今回は超音波(エコー)検査についてお話しいたします。
超音波検査はベッドに寝て頂き、検査部位にゼリーを塗って装置をお体に当てて画像を撮る苦痛が少ない検査です。
レントゲンやCTのような放射線の被ばくもなく、狭い装置に入れられることもありません。

 

 

当院では健診時に腹部・乳房・甲状腺の超音波検査を受けて頂くことができます。
受診されるコースに入っていない場合も、オプション検査として追加して頂くことが可能です。

 

 

腹部超音波では肝臓・胆嚢・腎臓・膵臓・脾臓・腹部大動脈を中心に、上腹部の病変の有無を調べます。
乳房では乳がんの他にも良性腫瘤や乳腺症などの所見が発見できます。
甲状腺はサイズの評価、腫瘤の有無の確認等を行います。
健診ではいずれの部位も、無自覚な病変を早期発見する契機となることが多いです。

 

 

超音波検査は画像を撮りながら、リアルタイムで病変の有無を確認していきます。
術者の経験と知識により検査結果に差が出てしまうことがないよう、担当技師の精度向上に努めています。
日本超音波医学会認定の超音波検査士試験に合格した技師が中心となり育成を担当し、充分な研修期間を経たのちに独り立ちをしています。
院内研修の他に院外研修会や各種学会にも積極的に参加し、技術のアップデートを行っています。

 

 

当院で腹部超音波検査を受けられた多くの受診者様から「検査時間が長いけど、何かあるのですか? ((;゚Д゚))) 」と聞かれます。
仰臥位(仰向け)のみで検査を行う施設も多いですが、当院では必ず両側臥位(横向き)の体位変換を行い、さらに必要であれば座位での観察も追加して、見落としを少なくする努力をしています。
日本人間ドック学会等が作成した「腹部超音波健診判定マニュアル」には、「5分以下では精度に問題がある」と記載されています。
少し時間はかかりますが、「MYメディカルクリニックを受診してよかった」と思って頂けるような検査を追求する私達の取り組みをご理解頂けますと幸いです。
今後は血管領域や循環器領域の検査にも対応できるようにしていく予定です。

 

 

まだ超音波検査を受けたことがない方は、次回受診の際に一度受けてみてはいかがでしょうか。
臨床検査部一同、お待ちしております!

今回はピロリ菌感染についてご説明します。

 

『ピロリ菌』多くの方が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。オーストラリアのバリー・マーシャル博士らが胃炎や胃潰瘍の原因が胃のピロリ菌感染であることを証明し、2005年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことで日本でも広く知られるようになりました。現在ではピロリ菌感染が胃がん発症の最大の原因であることもわかっています。

 

ピロリ菌はヘリコバクター・ピロリという細菌で、しっぽの様な長い鞭毛(べんもう)をくるくると回転させながら胃粘膜表面の粘液中を移動します。通常細菌は胃酸の強い酸性環境下では生きてはいけませんが、ピロリ菌は胃酸を中和する能力をもち胃の中で長期間生育・増殖します。ピロリ菌が胃粘膜に定着するとCagAなどの発がん毒素を粘膜細胞内に注入し、そこから炎症がおこり、慢性胃炎(萎縮性胃炎)や胃潰瘍・十二指腸潰瘍、そして胃がんが引き起こされると考えられています。

 

●感染経路・感染率
主に幼少期(~5歳)までに井戸水や家族からの食事の口移しなどによって口から感染するといわれています。日本では衛生環境の改善によりピロリ菌感染率は減少してきていますが、20歳~30歳代の若年者でもまだ10%~20%程度の感染者がいると考えられており、年代が上がとその割合も上昇する傾向にあります。

 

●早期診断・早期除菌が大切
胃粘膜の炎症が進行する前の早期の除菌ほど胃がんの予防効果が高いことがわかっています。また次世代への感染拡大防止のため、子を持つ前の世代での除菌が推奨されており、中高生の感染スクリーニング検査および除菌治療を実施している自治体が増えています。

 

●当院におけるピロリ菌検査法
当院では健診・人間ドックにおいて主に血清ピロリ菌抗体検査で感染スクリーニングを行っています。陽性(10 U/ml以上)ではピロリ菌の現感染および既感染(除菌済みの方でもしばらくは抗体は高い値が続きます)が考えられます。
 陰性であっても陰性高値(3~9.9 U/ml)の方ではその10%~20%程度でピロリ菌感染者がいると報告されており、その場合には内視鏡検査や尿素呼気試験、便中ピロリ菌抗原検査など複数の検査を組み合わせることで診断の精度を高めることが推奨されています。
一般的には、バリウムによる胃部エックス線検査でも胃粘膜の不整像によりピロリ菌感染による慢性胃炎を疑う事ができますが、胃粘膜を直接観察する内視鏡検査と比較すると細かな病変に対してはどうしても診断の精度は低くなってしまいます。

 

●除菌方法
 保険診療で除菌を行う場合には、事前に内視鏡検査を受けることが条件となっています。胃の炎症の程度や胃潰瘍、胃がんが疑われる病変の有無など現在の胃の状況を把握する事はとても重要です。
標準的な除菌方法はアモキシシリン、クラリスロマイシンの2種類の抗菌薬とプロトンポンプ阻害薬(PPI)もしくはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)という1種類の胃酸を抑える薬剤の計3種類の薬剤を朝夕食後で7日間内服します。現在、P-CABを用いた治療での除菌成功率は90%以上と報告されており、当院でもP-CABを用いた除菌法(ボノサップパック)を第一選択で行っています。
除菌薬内服後の6~8週間後に尿素呼気試験により除菌効果判定を行いますが、除菌不成功の場合には抗菌薬を変更し2次除菌を行う事で除菌効果が期待できます。
薬剤アレルギーのある方は事前に担当医にご相談ください。

 

●除菌後の対応
成人では口から新たにピロリ菌が侵入し再感染することはほとんど起こりませんが、除菌成功の診断に至った後も少量のピロリ菌が胃内に残っており時間がたつと再陽性化する例が報告されており、頻度は年0~2%程度とされています。すでに炎症が進んでしまっているケースなど除菌成功後でも胃がんが見つかる例もあり、上記の再陽性化の問題からも、内視鏡検査などによる定期的な胃の検査・観察をお勧めしています。

 

特にまだ一度もピロリ菌検査を行った事のない方、以前ピロリ菌感染と診断されたがまだ除菌を行っていない方、胃の痛み・不快感など消化器症状のある方は健診時や外来診察時にご相談ください。

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皆さんは肝炎という言葉を聞いたことはありますか?
肝炎は肝臓に炎症が生じる疾患です。肝炎を理解する前に肝臓の役割をご説明します。

 

肝臓には主に3つの役割を持っています。

 

①タンパク質の合成。栄養の貯蔵
②有害物質の解毒・分解
③消化に必要な胆汁の合成・分泌

 

となります。肝臓はヒトの体で最も大きいな臓器です。なんと体重の1/50程度を占めていると言われています。

 

さて、このような重要な役割を担う肝臓の疾患である肝炎ですが、日本ではその80%がウィルス性の肝炎となっています。

 

このウィルス性の肝炎ですが、国内でも最も多い感染症の一つとなり、肝炎ウィルスに感染することによって罹患します。主にA・B・C・E型の4種類が知られています。特に慢性化しやすいとされているのはB型ウィルスとC型ウィルスによる肝炎となります。肝炎は治療せずに放置すると、肝硬変や肝がんなどの更に重い疾患に繋がりますので、予防及び早期発見・早期治療がとても重要です。

 

【B型肝炎】
HBV(B型肝炎ウィルス)に感染することで発症します。主な感染経路は、
・輸血や注射針の使いまわし
・性行為
・母子感染
となります。日本のB型肝炎の患者・感染者は110-140万人いると推定されています。

 

【C型肝炎】
HCV(C型肝炎ウィルス)に感染することで発症します。主な感染経路は、輸血や注射針の使いまわし等です。大人になってからウィルスに感染しているヒトの血液に接した際に、HCVはHBVよりも感染しにくいのですが慢性化しやすく、肝硬変や肝がんに移行する割合も高いことがわかっています。日本のC型肝炎の患者・感染者は190-230万人いると推定されています。なお、肝がん患者の約70%はC型肝炎が要因と言われています。

 

肝炎ウィルスに感染しているかどうかは、血液検査で調べることができます。採血は短時間で済み、数週間で結果がでます。

 

各自治体でも肝炎ウィルス検診を行っていますので、下記より確認してみてはいかがでしょうか。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/etc/kanen/pdf/31kanenitiran.pdf

 

もちろん、当院でも対応が可能です。