婦人科の検診(子宮・卵巣)
内診 [基本検査項目]
触診にて子宮卵巣等の腹腔内臓器を診察します。
経膣超音波
膣から超音波検査の細いプローブを入れ、画像診断を行います。
内診よりも詳細に子宮や卵巣の形状や小さな変化をみることができます。
子宮頸部細胞診 [基本検査項目]
子宮頸がん検査で、NILM以外の結果は婦人科外来での再検査や精密検査が必要です。
■アフターフォロー面談をご希望の方
下記結果分類の、ASC-H(AGC)以上に該当する方は、より精密な検査が必要となるため、健診結果表に同封している紹介状をご持参のうえ、専門施設をご受診ください
子宮頸部細胞診の結果分類
細胞診 (ベセスダシステム) |
HPV | 総合評価と今後の方針 | 日母分類 | 推定される病変 | |
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NILM | 未実施 | 【1年後の定期検診】 | Ⅰ Ⅱ | 非腫瘍性所見・炎症 | |
陰性(-) | しばらくは子宮頸がんになる心配はありません | 尚、子宮頸がん検診に異常を認めなくてもその他の子宮疾患、卵巣疾患の早期発見の為にも定期的な婦人科検診は継続して受けてください。 | |||
65歳以上で過去10年間細胞診(-)、連続3回以上細胞診(-)であれば検診終了 | |||||
陽性(+) | HPV感染が長期化した場合、異形成に進行する可能性あり | 【来年も必ず検診】 | |||
(HPV併用) | |||||
ASC-US | 未実施 | 【要精密検査】 | Ⅱ | 軽度扁平上皮内病変疑い | |
①HPV検査による判定 | A:保険診療(再度検体採取) | ||||
B:自費診療 | |||||
異形成の可能性があります | →HPV陰性(-)の場合:1年後にHPV・細胞診併用検査 | ||||
→HPV陽性(+)の場合:コルポ診・生検 | |||||
②HPV検査未実施の場合:6ヶ月以内に細胞診検査 | |||||
陰性(-) | 子宮頚がんの原因となるHPVは検出されませんでしたが、細胞診検査は定期的な経過観察が必要です | 【来年も必ず検診】 | |||
(HPV併用) | |||||
陽性(+) | 異型細胞診を疑い、HPVの感染を認めます | ||||
ASC-H (AGC) |
未実施 | 異形成や癌の可能性があります | 【要精密検査】 (コルポ診・生検など) 専門病院へご紹介 |
Ⅲa Ⅲb | 高度扁平上皮内病変疑い |
陰性(-) | |||||
陽性(+) | |||||
LSIL | 未実施 | 異形成や癌の可能性があります | Ⅱ | HPV感染 軽度異形成 |
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陰性(-) | |||||
陽性(+) | |||||
HSIL (AIS) |
未実施 | 手術適応になる可能性が高い | Ⅲa Ⅲb Ⅳ |
中等度異形成 高度異形成 上皮内癌 |
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陰性(-) | |||||
陽性(+) | |||||
SCC (Adenocarcinoma Othermalig) |
未実施 | 治療適用 | Ⅴ | 扁平上皮癌 | |
陰性(-) | |||||
陽性(+) |
HPV(ヒトパピローマウイルス) [オプション]
子宮頸がんの原因であるHPVは性交渉によリ感染します。
HPVのタイプは100種類以上あり、子宮頸がんの原因となるのはその中の「ハイリスク型」と呼ばれるごく一部のタイプです(当クリニックのHPV検査は「ハイリスク型」のうちの13種類のいずれかが検出されたときに陽性と判定されます)。
日本人女性の約8割は一生に一度はHPVに感染します。感染した方の約9割は自己免疫力等でウイルスが自然に排出されますが、自然に排出されずに持続感染する人が子宮頸がんへと進行します。10~20代ではHPVに感染しても約7割は1年以内に、約9割は2年以内にウィルスが消失するという一過性の不顕性感染が多いため、HPV検査は30歳以上の方にお勧めしています。
30歳以上の女性で子宮頸部細胞診が正常かつハイリスクHPV検査が陰性の場合は、3年以内に子宮頸がんに進行する可能性は低いといわれています。子宮頸部細胞診が正常であってもHPV検査が陽性だった場合は今後病変を生じる可能性があるので、12ヶ月後に子宮頸部細胞診とHPV検査の併用検診をお勧めします。また、HPVは何度でも感染するため、定期的に検査を受けることが大切です。
婦人科検診での主な所見・診断
膣炎 | おりものの増加、下腹痛、不正出血等の症状が改善しない場合は治療が必要です。 |
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カンジダ膣炎 | 抗生剤の内服や免疫力の低下によりカンジタ(真菌)が増殖し、外陰部のかゆみ等の症状が出現します。外陰部や膣壁のかゆみと酒粕様の白いおりものの増加が改善しない場合は治療が必要です。 |
トリコモナス膣炎 | 膣トリコモナス原虫による性感染症です。おりものの増加、かゆみが出現することがありますが、10~20%の方は無症状です。トリコモナス膣炎と診断された場合は治療が必要です。 |
子宮頸管ポリープ | 子宮頸管に生じるポリープです。不正出血の原因となります。ほとんどが良性ですが、稀に、悪性のものもあります。肉眼だけでは判断が難しいこともありますので、内診判定がDの場合は婦人科外来での精密検査が必要です。 |
子宮内膜ポリープ | 子宮体部に生じるポリープです。多くは良性で自然退縮するものもありますが、悪性を否定するためにも婦人科外来での精密検査が必要です。 |
子宮筋腫 | 主に30~40歳代に好発し、閉経後には退縮することが多い良性腫瘍です。無症状であることも多いですが、筋腫の位置により月経過多とそれに伴う鉄欠乏性貧血、圧迫症状、疼痛などの症状がみられ、治療が必要になる場合があります。 |
卵巣腫瘍 | 卵巣に腫瘍が発生する確率は女性の全生涯でみると5~7%程度とされ、そのなかに良性から悪性腫瘍まで様々な腫瘍が存在します。良性腫瘍は80%を占めており、チョコレート嚢腫(子宮内膜症性嚢胞)、皮様嚢腫、漿液性卵巣嚢腫等があります。良性悪性に関係なく経過観察が必要となりますので、婦人科検診のみではなく、婦人科外来に通院することをお勧めします。 |
子宮内膜症 | 子宮内膜またはそれに似た組織が何らかの原因で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生し発育する病気です。20~30歳代で発症する事が多く、ピークは30~34歳と言われています。代表的な症状は痛みと不妊です。痛みの中でも月経痛は子宮内膜症患者の約90%にみられます。月経時以外にも腹痛や下腹部痛、排便痛、性交痛などが出現することがあります。 |
子宮腺筋症 | 子宮内膜に似た組織が子宮筋層内に発育・増殖する疾患です。月経困難症や、鉄欠乏性貧血に対して治療が必要になることがあります。 |
月経困難症 | 月経時に腹痛や腰痛などの症状を伴い、その症状が強い場合をいいます。日常生活への影響が強い場合には内服加療が必要な場合もあり、婦人科への受診をお勧めします。 |
子宮内膜肥厚/子宮内膜増殖症 | 子宮内膜線が過剰に増大した状態であり、不正出血がみられることもあります。子宮体がんの誘因となることもありますので、婦人科外来での精密検査が必要です。 |
月経過多症 | 短期間でナプキンがあふれてしまう場合や、経血の中にレバー状の塊が見られる場合には鉄欠乏性貧血になりやすくなり、めまいや立ちくらみ、疲れやすいなどの症状が現れます。原因疾患としては子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ等があります。 |
無月経 | 月経が何らかの理由でない状態です。精密検査で原因を検索する場合もあります。 |
不正出血 | ホルモンの異常や様々な病気により月経以外に性器から出血することを不正出血といいます。排卵時期に起こる中間期出血など、病気でないものもありますが、なかには重大な病気からくる症状のこともあるので注意が必要です。 |