直接免疫と間接免疫について~ワクチンの接種と免疫~

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2021/04/13

直接免疫と間接免疫について~ワクチンの接種と免疫~

日ごとに暖かさを感じられるようになりましたが、朝夕の冷え込みはまだまだ続いております。緊急事態宣言が解除され、一週間が経とうとしておりますが、依然として油断のできない毎日でございます。

 

都内の感染者数、コロナウイルス変異種やワクチンの副反応、ワクチン接種の様子など、毎日コロナの話題に溢れている状況が続いております。
一刻も早く落ち着いてほしいと願うばかりです。

 

さて、先程も少し触れましたが、先日、日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が開始いたしました。

厚生労働省の発表では、令和3年2月17日から令和4年2月末までの間で合計2回の接種予定で見込んでおり、最初に医療従事者等への接種、次に高齢者、基礎疾患を有する方等の順に接種を進めている状況でございます。

 

ただ、一般的に皆様がワクチンを接種できるようになるのは少々先になりそうです。

〈厚生労働省 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ〉
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html

ワクチンに関する注目度が高まっておりますが、そもそも、ワクチンを接種し免疫力をつけることはどのような効果があるでしょうか。

ということで、本日はウイルスに対する直接免疫(個人免疫)と間接免疫(集団免疫)についてのご紹介をしていきたいと思います。

 

◆直接免疫◆

直接免疫とは、各個人が獲得する免疫のことです。主に感染を広げない・重症化させないなどの効果を発揮いたします。
獲得方法としては、ワクチンの接種等が挙げられます。これによって抗体を作り、体内に侵入してきた異物を除去する働きを担っております。

 

◆間接免疫◆

間接免疫(集団免疫)とは、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても、他の人に感染しにくくなる状態のことを指します。
自分が免疫を持っていなくても、周りの一定数が免疫を所持していれば、自身も感染しにくいということです。
すなわち、ワクチン接種者を増やすことで感染症が流行しにくくなり、間接的に免疫を持たない人も感染から守られるとされております。

 

〈厚生労働省 新型コロナワクチンについてのQ&A

Q1-3 集団免疫とは何ですか。〉
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0019.html

 

また、ワクチンによっては集団免疫の効果が現れないこともあり、新型コロナウイルスがワクチン接種により集団免疫の効果を高めるかどうかは現状では不明とされております。
ただ、日本よりもワクチン接種が進んでいるイスラエルでは、ワクチンの有効性について効果が出ているという記事が出ております。
日本人とは体質や生まれた環境が異なるので、ワクチンの効果に違いはあるかと思いますが、接種をすることで直接免疫が高まる可能性は極めて高いと考えられます。

 

〈読売新聞〉
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210217-OYT1T50254/

 

一方で、インフルエンザ予防接種に関しましては現在までで多くの研究が重ねられております。現在では、集団でのワクチン接種が集団免疫を高め、予防としてより効果が高いとされております。

 

北海道大学大学院医学研究院教授の研究によりますと、インフルエンザ予防接種は接種者の効果が期待できるだけではなく、集団レベルで効果を及ぼすと考えられております。
集団の中で接種者を一定数にすることで、「感染機会の減少」と(予防接種者の感染者における)「感染性の減弱」、すなわち感染力を弱めていくことが可能となります。

 

〈西浦 博(北海道大学大学院医学研究院教授) 従属性のある感染症データの数理モデルによる分析と予測〉
char/jahttps://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/55/11/55_1049/_pdf/-char/ja

2020年度では、毎年ピークを迎える1月のインフルエンザ患者数は、例年の同週と比較しても大幅に減少しており、感染者が少ない状態でございます。
厚労省の発表により、2020/21シーズンに供給されたインフルエンザワクチンの見込み量は約3,178万本発表がありましたが、これは昨年の使用量(2,825万本)と比較すると約12%多いとされております。
つまり、今年度のインフルエンザ感染者が減少したのは、コロナ対策によるマスクやアルコールが普及したことに加え、集団としてワクチンを接種した総数が高いのではないかと考えられます。

通常、インフルエンザの流行時期は大体10月から1月くらいですが、当院では来年度の案内を企業様に開始いたしました。
昨年よりも少しでも多く接種者の方を増やし、予防できる感染症は積極的に防いでいけるよう、当院から発信していければと思います。

 

〈NHK インフルエンザ患者数 例年より大幅に少ない状況続く〉
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210122/k10012828191000.html

〈厚生労働省 2020/21シーズンのインフルエンザワクチンの供給について〉
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000704142.pdf

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