マイコプラズマ肺炎の症状と特徴・予防法について詳しく解説

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2024/08/30

マイコプラズマ肺炎の症状と特徴・予防法について詳しく解説

マイコプラズマ肺炎とは

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」(Mycoplasma pneumoniae)という特殊な細菌による呼吸器感染症です。この細菌は細胞壁を持たないため、一般的な抗生物質が効きにくいという特徴があります。
 
感染経路は主に以下の2つです。
飛沫感染:感染者の咳やくしゃみによって放出される唾液や気道分泌物を、吸い込むことで感染します。
接触感染:感染者の分泌物が付着した物に触れたあと、自身の口や鼻、目などに触れることで感染します。
 
潜伏期間は2〜3週間と比較的長く、この特徴が感染経路の特定を困難にし、知らず知らずのうちに感染が広がる一因となっています。

 
 

症状と特徴

主な症状

マイコプラズマ肺炎の主な症状には以下のようなものがあります。

  • ●発熱(38〜39度程度)
  • ●全身倦怠感(だるさ)
  • ●頭痛
  • ●痰を伴わない乾いた咳(頑固な咳)
  • ●咽頭痛

 
他にも、鼻炎症状、気管支炎、胸の痛みなどの呼吸器症状のほか、消化器症状や皮疹が 現れる場合があります。
 

特徴

特徴的なのは、咳が熱の出現よりも遅れて始まることがあり、熱が下がった後も3〜4週間程度長く続くことです。また、「頑固な咳だけ」という症状で発熱がない場合もあり、特定が難しいこともあります。
 
初期症状が風邪とよく似ており、症状も軽いため気づきにくいことがあります。しかし、長引く咳や特徴的な発熱パターンが見られる場合は、マイコプラズマ肺炎を疑う必要があります。
 
マイコプラズマ肺炎は「歩く肺炎」とも呼ばれ、症状が比較的軽いため、多くの患者が日常生活を続けながら感染を広げてしまうことがあります。

 
 

検査方法

マイコプラズマ肺炎の検査方法はいくつかあります。

画像検査(レントゲン検査・CT検査)

 

 
マイコプラズマ肺炎特有の「すりガラス状陰影」が見られることがあり、一般の細菌性肺炎との鑑別に役立ちます。
 

血液検査

マイコプラズマに対する抗体を検出します。IgM抗体やPA抗体などが用いられます。
 

遺伝子検査

PCR法などを用いて、マイコプラズマの遺伝子を直接検出します。迅速かつ高感度な検査方法ですが、実施可能な施設は限られています。
 

迅速診断キット

鼻や喉の粘液を用いて、10~30分程度の短時間でマイコプラズマの感染を確認できる検査キットも広く使用されています。
 
症状とこれらの検査を組み合わせて診断されます。
 
 

 当院では、レントゲン検査のほか迅速検査での診断が可能です。

詳しくはこちら

 

 
 

治療について

マイコプラズマ肺炎の治療には、主にマクロライド系などの抗菌薬が使用されます。マイコプラズマは細胞壁を持たない特殊な細菌であるため、一般的な細菌性肺炎とは異なる抗生物質が選択されます。
 
多くの場合は軽症で済みますが、重症化した場合には入院して治療が行われることもあります。

 
 

予防と対策

 

 

今のところ有効なワクチンはありません。
 
感染を予防するには以下の対策が効果的です

  • ●流水と石けんによる手洗いの徹底
  • ●マスクの着用など、咳エチケットの遵守
  • ●感染者との濃厚接触を避ける
  • ●タオルの共用を避ける

 

流行期には、新型コロナウイルス対策として実施されていた、基本的な感染対策の徹底が大切になります。

 
 

重症化のリスクと合併症・後遺症

マイコプラズマ肺炎は多くの場合軽症で済みますが、一部の患者では重症化し、呼吸不全に至ることもあります。特に小児や若年者で感染しやすく、重症化のリスクがあります。
 
高齢者や基礎疾患のある患者では、胸水貯留や呼吸不全を引き起こし、入院が必要になることもあります。
 
合併症としては、中耳炎、心筋炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、すい炎、溶血性貧血、などがあります。
 
後遺症として、咳が長期間(数週間から数ヶ月)続くことがあります。

 
 

年代別の特徴と注意点

小児の感染

マイコプラズマ肺炎に感染しやすい年齢層は幼児期、学童期、青年期が中心です。
小児のマイコプラズマ肺炎は比較的軽症で済むことが多いですが、幼児〜学童は免疫反応が弱いことや、異なる型のマイコプラズマに感染した場合は再感染することがあり、何度でも感染する可能性があります。
 
感染経路が主に飛沫感染と接触感染であるため、学校や保育施設など、子どもが密集する環境で感染が広がりやすい傾向があり、特に注意が必要です。
 

大人の感染

マイコプラズマ肺炎にかかるのは14歳以下の子どもが8割とされていますが、大人も決して感染リスクが低いわけではありません。
家族の一人が感染すると、家族内での感染率は90%に達するとされています。子どもは感染しやすいため、子どもから大人への感染が多く見られます。
大人は子どもに比べて症状が重くなりやすい傾向があります。
 
初期症状が風邪と似ているため、大人でも見逃されやすく、感染者が自覚症状のないまま他者に感染させてしまう可能性があります。
 
 

高齢者の感染

高齢者では典型的な症状が現れにくいという特徴があります。発熱や咳などの一般的な症状が軽度であったり、まったく現れないこともあります。
マイコプラズマ肺炎の特徴的な乾いた咳が現れる場合、咳が長期化しやすく、回復に時間がかかることがあります。
 
また、免疫機能の低下や基礎疾患の存在により、若年者に比べて重症化しやすい傾向があります。胸水貯留や呼吸不全を引き起こし、入院が必要になることもあります。
 
高齢者は合併症を起こすリスクも高くなります。特に心筋炎や脳炎などの重篤な合併症に注意が必要です。
 

その他に

妊婦が感染した場合、胎児への直接的な影響は少ないとされていますが、発熱や低酸素状態が胎児に影響を与える可能性があります。
 
免疫不全患者が感染した場合は重症化のリスクが高く、通常よりも長期間の治療が必要になる可能性があります。
 
基礎疾患(喘息、COPD等)のある患者がマイコプラズマ肺炎に感染した場合も症状が悪化しやすいです。特に喘息患者では、マイコプラズマ感染が喘息発作を誘発する可能性があります。

 
 

流行の傾向と最新の流行状況について

マイコプラズマ肺炎は季節性があり、冬にやや増加する傾向がありますが、1年を通じて発生する可能性があります。人が多く密接して過ごす施設で感染が拡大しやすく、罹患年齢は幼児期、学童期、青年期が中心です。

最新の流行状況

2024年8月現在、マイコプラズマ肺炎の患者数が増加しています。
国立感染症研究所の発表によると、定点当たり報告数は7月以降増加が続いており、過去5年間の同時期 の平均と比較してかなり多くなっています。
(出典: 厚生労働省/国立感染症研究所「感染症発生動向調査:感染症週報」
https://www.niid.go.jp/niid/images/idwr/pdf/latest.pdf
 
今後も感染状況に注意が必要です。

 
 

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