禁煙外来について
禁煙外来について解説
禁煙外来とは?
禁煙外来は、たばこをやめたいと考えている方向けの専門外来です。禁煙外来のカウンセリングでは、患者様の健康状態や生活習慣に合わせて精神面での禁煙サポートを行い、カウンセリングと併用し内服薬やニコチンパッチ、ニコチンガムを使用することで禁煙の効果を高めていきます。
たばこに関して
タバコの煙の中には、約5,300種類の化学物資が含まれており、この中の約70種類ががんを引き起こす発がん性物質となっています。
喫煙している本人がなりやすいがんとして、鼻腔・副鼻腔がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胃がん、膵臓がん、子宮頸がん、膀胱がんが挙げられます。
これらのがん以外にも狭心症、心筋梗塞、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、さまざまな病気の原因にもなります。さらに、喫煙している本人だけでなく、周りの人にも肺がんなどの健康被害を引き起こすことが分かっています。
禁煙のメリット
禁煙を行うことで様々なメリット、リスクの低下が見られます。禁煙後24時間で心臓発作のリスクの低下が見られ、咳やたんなどの呼吸器症状や感染症に罹患するリスクも低下することがわかっています。1ヶ月程度経過すると、免疫機能も回復し風邪や感染症にかかりにくくなります。
さらに1年後には肺機能が改善することが多く、2~4年後には脳梗塞のリスクも禁煙前に比べ1/3程度に減少します。禁煙5年後以降には肺がんのリスクも低下し始め、10~15年後には肺がんだけでなく様々な病気へ罹患するリスクが非喫煙者と同様レベルまでになるとわかっています。
禁煙後に現れる様々な改善効果
禁煙期間 | 改善効果 |
---|---|
禁煙直後 | 周囲の人をたばこの煙で汚染する心配がなくなる |
20分後 | 血圧と脈拍が正常値まで下がり、手足の温度が下がる |
8時間後 | 血中の一酸化炭素濃度が下がり、酸素濃度が上がる |
24時間後 | 心臓発作の可能性が低下する |
数日後 | 嗅覚や味覚が改善 |
2~3週から3か月後 | 心臓や血管などの循環機能が改善する |
1~9ヶ月後 | 喘鳴や咳が改善し、体力も改善されます。気管の自浄作用も改善されるため、感染症のリスクも低下します。 |
1年後 | 肺機能の改善が見られる(けど、中等度の慢性閉塞性肺疾患の方) |
2~4年後 | 虚血性心疾患のリスクが喫煙している場合に比べ35%程減少し、脳梗塞のリスクも低下します。 |
5~9年後 | 肺がんに罹患するリスクが喫煙を続けている場合と比べ大きく低下します |
10~15年後 | 様々な病気へ罹患するリスクが非喫煙者と同様レベルになる |
その他のメリット
- ・たばこ代に使用していたお金が貯金ができる
例:1日1箱吸っていた場合、年間約21万円以上の節約ができる(1箱580円で計算) - ・味覚が戻り、食事がおいしく感じる
- ・目覚めが良くなる
- ・服や持ち物にたばこの匂いがつかなくなる
- ・口臭や歯肉の着色を予防できる
- ・シミ、くすみ、しわなど肌の老化現象の対策になる
- ・性的不全、不妊、早産、低出生体重児、流産の可能性が低下する
ニコチン依存症とは
タバコをやめられない大きな原因の一つとして「ニコチン依存症」があります。 「ニコチン依存症」には、身体的依存と心理的依存という2つの側面があります。
<身体的依存>
急速に肺から吸収され数秒で脳内に達するニコチンは、脳内で本来働く神経伝達物質の代わりに刺激を与え、快感や報酬感を与えます。これを繰り返すうちに、ニコチンがないとイライラや落ち着かないなどのニコチン切れ症状(禁断症状)があらわれるようになります。これを身体的依存と呼びます。
喫煙者はタバコを吸うと頭がすっきりする、気分が落ち着く、リラックスするなどと感じ、一時的に禁断症状が解消されますが、吸い終わってしばらくするとニコチン切れに伴い禁断症状が出現し、再びタバコが欲しくなります。
<心理的依存>
タバコを吸ってよかったという記憶や身についたクセ、習慣などを心理的依存といいます。
「やめたいけど、ついつい吸ってしまう…」
「習慣になっていてなかなか変えることができない…」 など
ニコチン依存度スクリーニング検査(TDS)
禁煙治療の保険診療で用いられる、ニコチン依存度テストです。ニコチン依存症管理料を算定するためには5点以上取る必要があります。TDS(Tobacco Dependence Screener)は、WHOの「国際疾病分類第10版」(ICD-10)やアメリカ精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引き」の改訂第3版および第4版(DSM-Ⅲ-R,DSM-Ⅳ)に準拠し、精神医学的な観点から依存症を診断することを目的としているものです。
全10問で構成されおり、「はい」が1点、「いいえ」が0点で総計の点数で依存度を判定します。5点以上が「ニコチン依存症」と診断されます。禁煙外来等でよく用いられるファーガストロームニコチン依存度テストは、喫煙の生理学的な依存に対し用いられますが、TDSは精神医学的立場から薬物依存としての診断に用いられます。
検査項目
表は横にスクロールします
質問 | はい 1点 |
いいえ 0点 |
|
---|---|---|---|
問1 | 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?<> | ||
問2 | 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか? | ||
問3 | 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか? | ||
問4 | 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか? (イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加) |
||
問5 | 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか? | ||
問6 | 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか? | ||
問7 | タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか? | ||
問8 | タバコのために自分に精神的問題(※)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか? | ||
問9 | 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか? | ||
問10 | タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか? | ||
治療薬の種類と特徴
日本では3種類の禁煙補助薬が使用可能で、下記のようなものがあります。
【チャンピックス】
概要:チャンピックスはニコチンを含まない内服薬です。チャンピックスの有効成分であるバレニクリンの働きは主に2つあります。
- (1)脳内のニコチン受容体とニコチンの結合を妨げることで、喫煙の満足度を下げる。
- (2)ニコチン受容体に有効成分であるバレニクリンが作用することでニコチンの離脱症状を緩和することができます。
(※離脱症状とは、イライラ、集中できないという錯覚、頭痛、倦怠感などの症状)
チャンピックスは薬局では買えず、医療機関を受診する必要があります。 ですが、現在チャンピックスは出荷停止状態が続いており出荷期限の目処も立っていないため、医療機関の殆どが処方できない状況です。
ファイザー株式会社 チャンピックス錠 出荷停止継続のお詫びとご案内
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/406500/d027141_d/fil/syukkateishikeizoku.pdf
【ニコチンパッチ】
概要:ニコチンパッチは体に貼り、ニコチンを皮膚から吸収させるニコチン製薬です。
少量のニコチンを皮膚から吸収することで、ニコチンの離脱症状を和らげ禁煙に導きます。
ニコチンパッチには「医療用医薬品」と「市販薬」の2種類があります。大きな違いはニコチンパッチに含まれる「ニコチン含有量」です。
市販薬のニコチンパッチはニコチン含有量が医療用医薬品より少ないため、依存度によって使わけることをおすすめします。目安として、個人差はありますが1日に20本を基準にし、20本以上であれば医療機関で処方してもらうのが良いでしょう。
ニコチンパッチを医療機関で処方する場合も、保険適用になる場合があります。
【ニコチンガム】
概要:ニコチンガムはタバコを吸いたくなった際代わりにニコチンを含んだガムを噛むことで効果を得ることができるものです。 ニコチンガムはタバコを吸いたくなった際代わりにニコチンを含んだガムを噛むことで効果を得ることができるものです。
名称 | 入手場所 | 特徴 | 依存度 |
---|---|---|---|
チャンピックス | 医療機関 | ニコチンを含んでおらず、服用中に喫煙しても満足感があまり得られず再喫煙になりにくい。 | 中~高依存度の方向け |
医療用 ニコチンパッチ |
医療機関 | 24時間貼付できるため、離脱症状を起床時などでも抑えることができる。 | 中~高依存度の方向け |
市販 ニコチンパッチ |
薬局など | 医療用と同じく貼るのみですが、ニコチン含有量が医療機関用に比べ少ない | 低依存度の方向け |
ニコチンガム | 薬局など | ガムを噛む事でその場の禁煙症状を抑えることができる。粘膜よりニコチンを吸収することで効果が期待できる。 | 低~中依存度の方向け |
治療内容
治療について大きく分けて2つの選択肢があります。
- (1)医療機関で禁煙治療を受ける
- (2)薬局や薬店でニコチンパッチやニコチンガムを購入する
医療機関での禁煙治療をお勧めする方は、
- ・ニコチン依存度が中~高レベルの人
- ・禁煙する自信がない人
- ・過去に禁煙して離脱症状が強かった人
- ・精神疾患など禁煙治療が難しい特性がある人
- ・禁煙に当たって医師の判断が必要な人
自身で薬局や薬店でニコチンパッチやニコチンガムを購入するのをお勧めするのは、
- ・ニコチン依存度が低~中レベルの人
- ・禁煙する自信が比較的ある人
- ・忙しくて医療機関を受診できない人
- ・健康保険適用の条件を満たさない人
保険の適用条件
下記条件を全て満たしている方は保険適用でご受診頂くことが可能です。
- 1.ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
- 2.35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
- 3.直ちに禁煙することを希望されている方
- 4.「禁煙治療のための標準手順書」[2]に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
禁煙治療の流れ
外用薬であるニコチネルパッチ(禁煙補助薬)を用い12週間・計5回で禁煙を目指す治療プログラムとなっております。1日1回、貼って頂くといった使用方法で禁煙をサポートすることができます。
※内服薬(チャンピックス)は2023年1月4日現在、流通が停止しております。そのため外用薬(ニコチネルパッチ)のみのご提供となります。
◼初回-4回目
・血圧測定
・一酸化炭素濃度測定
・副作用の有無を確認
・医師診察
を実施いたします。
問題がなければニコチネルパッチの処方を行います。
※貼ったその日から禁煙が必要です
※1-4回目は2週間ごとのご受診となります。
◼5回目
4回目の診察から4週間を空けてのご受診となります。 4週間はニコチネルパッチを貼らない状態で過ごしていただきます。 5回目のご受診で「禁煙外来修了証」を発行いたします。(希望者のみ)
Q&A
治療にはどのようなものがありますか?
保険は使用できますか?
ですが、(1日あたりの本数)×(喫煙年数)が200を超える場合のみ、保険適応となります。
(例 20本/日 喫煙歴12年の方 20×12=240(>200)
禁煙による離脱症状のピークはいつですか?
診療項目
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