色素沈着してしまうことがあるため注意が必要です。


 
 

かぶれの症状

接触性皮膚炎は軽いかぶれ程度の軽度の症状だけでなく、水ぶくれができるなどの重度の症状が出ることがあります。

軽度の症状

接触性皮膚炎は赤みやぶつぶつが出る、かゆみがあるといった程度の軽い症状であることがほとんどです。
 

重度の症状

原因物質の刺激が強い、ひどいアレルギー体質であるといったケースでは強い皮膚症状が出ることもあります。水ぶくれになる、ただれてしまう、細菌感染して膿が出る、火傷のような状態になるなどです。また、全身性接触皮膚炎では、発熱することもあります。
 

かぶれの検査と診断

接触性皮膚炎ではパッチテストという検査を行います。パッチテストとは、原因と考えられる物質を皮膚に接触させ、炎症反応があるかを調べる検査のことです。パネルシートという複数のアレルゲンが付いたシートを一定時間貼り付けて評価を行います。
 
パッチテストにより原因が明らかになることがほとんどですが、原因不明であることもあります。


 
 

かぶれの治療法

まず、かぶれの原因物質を取り除くことが大切です。原因物質に触れてしまいかぶれた部分を、石鹸でよく洗い流しましょう。ただし、ゴシゴシと強く洗うと症状が悪化する可能性があるため注意してください。原因物質除去後に、ステロイド外用薬を用いて炎症を抑えます。軽度の場合は数日で完治しますが、長期化するケースもあります。あまりに長引く場合は、再度病院を受診して医師に相談しましょう。


 
 

かぶれの予防法

接触性皮膚炎は原因が明らかですので、予防することが可能です。

原因物質を触らない

原因物質がわかっていれば、それに絶対に触れないようにしましょう。そうすれば、接触性皮膚炎になることはありません。
 

肌は清潔に保つ

常に肌を清潔にしてバリア機能を正常に保つようにしましょう。万が一、原因物質に触れてしまっても軽症でおさまりやすいです。
 

自分の肌を理解する

衣服やアクセサリーに使われている素材が自分の肌に合うかどうかを把握しましょう。

 

掻かない・こすらない

もしかゆみが出てしまっても、掻きむしったりこすり洗いしたりしないようにしましょう。掻いてしまうとさらにかゆみが広がりますし、皮膚が傷ついて細菌感染するリスクが高まります。
 

保湿クリームも効果的

保湿クリームを塗ることで、肌のバリア機能を高めやすくなります。また、クリームの層ができるため、原因物質に少し触れた程度なら症状が出にくくなったり、軽度でおさまったりします。過信は禁物ですが、スキンケアの一環として試してみてください。


 
 

まとめ

かぶれ(接触性皮膚炎)は原因物質に触れることで引き起こされる皮膚症状です。接触性皮膚炎の種類によって原因となる物質は異なりますが、「皮膚症状が出たことがあるなら触れないようにする」ことが何よりも大切です。また、接触性皮膚炎の症状が出たら、なるべく早く洗い流し、薬による治療を行いましょう。


 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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