胃底腺ポリープとは?がんのリスクや胃がんの治療法について
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胃底腺ポリープとは?がんのリスクや胃がんの治療法について
「ポリープと診断された。がんになりやすいと聞くから心配」
「もし、胃がんになったらどうなる? 生存率は低い?」
このように不安を抱えていませんか?
胃検査を行った結果、胃底腺ポリープがあると告げられて思い浮かべるのは、恐らく悪性腫瘍ではないでしょうか。
結論からお伝えすると、胃底腺ポリープは良性で、胃がんに進行することはほとんどありません。
本記事では、胃底腺ポリープとはどのようなものなのか、原因や治療、胃過形成性ポリープとの違い、胃悪性腫瘍について解説します。
胃底腺ポリープとは?原因や胃過形成性ポリープとの違いについて
胃のポリープには複数の種類があり、それぞれ特徴や原因が異なります。
ここでは胃底腺ポリープの特徴、胃過形成性ポリープとの違いについて解説します。
胃底腺ポリープとは?
胃の粘膜にできる良性のポリープです。腫瘍が原因で膨らんでいるわけではなく、何らかの理由で隆起したものですので、基本的に安心してよいでしょう。
発生するのは、ほとんどがピロリ菌が存在していない健やかな胃です。できる際は1つや2つではなく、複数確認されるケースが多くあります。
発症の原因
胃底腺ポリープができる原因ははっきりとは判明していませんが、女性に多い傾向があることから女性ホルモンとの関連が指摘されています。
健康な若い方にもよく見られる症状です。
症状について
基本的に症状はありません。そのため、気付かず検査で初めて知るのが一般的です。
胃の不調を訴える方は、慢性胃炎や急性胃炎など別の疾患を併発している場合があります。例えば、慢性胃炎の場合は胃もたれや食欲不振、急性胃炎は胃痛や胃の膨満感などを訴えます。
そのため、胃の検査をしたところ、たまたま胃底腺ポリープが見つかったという事例が多くあるのです。
サイズが成長すると貧血になる
サイズが大きくなると、出血を起こすことがあるため貧血を訴える方がいます。
貧血の代表的な症状は、動悸がする、めまいがする、頭痛などです。また、出血により吐血や下血、黒い便が出ることもあり、慌てて病院へ駆けつける方もいらっしゃいます。
検査方法
ポリープ検査は胃カメラで行い、スコープを鼻や口から挿入します。悪性腫瘍が疑われる場合は、スコープの先端にあるハサミのようなもので一部をカットし、病理検査やピロリ菌検査を行います。
この検査方法により、悪性腫瘍の可能性があるのか良性ポリープなのか診断が可能です。
胃カメラ検査 (上部消化管内視鏡検査)についてはこちら
治療法について
胃底腺ポリープは悪性腫瘍に進行する確率が低いため、基本的には治療はしません。ただし、胃カメラで出血が認められるものや悪性の可能性があるもの、肥大化傾向にあるものは手術で切除する対象となります。
胃過形成性ポリープとの違いとは?
胃過形成性ポリープは、胃底腺ポリープとは異なる特徴がいくつか見られます。まず、発症しやすいのはピロリ菌感染が認められる胃です。
また、悪性腫瘍への進行が認められる例もあり、ピロリ菌の除菌治療を行った後は内視鏡検査で年に1回チェックすることが勧められています。
幸せポリープとの違いとは?
「幸せポリープ」という呼び名を耳にする方もいらっしゃるかもしれません。
実は、この呼び名は胃底腺ポリープに付けられたものです。悪性腫瘍に変わる心配がほとんどないことからこう呼ばれるようになりました。
がんに進行するリスクと胃がんについて
悪性腫瘍への進行リスクと胃がんについて解説します。
がん化するリスクについて
これまで、胃底腺ポリープは悪性腫瘍になり得ないとされてきました。
しかし、その常識は変わりつつあります。
というのも、最近ではがんの発生報告があるのです。幸せポリープと呼ばれるほど安心できる存在でしたが、それが崩れようとしています。
とはいえ、報告数はまだ少ないためごくまれという程度です。どちらかというと、胃過形成性ポリープのほうががんに進行しやすい傾向があります。
胃がんについて
胃がんは、粘膜から徐々にしょう膜と呼ばれる層に向かって浸潤するのが特徴です。
中には、進行が早く命を落としやすいスキルス胃がんもあります。スキルスは、胃の壁を厚く、硬くしながら広がっていくのが特徴です。
以降では、胃がんの原因や症状、治療法、予後について解説します。
発症原因
発症原因には、喫煙やピロリ菌、ポリープ、遺伝などが関係しています。そのため、生活習慣を正すこと、菌に感染しないことが有効的な予防法です。
具体的には、5大栄養素をバランスよくとれる食事を続けること、禁煙、過度なアルコール飲料の摂取をしないことなどが挙げられます。
症状
初期症状としては消化不良がよく見られます。食べすぎや疲れなどでも起こり得るものなので、気付きにくいでしょう。
進行して食道の出口が塞がれると嚥下障害が起こったり、体重減少が見られたりします。また、出血により大量吐血を起こしたり、黒い便が出たり、貧血が見られることもまれにあります。
治療法
治療は外科手術です。術式には以下の3つがあります。
- ●幽門側胃切除術
- ●胃全摘術
- ●噴門側胃切除術
幽門側胃切除術は、がんに侵されている部分を切除し、新たに食べ物が通る道を作る術式です。
胃全摘術は、胃を丸ごと摘出する術式です食べ物の消化が難しくなるため、固形物を食べると嘔吐してしまうリスクがあります。
噴門側胃切除術は、がんに侵されている部分を切除し、残っている部分と食道をつなぐ術式です。
発症してからの予後
予後は進行度合いによって異なります。早期に発見し治療をスタートできた場合は生存率が高いです。
しかし、初期症状が胃がんに特有のものではないことから、発見時多くの方がすでに進行してしまっているため、進行した場合には、5年生存率は5〜15%と低めです。
進行度別に5年生存率を見ると、まだ粘膜か粘膜下層にとどまっている場合は80%、リンパ節に転移がある場合は20〜40%であり、さらに進行した場合は1年以内に亡くなる確率が極めて高くなります。このように、全体的に予後はよくありません。
生存率を高めるためには、少しでも胃の不調を感じたら医療機関に行き、検査を受けることが大切です。
まとめ
胃底腺ポリープはあまり心配のない病変のため、緊急性はありません。
よって、経過観察であることが多いです。
万が一胃がんになると、予後はよくなく命を落としやすくなるため、定期的に検査を受け、普段から生活習慣に気を付けるようにしましょう。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師