サルコペニアとは?原因、症状、予防法について解説

  • クリニックブログ
2023/11/15

サルコペニアとは?原因、症状、予防法について解説

歳を重ねると誰しも体力が衰えるものです。
その上、筋肉量が基準より減少している状態の「サルコペニア」になってしまうと、将来的に介護が必要な状態になる可能性が高まります。
 
健康寿命を長くするためには、サルコペニアの予防や対策が不可欠です。
そこで本記事では、サルコペニアの原因や症状、予防法や対策について解説していきます。

クリニックに来たの男性と受付の女性
 
 

サルコペニアとは

サルコペニアは、加齢に伴い筋肉の量が減少していく状態のことです。
ギリシャ語で筋肉の意味である「サルコ(sarx / sarco)」と喪失の意味である「ペニア(penia)」からくる造語で、「加齢性筋肉減弱現象」と呼ばれることもあります。
 
サルコペニアになると、歩行や、立ち上がりなどの日常的な基本動作に支障が出て、介護が必要な状態になりやすくなります。
サルコペニアは、「一次性サルコペニア」と「二次性サルコペニア」の2種類に分類されます。
 
一次性サルコペニアは、加齢による筋肉量の減少が原因で、加齢以外には明らかな原因がありません。
二次性サルコペニアには、加齢以外の原因があります。
原因は主に、活動量に関連するもの、疾患に関連するもの、栄養に関連するものがあります。
 
具体的には、寝たきりや、無気力状態などの不活発な生活、心臓や肺、肝臓、脳、腎臓などの重症臓器不全や炎症性疾患等の疾病、消化管疾患、食欲不振などによるエネルギー不足やたんぱく質不足などです。

 
 

サルコペニアの症状と原因

サルコペニアの症状や原因、発症しやすい方の特徴をご紹介します。

代表的な症状

サルコペニアの代表的な症状をご紹介します。
次のような症状がみられる場合には、サルコペニアかもしれません。
 

  • ● 頻繁につまずいたり、転びやすくなった
  • ● 歩く速度が遅くなり、青信号の間に横断歩道を渡り切れない
  • ● 握力が低下して、ペットボトルのフタが開けにくい
  • ● ふくらはぎが痩せてきた

 
思い当たる症状がある方は、症状が進行する前に病院を受診しましょう。
 

考えられる原因

サルコペニアになると、筋線維の数と筋横断面積の減少が進行しますが、そのメカニズムは完全には判明しきれていません。
主に、加齢や不活動な生活習慣、タンパク質不足の食生活が原因だと考えられています。
 
人間の筋肉量は一般に20代がピークです。
筋肉は、合成と分解を繰り返していますが、高齢になると合成される筋肉の量が減少し、分解される量が増加するため、普通の生活を送っていても筋肉が減りやすい状況になります。
 
それに加えて、活動量の減少やたんぱく質不足の食生活によって、作られる筋肉量が減少し、身体機能が低下していってしまうのです。
 

サルコペニアを発症しやすい方の特徴

次に当てはまる方は、サルコペニアを発症しやすい傾向があります。
 

高齢でやせ型な方

やせ型の方は、食事の摂取量が全体的に少ないため栄養不足に陥りやすいのが特徴です。
また、高齢になると消化機能の衰えなどから動物性たんぱく質を避け、あっさりしたものを好む傾向もあります。
そのため、たんぱく質不足に陥りやすくなってしまうのです。
 

運動習慣がなく筋肉量が少ない方

デスクワークが中心で長時間座っているライフスタイルの方や、日常的に運動習慣がない方は、筋肉量が少なくなりサルコペニアを発症しやすくなります。
 

食事制限のみのダイエットをしている方

運動をせず食事制限中心の極端なダイエットをしている方は、若くてもサルコペニアになる可能性が高まります。
 

サルコペニア肥満の危険性

BMI(肥満度を表す体格指数)では、肥満ではない方でも筋肉に比べて内臓脂肪が多い方はサルコペニア肥満、いわゆる隠れ肥満の可能性があります。
サルコペニア肥満は、普通の肥満の方以上に、生活習慣病のリスクが高いといわれています。
見た目ではわかりづらく、本人も気づかないうちに病気が進行していることもありますので注意が必要です。
 
サルコペニア肥満の原因は、運動不足と栄養不足にあります。
そもそも、筋肉は運動をしないと減ってしまうものなのです。
 
また、食事制限のみの減量を行っていると、栄養不足で筋肉が減少するうえに、運動不足から脂肪が燃焼されずに体内に残ってしまいます。
それにより、生活習慣病のリスクが高まってしまうのです。
 
つまり、サルコペニア肥満は、高齢者に限らず、若い方にも見られる現象ということです。

サルコペニアの症状と診断方法

サルコペニアの症状と診断方法をみてみましょう。

診断方法

サルコペニアの診断には、AWGSというアジアの診断基準が用いられており、筋力、身体機能、筋肉量を測定して判断します。
 
筋力は、握力を測定して判断します。
筋力低下と判断される基準は、男性で28kg未満で、女性は18kg未満です。
 
身体能力は、歩行速度のテストをして判断します。
身体能力の低下と判断される基準は、1秒間あたり1.0m未満です。
 
筋肉量は、二重エネルギーX線吸収法(DXA法)または、生体電気インピーダンス法(BIA法)によって測定します。
筋肉量低下と判断される基準は、BIA法で男性は7.0kg/㎡未満、女性は5.7kg/㎡未満、DXA法で男性は7.0kg/㎡未満、女性は5.4kg/㎡未満です。
 

セルフチェックの方法

「もしかしてサルコペニアかもしれない」と思われた方は、「指輪っかテスト」というセルフチェック方法を試してみてください。
指輪っかテストでは、まず椅子に座り両足を床につけた状態で、利き足ではないほうのふくらはぎの1番太い部分を囲むように、両手の親指と人差し指で輪っかをつくります。
 
その際に、指どうしがつかず囲めなければ、サルコペニアの可能性は低いでしょう。
しかし、すき間が出来る場合は、サルコペニアである可能性が高いといえます。
 

サルコペニアとフレイル、ロコモとの違い

サルコペニアと共通点もある状態に「フレイル」「ロコモ(ロコモティブシンドローム」があります。
サルコペニアは、「加齢による筋肉量の減少」、フレイルは「虚弱」、ロコモは「運動機能の低下」です。
 
フレイルは、サルコペニアと同様に筋肉量や質の低下で身体機能が低下した状態になりますが、加えて精神的側面や社会的側面も含みます。
つまり、認知機能低下によるストレス耐性の低下や精神不安定、独居や経済的困窮などによる社会性の低下が起こる状態です。
 
フレイルの中で、骨や関節、筋肉などの機能低下が原因で運動機能が低下した状態をロコモといい、その中で特に、筋肉量の減少によるものがサルコペニアです。
いずれも状態が進行すると、介護が必要な状態になるという共通点があり、健康寿命を大きく左右します。
 

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サルコペニアの予防法

サルコペニアの予防や改善には、筋肉の量や質を高めることが大切です。
そして、筋肉の質と量を維持するためには、食事と運動による対策が必要となります。
 

たんぱく質とカルシウムを意識した食事

食事の際に重要となるのは、1日3食バランスよく摂ることだけではなく、筋肉のもととなるたんぱく質をきちんと摂ることです。
肉類や魚介類はもちろん、ゆで卵や納豆など、必ずたんぱく質を摂るようにしましょう。
 
また、身体機能の低下を予防するには、骨を強くすることも大切です。
カルシウムの摂取に加えて、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも意識して摂るようにしましょう。
 
カルシウムを含む食品に、牛乳や豆腐、小松菜、ほうれん草などがあります。
ビタミンDは、きのこ類や鮭、いわし、卵などに含まれています。
意識して食卓に加えるようにしてください。
 

運動で筋肉を鍛える

サルコペニアを予防するためには、運動により筋肉の質を高めることも重要です。
筋肉の質が高い状態とは、筋肉を構成する筋線維が密に存在し、脂肪などが少ない状態をいいます。
 
筋肉の質を高めるのに効果的でおすすめなのが、レジスタンス運動と有酸素運動の組み合わせです。
レジスタンス運動とは、自分の体重を負荷にして強化したい骨格筋を鍛える運動のことであり、代表的なものとしてはスクワットや腕立て伏せなどがあります。
週に2日〜3日程度レジスタンス運動をすることによって、筋肉量増加が期待できます。
 
また、ウォーキングや水泳などの有酸素運動を行うと、立ち続ける、歩き続ける等の持続的な活動をするための筋力を鍛えることが出来ます。
脂肪を燃焼し、筋肉の質を高めることにもつながります。
軽く息がはずむ程度の強度で効果が期待できますので、無理のない範囲で日常生活に取り入れましょう。

 
 

まとめ

サルコペニアの原因については、はっきりしていないこともありますが、不活動や栄養不足も一因とされています。
症状が進むと、ますます不活動になるという悪循環が起きてしまいますので、思い当たる症状があれば、すぐに病院を受診してください。
 
食事や運動で予防や改善も出来ますので、日頃から食事内容の改善や運動習慣を意識しましょう。

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MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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