難聴は高齢者だけではない?若者にも広がる難聴の原因や治療法を徹底解説

  • クリニックブログ
2024/09/17

難聴は高齢者だけではない?若者にも広がる難聴の原因や治療法を徹底解説

 

 

難聴というと、高齢者に起こる症状のイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
しかし、難聴はどの世代にも起こりうる症状で、原因や症状のあらわれ方もさまざまです。

特に近年では、若い方が難聴になるリスクが懸念されています。
 
本記事では難聴について、原因や考えられる疾患について解説していきます。
思い当たる症状がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

 
 

難聴とは

難聴とは何か、難聴の種類や難聴の度合いについて解説していきます。

難聴の種類

難聴には、以下の3種類があります。
 

伝音性難聴

伝音性難聴は、外耳や中耳の異常により、内耳に音が上手く伝わらずに起こる難聴です。
鼓膜に穴が開く慢性中耳炎、中耳に液体がたまる滲出性中耳炎などが当てはまります。
急性中耳炎や外耳道炎のような一時的な症状は、薬物治療で改善することが多く、その他の症状は手術で改善を図ることもあります。
 

感音性難聴

感音性難聴は、内耳またはその奥の蝸牛神経や脳に異常があることで起こる難聴です。
 
突発的に起こる突発性難聴や先天性難聴、年月を経て徐々に症状が現れる加齢性難聴や騒音性難聴などが当てはまります。
突発性の難聴は早期の薬物治療で改善することもありますが、その他の難聴は治療での回復が難しいケースも多いのが現状です。
 

混合性難聴

混合性難聴は、伝音性難聴と感音性難聴が組み合わさったものです。
どちらの難聴の度合いが強いかには個人差があり、症状に合わせて、治療方法や補聴器の利用を検討します。
 
老人性難聴は混合性難聴であるケースが多いといわれています。
 

突発性難聴の初期症状

突発性難聴は、子どもから高齢者までどの年代でも発症する可能性がある病気であり、年間に3万人〜4万人が発症しているといわれています。
前兆や初期症状もなく、その名の通り、突然起こる難聴です。
 
片耳だけに症状が出ることが多く、聞こえにくさの現れ方には個人差がありますので、日常生活に支障が出ない程度の聞こえにくさの場合、発症に気づくのが遅れることもあるようです。
難聴を発症する明確な原因は明らかになっていませんが、ストレス、過労、睡眠不足、糖尿病が関係していると考えられています。
 
 

 突発性難聴についてはこちら

詳しくはこちら

 

難聴の度合い

ひと口に難聴といっても、聞こえにくさの度合いは人によって異なります。
難聴の度合いは、音の強さのレベルを表す「デシベル(db)」という単位で、次の4つに分類されます。
たとえば、普通の声の大きさの会話が60dB程度、ささやき声が30dB程度といわれていますので、参考にしてみてください。
 

軽度難聴

軽度難聴の平均聴力レベルは、25dB以上40dB未満です。
小さな声や騒音がある場所での会話の聞き取りにくさを自覚します。
周囲の人間が大きすぎると感じる音量でテレビを観るなどが、難聴の初期症状といえるかもしれません。
この段階から補聴器を使い始める方もいます。
 

中等度難聴

中度難聴の平均聴力レベルは、40dB以上70dB未満です。
普通の大きさの声の聞き取りづらさや聞き間違いを自覚します。
自動車が近づいてきて初めてその音に気づくレベルですので、日常生活にも支障が出ることがあります。
 

高度難聴

高度難聴は、平均聴力レベル70dB以上90dB未満です。
普通の大きさの声の会話が聞こえず、大きな声でも聞きづらさを自覚します。
補聴器を使っても聞き取りには限界がありますので、この段階から日常生活のサポートが必要になることが多いでしょう。
 

重度難聴

重度難聴は、平均聴力レベル90dB以上です。
日常音は、ほとんど聞こえず、耳元での大きな声も聞き取れないことがあります。
補聴器をつけても聞き取れないことが多いため、人工内耳の装用が検討されることもあります。

 
 

難聴の原因と疾患

難聴の原因には、どのような疾患があるのでしょうか。
ここでは、疾患別に難聴の原因を解説していきます。

内耳疾患

内耳は、音を神経に伝達する働きと、体の平衡感覚を保つ働きをしています。
そのため、内耳にウィルスや細菌による炎症や血流の悪化が起こると、音の伝達や平衡感覚に異常が起きて、難聴や耳鳴り、めまい等の症状が起こるのです。
このような内耳の異常が原因で難聴を起こす疾患として、突発性難聴、メニエール病、加齢性難聴、騒音性難聴、急性音響性難聴、ストマイ難聴などがあげられます。
 
 

 メニエール病についてはこちら

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中耳疾患

中耳は耳管で鼻と伝わっていますが、何らかの原因で耳管がふさがることや、鼻やのどからの細菌が耳管から侵入して感染すると聞こえが悪くなります。
耳管狭窄症や急性中耳炎がその例です。
 
耳管狭窄症が長引くと滲出性中耳炎を起こすことがあり、急性中耳炎や滲出性中耳炎から慢性中耳炎になることもあります。
いずれも難聴を引き起こす疾患です。
 
また、中耳は外から伝わってきた音を鼓膜でとらえて耳小骨に伝えますが、耳小骨が固まって動きづらくなる耳硬化症も難聴を引き起こします。
 

外耳疾患

外耳炎は、傷や細菌が原因で外耳に皮膚の炎症や腫れなどが起こる疾患です。
音は空気の振動として外耳に届き、外耳道から中耳の鼓膜に伝わります。
振動として伝えられた音の情報を内耳の神経が電気信号として脳に伝え、それが音として認識されるのが聞こえの仕組みです。
 
ですので、外耳炎や耳垢などで外耳道が塞がってしまうと、鼓膜に音の振動が伝わりにくくなり、難聴の原因になるわけです。 
 

神経性難聴

内耳から脳へ音を伝達する経路の異常で起こる難聴が、神経性難聴です。
血管障害や老化、炎症、腫瘍などが原因で、なかでも聴神経腫瘍は脳幹を圧迫する可能性があるので注意が必要です。
加齢性難聴は、神経性難聴であることが多く、高音から聞こえにくくなる特徴があります。
 

増えているヘッドホン・イヤホン難聴(音響性難聴)

 

 
近年、10代〜30代の若い世代に、ヘッドホンやイヤホンの使用が原因の難聴が増加しています。
ヘッドホンやイヤホンで大音量の音楽などを聞き続けることで起こるのが、音響性難聴です。
 
初期症状では症状を自覚しにくく、且つ、一度発症すると回復しにくいため、世界的に問題視されています。
世界全体で若い世代を中心とした11億人に、音響性難聴のリスクがあるといわれており、WHOが警鐘を鳴らしています。

 
 

難聴の治療法と予防法

ここでは、難聴の治療や予防にはどんな方法があるのかご紹介します。

難聴の治療法

難聴の治療方法は、大きく分けて手術、薬物療法の2つです。
 
伝音性難聴は、薬や手術で原因が治れば聞こえの回復も期待でき、補聴器で聞こえの改善を図ることもあります。
感音性難聴の治療は困難とされており、難聴の度合いが重度の場合は手術で人口内耳を入れることがあります。
加齢にともなって低下した内耳や聴神経の機能は、若い頃のようにまで回復することは難しいため、現在の聴力をいかに維持するかが重要です。
また、突発性難聴は発症してから早期に治療を始めることが回復の鍵となっており、遅くとも2週間以内に治療を始めることが推奨されています。
ただし、治療しても回復できないケースもあり、難しい病気でもありますから、気になる症状がある方は、早めの受診をおすすめします。
 

難聴の予防法

難聴を予防するためには、長時間騒音にさらされないようにすることが大切です。
テレビや音楽を大音量で聞かないようにするほか、騒音が常にあるような場所を避けることも意識してください。
工事や建設現場など騒音がする場所で仕事をする場合には、耳栓をするなどの工夫をしましょう。
静かな場所で耳を休ませる時間を持つことも大事です。

 
 

まとめ

今回は難聴の原因や治療法について解説いたしました。
 
難聴は、社会性にも大きく影響を与える病気です。
特に、突発性難聴は早期治療が大切ですので、症状を自覚したらできるだけ早く病院を受診しましょう。
また、大音量を避ける、長時間のヘッドホンの利用を避ける、耳を休ませるなどの予防も有効です。
日常生活の中でぜひ、意識してみてください。

 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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