白血球が高いと危険!?考えられる疾患と心房細動罹患リスクの増大について

  • クリニックブログ
2024/07/23

白血球が高いと危険!?考えられる疾患と心房細動罹患リスクの増大について


 

 

「白血病以外でも多いことはある?」
「どこかが炎症を起こしているの?」

白血球数が多く、このように疑問に思われていませんか?
 
白血球は免疫細胞の一つであり、細菌やウイルス、カビから体を守る役目があります。
この事実を知っている方であれば、何か起きているのではと安易に想像がつくでしょう。
 
以降では、実際にどのようなことが起きているのか、数値が高くなる原因を詳しく解説します。

 
 

白血球数で分かる体の状態と基準値

 

 

血液検査の項目にある白血球の数で分かる体の状態、基準値について解説します。
 

白血球数で分かる体の状態

白血球の数が多い場合と少ない場合で体の状態が異なります。
 

白血球が多い場合

数が多い場合、炎症がどこかで起きている、もしくはウイルスなどが侵入していることが分かります。
炎症が落ち着いたり、ウイルスが排除されたりすると正常値に戻ります。他にも、肥満や喫煙でも、炎症やウイルスの場合ほどではありませんが数が多くなります。

 

白血球が少ない場合

反対に数が少ない場合、ウイルス感染症もしくは服用中の薬の影響が考えられます。ウイルス感染症の場合、治療を受ければ一般的に数週間で正常値に戻ります。
 
もし、赤血球や血小板などにも何かしらの異常がある場合、再生不良性貧血や膠原病が疑われます。あまりにも少なすぎる場合は骨髄系の疾患が原因である可能性もあるため、血液内科で精密検査を受けましょう。

 

基準値

正常値は3,100〜8,400/μlです。
 
軽い異常が見られる場合は8,500〜8,900/μl,9000〜9,900/μlは、生活改善が必要です。
 
注意しなければならない数値は3,000/μl以下もしくは10,000/μl以上となります。
その場合、精密検査を行い、疾患を突き止め次第治療をしていかなければなりません。

 
 

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白血球が高い理由と考えられる疾患

白血球が高くなる原因疾患は以下があります。

  • ●好中球増加症
  • ●好酸球増加症
  • ●好塩基球増加症
  • ●単球増加症
  • ●リンパ球増加症

 
では、特徴や発症原因を解説します。
 

疾患①好中球増加症

好中球増加症は、7,000/μl以上の状態になると診断されます。発症する原因疾患には、悪性腫瘍や血液疾患があり、その他にも炎症や薬物の影響があります。
 

原因①悪性腫瘍

初期では基本的に見られず、病状が進行した場合に見られます。感染症と合併したときや組織の壊死が見られるときなどに、白血球が7,000/μl以上まで上昇します。

 

原因②血液疾患

好中球増加症が見られる血液疾患には、真性赤血球増加症、慢性骨髄性白血病、原発性骨髄線維症、本態性血小板血症があります。
これらの疾患により好中球が増加するのは、細胞が過剰に増殖し腫瘍ができる過程が関係しているとされています。

 

原因③感染症による炎症

敗血症や虫垂炎、肺炎などの感染症により体内で炎症が起きた際にも、好中球は増加します。ただし例外があり、腸チフス、パラチフス、結核は増加せず、むしろ減少するのが特徴です。

 

原因④その他の炎症

炎症を起こす原因は病気だけではありません。リウマチ熱や関節リウマチ、股関節骨折、やけどでも増加が見られます。

 

原因⑤薬物

副腎皮質ステロイドを服用すると、好中球が増加します。

 
理由は4つあります。
 

  • 1. 骨髄にある成熟好中球プールから末梢血液中へ誘導する作用がある
  • 2. 末梢血液中から組織に漏れ出るのを抑制する作用がある
  • 3. 骨髄において好中球の増殖・分化を促す作用がある
  • 4. 好中球が自然死するのを抑制する作用がある

 
主な理由は、1番目と考えられています。
 

疾患②好酸球増加症

好酸球増加症は、500/μl以上に増加した場合に診断されます。原因はアレルギーや血液疾患、膠原病などが挙げられるのですが、原因が多いためしっかりと検査を行い絞り込まなければなりません。
 

原因①アレルギー疾患

好酸球増加症が一般的に見られるのが、アレルギー疾患です。代表的なものとして、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎が挙げられます。

 

原因②寄生虫

さまざまな寄生虫に感染した際にも好酸球増加症が見られます。例えば、条虫や回虫、エキノコックス症などがあります。寄生虫による増加も、一種のアレルギー反応による増加だと考えられています。

 

原因③血液疾患

慢性骨髄性白血病、白血病、ホジキンリンパ腫、特定の骨髄増殖性腫瘍などの血液疾患も増加を引き起こします。主に慢性骨髄性白血病に関連するものですが、腫瘍を形成する顆粒球の異常増殖の部分症として見られるものです。

 

原因④膠原病(好酸球性筋膜炎)

膠原病の一つである好酸球性筋膜炎は、発症時に好酸球が増加します。なお、発症原因は分かっていません。まれに、赤血球が作られない再生不良性貧血や、リンパ腫などを発症するケースもあります。

 

原因⑤好酸球増多症候群

原因が分からない好酸球の増加が半年以上続く場合に診断される疾患です。大きく2タイプに分かれ「骨髄増殖型」と「リンパ増殖型」があり、その他の亜型としてGleich症候群や慢性好酸球性白血病などもあります。

 

疾患③好塩基球増加症

好塩基球には、ごく初期のがんの破壊や傷口修復などさまざまな働きがあります。
 
ヒスタミンの放出にも関わるため、疾患によって異なるものの、増加するとアレルギー反応を起こしてかゆみなどを起こします。増加を引き起こす原因疾患には、血液疾患や甲状腺機能低下症が挙げられます。
 

原因①血液疾患

好塩基球を増加させるものは、骨髄増殖性疾患が代表的です。具体的には、真性多血症や骨髄線維症などです。

 

原因②甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、喉あたりにある甲状腺の機能が低下し甲状腺ホルモンが不足する病気です。なお、著しい増加はなく軽度にとどまります。

 

疾患④単球増加症

単球には、特定の感染の排除や、壊死組織や傷ついた組織の除去、がん細胞の破壊を行う他の白血球のサポートなどの役割があります。
増加する原因には、白血病や感染症があります。
 

原因①白血病


 

 

単球が増加する白血病には、急性単球性白血病があります。白血病化した単球が異常増殖を起こしているため、決して正常な単球が増えているわけではありません。

 

原因②感染症

増加する原因として感染症があります。代表的なものは、結核や亜急性心内膜炎です。

 

疾患⑤リンパ球増加症

成人の場合リンパ球が4,000/μl以上にまで増加した場合に診断されます。リンパ球には3種類あり、増加する原因として慢性リンパ性白血病や感染症があります。
 

原因①急性・慢性リンパ性白血病

急性と慢性のリンパ性白血病では、白血病化したリンパ球が増殖します。そのため、増殖するほど体をむしばみます。

 
 

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原因②ウイルス感染症

ウイルスによる感染症でもリンパ球の増加が見られます。代表的なものには、伝染性単核球症があります。

 

原因③細菌感染症

細菌の感染症でもリンパ球が増加することがあります。代表的なものには、百日咳や結核が挙げられます。

 
 

白血球が増加すると心房細動罹患リスクが増大する

これまで、さまざまな疾患や炎症で白血球が増加することをお伝えしてきました。こういった白血球の増加は、心房細動罹患を発症するリスクを高めるという報告があります。
 
国立研究開発法人 国立循環器病研究センターが発表した内容によると、心房細動罹患リスクを高める可能性が顕著に現れたのは女性だったとのことです。
 
ちなみに、これまでの多くの研究によって、白血球の増加が脳卒中や心筋梗塞といった心血管疾患のリスクを高めることも知られています。
 
(出典:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「白血球数が高いと心房細動罹患リスクが高い :都市部地域住民を対象とした吹田研究」https://www.ncvc.go.jp/pr/release/pr_34894/
 

 
 

まとめ

白血球が増加する原因は複数あるため、顕著な増加がある場合はしっかりと原因を突き止めなければなりません。
軽度であっても、特に女性は心房細動罹患を発症するリスクが増大する可能性が浮上しているため、体調の変化に注意したほうがよいでしょう。

 
 

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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