麻疹の影響とは?合併症や重症化を防ぐ食べ物とあわせて解説

  • クリニックブログ
2024/02/14

麻疹の影響とは?合併症や重症化を防ぐ食べ物とあわせて解説

昔は軽視されていた病気が、現在では命を脅かす恐ろしい病気であったことが判明することがあります。麻疹もそのうちの一つです。現在では、麻疹(はしか)は恐ろしい合併症も引き起こしてしまうことがあり、技術の進んだ現在でも死亡してしまう可能性のある病気として広く知られるようになったため、予防がすすめられています。
 
今回は麻疹(はしか)についてご紹介します。重症化を防ぐ食材についても解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

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麻疹(はしか)について

それではまず、麻疹とは何かということについて解説いたします。

麻疹とは?

麻疹は麻疹ウィルスによって発症する感染症です。ウィルスが体内に取り込まれると、10日間ほどの潜伏期間を経て、全身に赤いぶつぶつの発疹がみられるようになるとともに39度以上の熱が出ます。熱はおよそ7日間ほど続き、重篤な状態になると死亡してしまうこともあります。
 
麻疹ウィルスは、インフルエンザウィルスよりも大変強い感染力を持つとされており、免疫のない方が麻疹の感染者と接触した場合、ほぼ100%の確率で発症します。免疫がない状態だと重症化しやすく、肺炎や脳炎といった合併症を引き起こしてしまうおそれもあって大変危険です。

 

麻疹の発生状況

麻疹は飛沫などによる空気感染や、人同士の触れ合いによる接触など、さまざまな経路で感染してしまいます。
 
日本では2007年と2008年に渡って大規模に流行しました。政府や自治体によって、過去に1度しかワクチンを受けていない方々を中心に2度目の接種を実施したことで収束していき、翌年2009年から現在にかけて大きな被害はありません。その後も患者は減り続け、2015年にWHOは日本は麻疹ウィルスがいない状態であると宣言しました。
 
一方、海外では未だウィルスが猛威を奮っている国もあり、渡航者と接したり海外へ旅行や仕事で赴いた際に感染してしまうことがあります。現状では完全に患者がいない状態というわけではなく、海外からきたウィルスで麻疹になる方もいます。
 

予防方法について

麻疹は強い感染力を持つウィルスです。通常のうがいや手洗いだけで防ぐことは困難なため、ワクチンを受けることが最も有効な予防方法です。
 
ワクチンは弱いウィルスやウィルスの一部を体内に取り込んで抗体を作り、感染に対する抵抗力を高めることで病気の発症をさせにくくする薬です。病気を予防するだけでなく、感染してしまった際に症状を重篤化させない役割も担っています。
 

接種すれば95%の確率で抗体ができる

ワクチンを1回だけ接種した場合、95%の方に抗体が作られますが、1回だけでは抗体が十分に作られないこともあります。そのため、確実に抗体を作るためにも、接種は2回行うことが大切です。日本では1990年に麻疹の予防接種を2回行うことが義務付けられました。
 
ただし、なかには別のワクチンと誤解していて2回目の予防接種ができていない方もいます。母子手帳で過去のワクチン履歴を調べて、2回目の接種を行っていないことが判明した方は任意の予防接種を行うことがおすすめです。

 

一度免疫がつくと再発しにくい

麻疹は「一度かかってしまえば、二度とかからならない。」といわれており、一度免疫を付けてしまうと再発のおそれはほとんどありません。麻疹の抗体は終生免疫とも呼ばれ、生涯ウィルスから体を守ってくれます。
 
ただし新生児が麻疹になってしまった場合、抗体がまだ十分に作られない可能性があるため、医師と相談して予防接種を行うかを決めましょう。

 

免疫が不十分だと再発するおそれがある

先述の通り抗体が不十分であったり、予防接種を1度しか受けていなかったりする場合、再発してしまうおそれがあります。ただ十分でないとはいえ抗体が体内にあるため、自然発症などに比べて比較的軽い状態で済むようです。
 
この症状を修飾麻疹(しゅうしょくはしか)といいます。症状が軽くともウィルス自体は通常と変わらず、他者へ感染してしまうおそれがあるため、麻疹と診断された際は、被害を拡大させないためにも無用な外出は控えるようにしましょう。

 

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麻疹の合併症

麻疹は重症化すると、さまざまな病気を併発してしまうかもしれません。
麻疹とともに起きてしまう可能性のある症状は、主に以下の6つです。

肺炎

麻疹と合併しやすい病気の一つは、肺炎です。肺を形成する肺胞にウィルスが侵入することで、炎症が生じて正常な呼吸ができなくなってしまいます。
 
細菌性肺炎やウィルス性肺炎と種類が別れており、特に成人した大人の場合は巨細胞性肺炎という肺炎の中でも重篤化しやすい疾患を発症するおそれがあります。麻疹が治っても後遺症などが残る可能性があり、最悪死亡してしまうケースも少なくありません。

 

中耳炎

中耳炎とは、耳の中耳と呼ばれる部分に膿が溜まることで生じる炎症です。膿が外側へ鼓膜を押し上げるため、耳の奥が痛くなったり耳から水のような膿が出てきたりする「耳垂れ」が起こったりします。患者の多くに見られる合併症ですが、新生児などの場合は特に発見が難しく、さらに複雑な症状と合併するおそれもあるため注意が必要です。
 

 中耳炎について詳しくはこちら

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クループ症候群

クループ症候群とは、ウィルスにより喉の周囲が腫れる喉頭炎と気管支に異常が出る気管支炎のことで、独特な呼吸音が出てしまうのが特徴です。特に新生児から3歳までの小児にみられる症状で、症状が重い場合はチューブなどを喉に挿して呼吸管理を行わなければなりません。
 
夜間に症状が悪化することが多く、自宅で療養している際に聞き慣れない呼吸音が聞こえた場合はすぐに医師へ連絡しましょう。
 

心筋炎

心筋炎とは、心臓を動かす筋肉に炎症が起き、血液の循環を滞らせてしまう病気です。麻疹ウイルスにより一時的に発症してしまうことがあり、心電図の状態で診断します。症状の度合いでさまざまな障害を残すおそれがある症状ですが、死亡の危険性があるほど重篤な状態になることは滅多にありません。
 

 心筋炎について詳しくはこちら

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脳炎

脳に直接麻疹ウィルスが侵入することで脳炎を引き起こすことがあります。麻疹で発症してしまうのは1000人に1人という確率のため、決して頻繁に起こるものではありませんが、死亡の危険が非常に高い危険な症状とされています。
 
発疹が出始めた頃から熱が引くまでの間は注意が必要です。

 

亜急性硬化性全脳炎

亜急性硬化性全脳炎とは、脳に侵入したウィルスが少しずつ中枢神経を侵していき、知能や身体に障害を起こす病気です。合併症として発症するのは10万人に1人とされているため、決して高い頻度で起こるものではありません。
 
ただ症状が出てくるのが7〜10年越しと長期である上に、症状が出てからはおよそ9か月前後で死亡してしまうおそれがあるなど、非常に危険な疾患とされています。
 

 
 

麻疹の重症化を防ぐために

麻疹の重症化を抑止するためには食生活にも気をつけることが大切です。
ここでは、重症化の防止に役立つおすすめの栄養素と食材について解説します。

麻疹はビタミンAが不足すると重症化するおそれがある

ビタミンAは、目や皮膚を覆う粘膜を守り、強化してくれる成分を有するビタミンです。重症化してしまう原因の一つとして、このビタミンA1の不足が挙げられています。
 
普段食生活に気をつけていても治療中に不足してしまう可能性があるため、特に小児はビタミンAを注射や点滴で体内に取り込む治療が行われます。不足したビタミンAを補うことで失明や死亡する確率を減らすことが可能となります。
 

ビタミンAが多く含まれる食材は

ビタミンAは主に人参や春菊、モロヘイヤやヨモギなどをはじめ、レバーやバター、卵黄からも摂ることができます。ただし、ビタミンAが摂れるのは野菜であるため、意識的に食事にとり入れることが大切です。
 
また、通常の食事量の場合であれば問題ありませんが、サプリメントなどを併用している方は過剰摂取に気をつけてください。ビタミンAは年齢や男女の性差で摂取すべき量が決まっており、摂りすぎてしまうと肝障害などを引き起こしてしまうおそれがあります。

 
 

まとめ

今回は、麻疹(はしか)について解説いたしました。現在は海外から持ち込まれたことが原因で麻疹にかかることがあり、特に成人を過ぎてからの麻疹は重症化してしまうおそれがあります。
 
最悪の場合、危険な合併症が起きて死に至る可能性もあるため、定期接種をしっかり受けることが大切です。また普段の食事から麻疹(はしか)に対抗するために、ビタミンAを積極的に摂ることをおすすめします。


 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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