腰痛の原因や予防・対策、治療法を解説!コロナとの関連も
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腰痛の原因や予防・対策、治療法を解説!コロナとの関連も
「腰痛はなぜ起きる?」
「痛すぎて辛いから予防法や治療法が知りたい」
「コロナとも関係あるって本当?」
というようなさまざまなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
腰痛は幅広い年代で発症する可能性のある疾患です。しかし、生活習慣や姿勢などに気を付けることで改善されたり、予防できたりします。ただし、病気による腰痛も考えられるため、発症原因を知っておくことは完治させるためには必要不可欠です。
本記事では、腰痛が起きる原因や予防方法、対策方法、治療法について解説します。コロナとの関係についても解説しているので、最後までご覧ください。
腰痛の原因は大きく「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」に分かれる
腰痛を起こす原因は大きく「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」に分けることができます。それぞれがどのような腰痛なのか詳しく説明します。
特異的腰痛とは
腰痛を起こしている原因がはっきりとわかるのが特異的腰痛です。神経を圧迫され痛みが生じる病気を患うことが原因で、腰の痛みを引き起こすものを指します。
代表的な病気として以下のようなものがあります。
- 1. 椎間板ヘルニア
- 2. 腰部脊柱管狭窄症
- 3. 変性すべり症
- 4. 変形性脊椎症
- 5. 骨粗鬆症
- 6. がんの転移
- 7. 脊椎炎
- 8. 内臓や血管系の疾患
それぞれの病気の特徴について解説します。
代表的な病気 ①椎間板ヘルニア
1つ目に紹介するのは「椎間板ヘルニア」です。椎間板を構造する髄核(ずいかく)の一部が外に突出することで神経が圧迫し、痛みや痺れを引き起こす病気です。ヘルニアを起こした箇所によっては腰痛を発症するのですが、年齢が若い方の腰痛発症要因として多く見受けられています。
無理な姿勢を維持したまま長時間過ごしたり、タバコを吸う習慣があったりする人は発症しやすい傾向があります。
椎間板ヘルニアについて詳しくはこちら
代表的な病気 ②腰部脊柱管狭窄症
2つ目に紹介するのは「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」です。脊椎(せきつい)の内部には神経が通っています。この神経の通り道が何らかの原因で狭くなることで神経が圧迫され、腰痛を引き起こしてしまうのです。この通り道が狭くなる原因は、加齢によることが多く、年配の方にみられる傾向のある疾患です。
歩き続けると腰から足にかけて鋭い痛みを感じ歩けなくなってしまいますが、休憩を挟むと歩けるようになるといった特徴があります。
代表的な病気 ③変性すべり症
3つ目に紹介するのは「変性すべり症」です。変性すべり症は腰部脊柱管狭窄症とよく似た症状の病気です。長距離を歩くのが厳しく、しゃがんだり休んだりしなければ歩き続けることは難しいです。
歩ける距離は日によって異なるため、極端に歩けない日もあれば、長めに歩ける日もあります。腰痛を患うパターンは少ない傾向ですが、腰痛の原因として考えられる疾患です。
代表的な病気 ④変形性脊椎症
4つ目に紹介するのは「変形性脊椎症」です。年齢によって支える筋肉や骨が弱くなり、脊椎が異常に変化する病気です。軽症であれば自覚症状がなく普通に過ごすことができますが、進行すると慢性的な痛みや可動域の制限という症状を引き起こします。
また、神経症状を起こし、腰痛になるという場合もあります。
代表的な病気 ⑤骨粗鬆症
5つ目に紹介するのは「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。骨の密度が少なくなり、内部が空の状態になる病気です。閉経すると骨からカルシウムが体外に出ていきやすくなるため、女性に多い傾向があります。
ただし、骨粗鬆症そのものは腰痛を発症しません。骨が脆くなり体を支えられず、それにより脊骨が潰れることで腰の鋭い痛みを起こします。
骨粗鬆症について詳しくはこちら
代表的な病気 ⑥がんの転移
6つ目に紹介するのは「がんの転移」です。がんの転移によって腰痛が現れるケースも多々あります。たとえば、肺がんが脊椎の骨に転移するとそこでがん細胞が増殖し、骨を破壊していきます。
さらに、骨の破壊が進み骨折すると、脊髄に骨の破片があたって腰痛を引き起こすことがあるのです。ほかにも、腫瘍そのものが脊髄を圧迫して腰痛が起きるパターンもあります。
代表的な病気 ⑦脊椎炎
7つ目に紹介するのは「脊椎炎」です。脊椎炎は、何らかの原因で脊椎に炎症が起きている状態です。脊椎に炎症が起こる疾患は「感染性脊椎炎」と「強直性脊椎炎」があります。感染性脊椎炎は細菌感染が原因ですが、強直性脊椎炎の原因はまだはっきりとわかっていません。
代表的な病気 ⑧内臓や血管系の疾患
最後に紹介するのは「内臓や血管系の疾患」です。腎結石や胆石といった泌尿器系の病気、子宮内膜症といった子宮の病気などによって腰痛が引き起こされることがあります。血管系の疾患のなかでも、大動脈解離は激しい腰痛とともに発症します。
非特異的腰痛はほとんどが原因不明
非特異的腰痛は、ほとんどが原因不明です。また、腰痛を引き起こす病気を完治させたにもかかわらず、腰痛は残っているというような場合も非特異的腰痛に分類されます。
検査で異常が見つからない場合の腰痛の原因として、以下のようなものが考えられています。
- ● ストレス
- ● 検査ではわからない微妙な血流減少
- ● 検査ではわからない微妙な筋力低下
- ● 検査ではわからない微妙な筋肉のこわばり など
この先検査技術が進めば、原因を突き止められる腰痛も増えてくるかもしれません。
腰痛の予防・治療・対策について
辛い腰痛に悩まされないための予防や治療、対策の方法について紹介します。
予防や対策のポイント
腰痛を起こさないための予防や対策のポイントは以下の3つです。
- 1. 【ポイント1】ストレッチ含む運動を心掛ける
- 2. 【ポイント2】正しい姿勢を意識
- 3. 【ポイント3】物の持ち上げ方を意識
では、一つずつ解説していきます。
【ポイント1】ストレッチ含む運動を心掛ける
ひとつ目のポイントは、体を動かすことです。ストレッチを含む体を動かす動作は筋肉の血流を良くし、緊張状態によって凝り固まるのを予防できます。ヨガの猫のポーズは、背中をほぐすのにおすすめです。背中が凝ると腰も凝るため、背中の筋肉をほぐしていきましょう。
その方法は
- 1. 四つん這いになります
- 2. 息を吐きながら頭を下に向けます
- 3. 息を吸いながら顔を前方に向けます
回数は特に決まっていないため、無理をしない程度に行うと良いでしょう。
とても簡単なストレッチなので、空き時間に実践してみてください。
【ポイント2】正しい姿勢を意識
正しい姿勢を意識することは、腰痛の予防対策につながります。腰に負担をかける姿勢は体を歪ませ、腰痛を引き起こす原因となってしまうのです。
たとえば、腰に痛みを感じやすくなる姿勢には以下のようなものがあります。
- ● 足を組んで座る
- ● 立ったときの重心が片足に偏っている
- ● 横座りをするときにいつも方向が固定されている など
腰に疲労を与える姿勢を避け、腰痛予防を行いましょう。
【ポイント3】物の持ち上げ方を意識
重いものを持ち上げる時の姿勢を意識しましょう。腕だけの力で上げようとすると腰に負担がかかるため、必ず腹筋に力を入れて持ち上げます。また、膝をついた状態で持ち上げる時に一緒に立ち上がるようにするのも、腰に負担がかかりにくくなるのでおすすめです。
治療法はさまざまある
腰痛症の治療法は以下のとおり、さまざまあります。
- 1. 【治療法1】リハビリ治療
- 2. 【治療法2】薬物療法で治療
- 3. 【治療法3】整形外科などで神経ブロック療法を受診
- 4. 【治療法4】認知行動療法
では、ひとつずつ解説します。
【治療法1】リハビリ治療
リハビリ治療は、症状がある程度落ち着いてから行います。症状の治りを早くする効果が期待できます。
【治療法2】薬物療法で治療
痛みを和らげるために薬物療法で治療することがあります。薬の種類は症状の現れ方によって異なり、医師が見極めて処方します。
【治療法3】整形外科などで神経ブロック療法を受診
痛みがどうしても取れない場合は、整形外科やペインクリニックで神経ブロック療法を行う方法もあります。しかし、耐えられないほどの痛みの場合は、神経ブロック注射でも効果が期待できないこともあるので注意が必要です。
【治療法4】認知行動療法
普段の行動を見つめ直し、腰痛を起こさないために対策をしていく方法です。生活習慣に原因がある場合に効果的です。
コロナと腰痛の関係性とは
コロナを発症した方の中で、腰痛を訴える人が続出しています。たとえば、広島県が公開しているコロナ感染事例を見ても、腰痛を訴えている方が多数見受けられます。実は、ウイルス感染者は腰痛の症状を発症するケースがあり、これはコロナに限った話ではありません。インフルエンザなどのウイルス感染を起こすと筋肉痛も併発することもあるので、腰痛もその一種と考えられます。
まとめ
腰痛は、原因となる病気を治したり、日常生活の行動や姿勢に気をつけたりすることで予防・改善できます。また、コロナによる腰痛はコロナそのものではなく、ウイルスによる炎症で筋肉痛が起きることが原因と考えられています。
発症原因は複数あり自己判断は難しいため、医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師