耳鳴りが止まらない原因とは?耳の疾患から治療法まで徹底解説
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耳鳴りが止まらない原因とは?耳の疾患から治療法まで徹底解説
飛行機の中や大音量のイベント会場などで、耳鳴りを経験したことがある方は多いのではないでしょうか。耳鳴りは、一過性のものであればそこまで心配する必要はありませんが、症状によっては病気の可能性もあります。
本記事では、耳鳴りの原因や症状別に考えられる疾患について解説していきます。気になる症状がある方や、止まらない耳鳴りにお悩みの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
耳鳴りとは
ここでは、耳鳴りの種類や原因について解説していきます。
耳鳴りの種類
耳鳴りは、以下の2種類に分類されます。
自覚的耳鳴り
本人だけに聞こえている耳鳴りが自覚的耳鳴りです。内耳や聴神経に何らかの異常が起きていることが原因で発生する耳鳴りです。耳鳴りの多くが、自覚的耳鳴りに当てはまります。
自覚的耳鳴りは本人にしか聞こえていないため、第三者が耳鳴りの状態を正確に知ることは難しいですが、問診による症状の聞き取りや、聴力検査、耳鳴り検査、画像検査などを行い、総合的に診断します。
他覚的耳鳴り
体の中に音源があり、第三者にも聞こえる耳鳴りが他覚的耳鳴りです。耳周辺の筋肉のけいれんや、血液が流れる音が原因で発生する耳鳴りです。
筋肉のけいれんが原因の場合は、音が止まったり聞こえたりを繰り返し、血液の流れが原因の場合は、持続的に聞こえるのが特徴です。聴診器を利用すると、医師もその音を聞くことができます。
耳鳴りの原因
耳鳴りにはさまざまな原因があります。主な耳鳴りの原因について解説していきます。
風邪や発熱
風邪の症状や発熱があるときに、耳鳴りがすることがあります。風邪で鼻がつまると、鼻と中耳をつなぐ耳管がつまり、耳鳴りが起こるのです。また、風邪をひいているときに喉や鼻からの細菌が耳管を通じて中耳に感染し、中耳炎を起こして耳鳴りが起こる場合もあります。
加齢
加齢で内耳や聴神経の機能が衰えると、脳への音の伝達がうまくいかなくなります。聞こえにくさがあると、脳は聞こえない音を補うために、活発に活動します。その結果、脳の活動そのものが音として認識されてしまうようになり、耳鳴りが起こりやすくなるのです。
高齢者全体の2割〜3割の方に、耳鳴りが起こっているといわれています。
ストレス
精神的ストレスや睡眠不足、過労も耳鳴りのきっかけになる場合があります。過労やストレスにより自律神経が乱れると、体の緊張状態が続いて血行が悪くなり、耳鳴りが起こりやすくなるのです。
また、疲労がたまって肩こりがあると、耳鳴りが起こることがあります。肩や首回りの筋肉が硬くなっていると、耳周辺の血管や神経が圧迫されるため、耳鳴りが起こるのです。
外傷
ヘッドホンやイヤホンの使い過ぎも、耳鳴りの原因になります。長時間に渡ってヘッドホンやイヤホンを使って大きな音を聞いていると、音を脳に伝える役割の有毛細胞が徐々に壊れていくためです。
また、交通事故などにより内耳神経や脳に障害が起こることで、耳鳴りの症状があらわれることもあります。
耳鳴りの症状から考えられる疾患
耳鳴りから考えられる疾患をご紹介します。
代表的な疾患は、以下の通りです。
片耳のみ耳鳴りがする疾患
片方だけの耳鳴りは、耳自体に異常が起きていることが原因です。中耳炎や突発性難聴が原因の場合、異常が起きている側の耳に症状が出ます。
他に、メニエール病や聴神経腫瘍によっても、片側だけに耳鳴りがあらわれることがあります。
メニエール病について詳しくはこちら
両耳から耳鳴りが聞こえる原因
両耳に耳鳴りが起こる疾患の代表的なものは、老人性難聴と騒音性難聴です。いずれも有毛細胞が壊れることで発症し、老人性難聴は老化が原因で、騒音性難聴は長時間大音量にさらされることで起こります。
他に、両耳の難聴と耳鳴りが主な症状となる疾患としては、耳硬化症などがあります。
「キーン」「ピー」という耳鳴りが聞こえる原因
「キーン」「ピー」といった高い音の耳鳴りの原因は、主に内耳に原因がある疾患です。
老人性難聴や騒音性難聴、メニエール病や突発性難聴などの疾患が考えられます。それらは、有毛細胞や神経に障害が起こると聞こえが悪くなり、聞こえを補おうと働いた脳が耳鳴りを起こす疾患です。
突発性難聴について詳しくはこちら
「ザザー」という耳鳴りが聞こえる原因
「ザザー」という低い音の耳鳴りの原因は、主に中耳に原因がある疾患です。
急性中耳炎や滲出性中耳炎、耳垢栓塞、耳管狭窄、耳硬化症などの疾患が考えられます。それらは、鼓膜周辺に何らかのトラブルが起きて、中耳の空気圧の調整がうまくできない状態となり、耳鳴りを起こす疾患です。
耳鳴りを放っておくとどうなるか
すぐにおさまるような一過性の耳鳴りであれば、あまり心配はいらないでしょう。しかし、耳鳴りの多くは難聴に伴う症状であり、放置していると耳が聞こえなくなってしまうリスクがあります。耳鳴りが長時間続く場合や繰り返す場合には、病院を受診することをおすすめします。
また、まれに脳卒中が原因で耳鳴りがすることもあります。耳鳴りの他に、舌がもつれる、物が二重に見えるなどの症状がみられる場合には、早めに病院を受診するようにしましょう。
脱水症状や熱中症が原因で耳鳴りすることも
脱水症状や熱中症も、耳鳴りの原因になります。どちらも体が水分不足になりますので、体全体の血液量も低下して血流が悪くなります。血流が悪くなれば、内耳の有毛細胞も酸素不足になるため機能が低下し、聞こえが悪くなるのです。聞こえが悪くなると、それを脳が補おうとして耳鳴りが発生するというわけです。
特に、猛暑の季節には、こまめな水分補給を意識しましょう。
熱中症について詳しくはこちら
耳鳴りの治療
耳鳴りの治療にはどんな方法があるのでしょうか。
受診の目安や治療方法について解説します。
受診する目安
耳鳴りで病院を受診する目安は、長時間に渡って症状が続いているかどうかと症状を繰り返しているかどうかです。
めまいや頭痛、聞こえにくさなど、別の症状を伴っている場合も注意が必要です。特に、突発性難聴は早期の治療が重要ですので、片耳だけ耳鳴りがする、聞こえづらいなどの症状が出ている場合には、早めに病院を受診しましょう。
薬物療法
耳鳴りは原因がはっきりしないこともありますが、原因となる病気がわかれば、その病気の治療を進めていきます。
薬物療法では、耳鳴りの原因を抑える薬や心理的な要因や負担を軽減させるための薬を使用します。耳鳴りの原因を抑える薬として使われるのは、炎症を抑えるためのステロイド剤や内耳の血流を改善するための血管拡張薬、神経細胞の代謝を高めるためのビタミン剤などです。精神的ストレスには、抗不安薬や抗うつ剤、睡眠導入剤などが使われます。
カウンセリング
患者本人には確かに耳鳴りが聞こえているものの、原因を特定できないことも多く、それが精神的にストレスとなり、症状が悪化することがあります。そのため、耳鳴りの治療では、患者の精神的な苦痛や不安をやわらげることが重要です。
カウンセリングを行い、耳鳴りが起こる仕組みを詳しく説明し、患者の理解を深めることで、ストレスによる悪化を防ぎます。
TRT療法
TRT療法とは、耳鳴りに慣れて気にならないようにすることを目指した治療方法です。まず、患者が耳鳴りに関する正しい知識を身につけ、現状を理解できるようカウンセリングを行ってから、音響療法を行います。
私たちは、普段、あらゆる生活音を同じレベルで聞いているわけではなく、無意識に優先順位をつけて聞いています。ですので、日頃は時計の音や車のエンジン音を強く意識することはないでしょう。そのメカニズムを利用し、耳鳴りを気にならなくしていきます。
治療音を聞く装置を利用し、耳鳴りが聞こえる程度の雑音を1日6時間〜8時間程度を目安に聞いていきます。個人差はありますが、治療を始めて半年〜2年程度で、効果が期待できます。
まとめ
今回は、耳鳴りの原因や関連する疾患について解説しました。すぐにおさまるような耳鳴りであれば、そこまで心配する必要はありませんが、片耳のみの耳鳴りや、めまい等の症状が伴っている場合には、病気が潜んでいる可能性があります。
病気の場合には、難聴を伴うこともありますので、思い当たる症状がある方は、早めに病院を受診しましょう。