帯状疱疹の症状、原因、治療法について解説
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帯状疱疹の症状、原因、治療法について解説
「帯状疱疹は神経に沿って症状が出るって聞いたけど全身にできるの?」
「ストレス以外でも発症することはある?」
「どのような治療が行われるの?」
このような疑問はありませんか?
この病気は、帯状に強い痛みを伴う発疹が特徴です。
50歳以上の方にワクチン接種を推奨するコマーシャルの放映もあり、名前だけは知っているという方も多いでしょう。
以降では、どのような病気なのか、治療法、類似疾患との違いについて解説していきます。
帯状疱疹とは
どのような病気なのかを詳しく解説していきます。
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、身体の中にある水痘・帯状疱疹ウイルスが再度活発になることで発症する疾患です。
このウイルスは、初めて感染した時には水ぼうそうを発症しますが、この時に出た発疹から神経を通って神経の根元に住みつきます。
そして何らかの原因によって再活性化すれば帯状疱疹になります。
水疱瘡になったことがある方なら誰でも発症する疾患です。
身体の左右の片方の神経に沿って、痛い水ぶくれと斑点が帯状に多数出現します。
場所は、上半身が半数以上と多く、顔や目のまわりに出ることもよくあります。
帯状疱疹は、50歳以降に発症しやすくなる疾患ですが、ストレスや過労などによって若い方でも発症する可能性があります。
80歳までに約3人に1人が発症すると報告されており、一般的には、一生で1度しか発症しませんが、免疫が低下している方だと再発する場合もあります。
何回も再発する場合には、背景に別の病気が潜んでいる可能性があるため気になる方はご相談ください。
なお、帯状疱疹が帯状疱疹として他の人にうつることはありませんが、水疱瘡にかかったことがない幼い子どもに水疱瘡としてうつる可能性はあるので注意が必要です。
原因
帯状疱疹の原因は、身体に潜む水疱瘡のウイルスが活性化することです。
水疱瘡は多くの方が子ども時代に感染して、発熱と胸とお腹を中心に赤くて小さな発疹ができる疾患です。
1週間ほどして治っていきますが、ウイルス自体は、神経節と呼ばれる神経の中にひっそりと潜伏しています。
ストレスや働きすぎ、加齢、病気、体調不良などで免疫力が低下するとこのウイルスが再度元気を取り戻して帯状疱疹を発症します。
日本人の約9割の大人がこのウイルスが体内にあり、発症する可能性があると考えられています。
症状
帯状疱疹は、通常はまず身体の片側の神経に沿って痛みがでてきます。
痛みは神経痛のようにぴりぴりした痛みが特徴です。
その後、数日から10日ほど後に、小さな水疱や赤い発疹が、同じように神経に沿って帯状に数多く出現してきます。
痛みも強くなり、場合によっては夜も寝られません。
治療をすれば、約2〜3週間で皮疹も痛みも治ってきますが、特に高齢の方は、感覚異常や痛みが長い間残ってしまうことがあります。
これは帯状疱疹後神経痛(PNH)と呼ばれる後遺症で、合併症の中で最も頻度が多いです。
50歳以上で発症した約2割の方に3ヶ月以上起こるとの報告があります。
しめつけるような、焼けるような痛みや、ずきずきする痛みが特徴です。
高齢者、皮膚症状が重い、痛みが強いなどがリスクだと考えられています。
帯状疱疹は、半数以上が上半身に症状がでます。
その他、顔にも発症しやすいですが、その場合には、角膜炎や難聴、顔面神経麻痺などの合併症を伴うケースもあります。
下腹部や腰に発症すれば尿が出にくくなり便秘になることもあります。どこに症状が出るかは個人差があります。
帯状疱疹発症による日常生活への影響
帯状疱疹は強い痛みと発疹を引き起こし、日常生活に大きな影響を与えます。
痛みは特に夜間に強まり、睡眠を妨げることがあります。
発疹や水疱は衣服や動作に影響を及ぼし、特に顔や目に出た場合、心理的なストレスを引き起こすことがあります。
痛みや疲労感により、仕事や学業への集中力が低下し、ストレスや不安を増大させます。
治療には医療費と時間がかかり、ライフスタイルの調整が必要になることがあります。
後遺症である帯状疱疹後神経痛(PHN)は、発疹が治った後も「衣服が擦れて痛い」「痛くて顔が洗えない」といった皮膚感覚の異常が数か月から数年続くことがあります。
帯状疱疹になりやすい人
帯状疱疹は、特定の条件や状況にある人、具体的には以下の特徴を持つ人に発症しやすい傾向があります。
- ●50歳以上の人
- ●水痘(みずぼうそう)にかかったことがある人
- ●免疫力が低下している人(高齢者、高齢者、妊婦など)
- ●ステロイド薬や免疫抑制剤を使用している人
- ●免疫が低下する持病がある人(がん患者、HIV感染者など)
- ●ストレスレベルが高い人
- ●不健康な生活習慣(不規則な生活、栄養バランスの悪い食事、運動不足など)がある人
これらの条件に該当する人は、帯状疱疹ワクチンの接種を検討し、予防することが推奨されます。
帯状疱疹が引き起こす合併症
帯状疱疹が引き起こす合併症には、以下のような系統の疾患があります。
- ●神経系疾患
- ●血管系疾患
- ●抹消神経系疾患
- ●眼科系疾患
- ●耳鼻科系疾患
では、一つずつ解説していきます。
中枢神経系疾患
中枢神経とは、脳と脊髄のことです。
全身のさまざまな異変などの情報を収集し、各内臓や組織に司令を出す役割をしています。
つまり、中枢神経系疾患は脳や脊髄に起こる病気を指しています。
帯状疱疹が引き起こす疾患は「脳髄膜炎」と「脊髄炎」です。
<脳髄膜炎>
髄膜とは、衝撃から脳を守るために存在しているといわれている膜です。
「軟膜」「くも膜」「硬膜」の3層から成り立っており、これらにウイルスや細菌が侵入し炎症を起こした状態を「脳髄膜炎」と呼びます。
「細菌性」と「ウイルス性」の2種類があり、帯状疱疹による脳髄膜炎はウイルス性に該当します。
後遺症のリスクは少なく、適切に治療すれば1週間くらいで完治します。
主な症状は、発熱や頭痛、嘔吐で悪化すると、けいれんや意識の低下などが起きます。
治療法は、ウイルスが原因の場合は基本的に安静です。
嘔吐や頭痛などで食事や水分補給ができない場合は、点滴で栄養や水分を補給しましょう。
<脊髄炎>
脊髄にウイルスが侵入し炎症した状態を「脊髄炎」と呼びます。
脊髄炎にはさまざまな種類があり、中でも「視神経脊髄炎」と「多発性硬化症」は国の指定難病です。
脊髄は運動や皮膚などの感覚に関する神経が集結しているため、手足のしびれや感覚の低下、排尿困難、失明などの症状が現れます。
治療は、脊髄炎を起こしている病気に合わせて行います。
血管系疾患
帯状疱疹による血管系疾患には、くも膜下出血や脳梗塞などの疾患があります。
日本の死因にも上位に入る疾患ですが、帯状疱疹によって発症する危険性が高まります。
具体的には、帯状疱疹の発症から12年以上と長期的に発症するリスクが増大することが分かっています。
実際に、国内で皮疹の症状が改善してから4カ月後に脳梗塞を起こした10代の女性がいます。
<くも膜下出血>
くも膜下出血とは、脳動脈瘤が破裂することで発症する疾患です。
くも膜下出血を患った30%の方はスムーズな治療により後遺症なく社会復帰できます。
しかし、50%は初めての発症時に出血で命を落とし、20%は後遺症が残る可能性があります。
激しい頭痛や吐き気を経験するのが特徴です。
脳に血液が流れない状態になり血圧が上がるため、意識を失うこともあります。
脳へのダメージが続くと意識が戻らないケースもあり、危険な疾患です。
第一選択の治療方法は、開頭手術で行う「動脈瘤クリッピング術」です。
<脳梗塞>
脳の血管に血栓が詰まり、血流不足を起こす疾患です。
動脈硬化による血管の狭まりが原因で起こるタイプもあります。
主な症状は、半身麻痺や感覚障害、言語障害などです。
脳に酸素が回らないことで脳細胞が死んでしまい、脳が体に司令が出せずこのような症状を引き起こします。
治療方法は、血栓溶解剤や脳を保護する薬、脳の浮腫や腫れを抑制する薬、抗凝固薬といった、薬物療法がメインです。
末梢神経系疾患
末梢神経とは、中枢神経から全身の器官や組織に分かれて伸びている神経です。
運動神経や感覚神経、自律神経が該当し、帯状疱疹による疾患は運動神経の障害が該当します。
帯状疱疹特有の疾患に「帯状疱疹後神経痛」もあります。
<運動神経⿇痺>
運動神経の麻痺では、筋肉を動かすことが困難になります。
下半身付随や半身付随などを起こし、筋力が低下して痩せ細ってしまうのが特徴です。
運動神経の感覚を戻すためには、リハビリが必要です。
<帯状疱疹後神経痛>
帯状疱疹ウイルスにより神経に傷が付き発症するとされています。
主な症状は痛みで、強い痛みを感じることも少なくありません。
断続的に刺すような痛みが繰り返されたり、灼熱痛を感じたりといった症状があります。
治療方法は、薬物療法や神経ブロック療法です。
薬物療法では、神経障害に直接働きかける薬や、痛み止めなどが使用されます。
神経ブロック療法は、局所麻酔やステロイドを使用して痛みが伝達されるのを阻止する治療法です。
眼科系疾患
眼科系疾患は、眼部帯状疱疹を発症した状態に見られる病気です。
重篤であるケースもあり、治療が完了しても視力が悪くなる恐れがあるほか、最悪の場合は失明に至る場合もあるでしょう。
眼科系疾患を発症した合併症は眼球だけでなく、額から鼻先にかけて症状が見られるのが特徴です。
疾患を詳しく分けると以下の3つです。
- ●眼けん結膜炎
- ●角膜炎
- ●ぶどう膜炎
では、一つずつ解説していきます。
<眼けん結膜炎>
眼けんと呼ばれるまぶたの裏の結膜が炎症を起こしている状態です。
まぶたを裏返すと真っ赤になっているのが特徴です。
ヘルペスウイルスの感染によるものでは、粘膜部分や目の周りに水疱ができる場合があります。
発症するのは片目のみであることが多いです。
治療法は、抗ヘルペス薬による薬物療法です。
一般的なウイルス性の結膜炎には特効薬はありません。
<角膜炎>
角膜とは、黒目部分を保護する膜です。
透明で肉眼で確認はできませんが、焦点を合わせる役割やウイルスなどから守る役割があります。
角膜炎の原因はさまざまなものがありますが、その一つがヘルペスウイルスの感染です。
症状には、眼痛やごろごろする感じ、充血、まぶしさ、視力障害、視界のぼやけなどがあります。
放置すると視力障害を起こす可能性があるため、早めの対処が必要です。
治療では、抗生物質や抗ウイルス薬を服薬したり、抗真菌薬などの点眼や眼軟膏を使用したりします。
治療初日は一日4回点眼し、症状の改善具合に合わせて徐々に次の点眼まで空ける時間を長くします。
<ぶどう膜炎>
眼球の中で炎症を起こす病気で、別名「内眼炎」とも呼ばれています。
失明に至ることもあるため、放置は危険です。
症状には、飛蚊症や眼痛、まぶしさ、視界のかすみといったものが挙げられます。
両眼に症状が見られることもある病気ですが、ヘルペスの場合は片目が多いです。
治療は基本的に点眼薬による方法で行われます。
炎症が強かったり、症状の改善が見られなかったりする場合は、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤の点滴注射による治療に切り替えます。
耳鼻科系疾患
耳鼻科系疾患には、耳帯状疱疹が当てはまります。
聴覚や顔面の神経で発症するタイプです。
発症すると、⽿鳴や回転性めまい、顔⾯神経⿇痺、外耳道の水疱や痛みが見られます。
また、まれに脳の神経に影響を及ぼすこともあるため、体調の変化に注意しながら様子を見ることが大切です。
治療方法には、痛み止めの服用、抗炎症作用の薬や抗ウイルス薬の使用、顔面麻痺に行う手術があります。
帯状疱疹とヘルペスの違いは大きく4つ
帯状疱疹とヘルペスは、どちらも水疱が見られるため混同されやすい疾患です。
帯状疱疹とヘルペスとの大きな違いは以下の4つがあります。
- ●症状が現れる場所
- ●感染経路
- ●原因
- ●経過
では、特徴の違いを一つずつ解説していきます。
症状が現れる場所の違い
ヘルペスの症状は、唇の周りや陰部、歯肉などに現れます。
神経に沿った症状の現れ方はしません。
見た目で分かる大きな違いですので、どちらなのか判断しやすいでしょう。
ヘルペスと帯状疱疹は、後遺症の残りやすさも異なります。
ヘルペスは、適切な治療を受ければ後遺症の発生は基本的になく、予後は良好です。
帯状疱疹は、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる後遺症が残る可能性があり、数カ月から数年痛み続ける場合があります。
帯状疱疹後神経痛は薬物治療や神経ブロック注射、レーザー治療などで治療できます。
感染経路の違い
ヘルペスは、感染者の唾液や体液、ヘルペスを起こした皮膚との接触で感染します。
一方で帯状疱疹は、もともと水ぼうそうにかかったことがある方が免疫低下などで発症するものですので、基本的に感染経路はありません。
原因の違い
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスに感染することで引き起こされるものです。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスにより発症するものですので、ウイルスがまったく異なります。
なお、再発のメカニズムは同じで、免疫低下や疾患により潜伏しているウイルスが活発化して症状が再発します。
経過の違い
発症する前にピリピリとした痛みを感じる点はどちらも同じですが、発症するタイミングや水疱ができてからの経過に違いがあります。
ヘルペスの場合、兆候が見られてから半日程度で発症するため、帯状疱疹よりも早いです。
また、帯状疱疹は水疱がつぶれた後ただれますが、ヘルペスはただれることなく1~2週間ほどで乾燥し、かさぶたができてはがれる経過をたどります。
帯状疱疹と新型コロナ
帯状疱疹と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の間には、いくつかの関連性が指摘されています。
発症リスクの増加
新型コロナウイルスに感染した後、帯状疱疹を発症するケースが増加していることが報告されています。
これは、新型コロナウイルス感染によって免疫機能が低下し、体内に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化するためと考えられます。
免疫機能への影響
新型コロナウイルス感染拡大によって引き起こされたパンデミックによる精神的ストレスや生活環境の変化が、免疫機能の低下を引き起こしている可能性があります。
コロナ渦で急激に帯状疱疹患者数が増加した一因と考えられます。
重症度との相関
皮疹の程度は新型コロナウイルス感染の全身症状の重症度とある程度相関があるとされています。
重症例ほど免疫機能が低下し、帯状疱疹を含む皮膚症状のリスクが高まる可能性があるためと考えられます。
新型コロナウイルスワクチン接種後にも帯状疱疹発症のリスクが高まる可能性があるといわれていますが、こちらについても更なる調査が進められています。
検査方法と検査ができる時期/潜伏期間
帯状疱疹は、問診と皮膚の症状をみて診断することが多いです。
問診では水疱瘡にかかったことがあるか、ストレスや過労、病気などで免疫力が低下していないか、痛みの性状や部位などを詳しく聞きます。
皮膚の症状は、帯状に赤い皮疹や水疱があるかどうかチェックします。
検査には、細胞診と血液検査があります。
細胞診では、水疱内容などをスライドガラスに塗って特別な染色をすることで原因のウイルスを特定します。
血液検査は日をあけて2回することで診断に役立ちます。
皮疹が出現して4、 5日目頃にウイルスに対する抗体が多くなっていれば、帯状疱疹と診断できます。
そのためあまりに早く血液検査をしても診断できないことに注意してください。
水痘・帯状疱疹ウイルスは神経を通って最終的に神経節に潜みます。
ときには数十年もの長い間潜伏し、ストレスや過労などの免疫が下がった時にウイルスが再活性化して帯状疱疹が発症します。
潜伏しているあいだは、一般的に検査をしても帯状疱疹を発症するかどうかは分かりません。
早期発見のポイント
帯状疱疹の初期症状に気づくことで、病気の進行を抑制し、より効果的な治療が可能になります。
《 初期症状 》
・特定の部位に原因不明の痛みやかゆみが現れる
・皮膚が敏感になる(チクチクする、麻痺した感覚など)
・原因不明の痛みのあった部位に赤い発疹が現れる
(発疹が出る前に発熱や頭痛、倦怠感などの全身症状がある場合もあります。)
これらの症状に気づいたら早めに医療機関を受診し、抗ウイルス薬の服用を開始することが重要です。
セルフチェック
□ 水痘(みずぼうそう)にかかったことがある
□ 50歳以上
□ ストレスレベルが高い
□ 不健康な生活習慣(不規則な生活、栄養バランスの悪い食事、運動不足など)がある
□ 免疫が低下する持病がある
□ ステロイド薬や免疫抑制剤を使用している
□ 水痘ワクチンを接種していない
該当する項目が多いほど、帯状疱疹の発症リスクが高くなるため、注意が必要です。予防策として、帯状疱疹ワクチンの接種を検討しましょう。
予約でスムーズ!
待ち時間が少なく接種可能!
帯状疱疹の治療は?
治療方法は以下のようにさまざまなものがあります。
- ●抗ウイルス薬
- ●漢方薬
- ●鎮痛剤
- ●ビタミン剤
- ●外用剤
- ●注射
- ●赤外線療法
では、一つずつ解説していきます。
抗ウイルス薬
抗ウイルス薬は、水痘・帯状疱疹ウイルスの活性化を抑制するために用いられます。
軽度・中等度の場合は内服薬で治療し、重度の場合や免疫低下が見られる場合は入院と点滴治療になります。
早く使用するほど効果が高まるため、72時間以内の服用が望ましいです。
漢方薬
漢方薬は、発疹や痛みの緩和に用いられます。
同じ効能がある漢方薬であっても、体質や証によって使い分けられるため、個人の判断での購入はおすすめできません。
時に重篤な副作用を起こし得るほか、妊娠中や持病などによっては飲んではいけない生薬が含まれていることがあるため、医師に処方されたものを使用しましょう。
鎮痛剤・注射
強い痛みを感じるため、鎮痛剤が使用されるケースがあります。
発疹が治るわけではないため根本的な治療ではなく、あくまで痛みを抑制するものとなります。
眠ったりリラックスできたりすることができないほど痛みが強い場合は、注射による神経ブロックで対応します。
ビタミン剤
ビタミンには健やかな神経を保つ作用のあるものがあります。
そのため、ダメージを受けた神経を回復させるためにビタミン剤が処方されることがあります。
外用剤
外用剤は人への感染を予防したり、皮膚症状を改善させたりするために使用します。
他人に塗布してもらう際は、感染予防のため、患部に手を介して別のウイルスや菌が付着しないようにするため、手袋や綿棒などで塗布してもらいましょう。
赤外線療法
赤外線療法は、鎮痛作用がある治療法です。
温熱効果をもたらすことで乱れた自律神経を整えたり、痛みを感じる部分の筋肉がほぐされたりして痛みが緩和されます。
なお、保険適用も可能です。
帯状疱疹の予防方法は?
帯状疱疹を発症しやすい50歳以上の方は、帯状疱疹専用のワクチンを打つことで予防できます。
日常生活においては、免疫力を維持することが大切です。
疲れないように十分に休んで身体を労わるとともに、規則正しい生活を送るのが重要です。運動不足や食べ物の好き嫌い、睡眠不足は免疫力を下げてしまうので注意してください。日光を浴び、少し息が上がる程度の適度な運動もおすすめです。
帯状疱疹ワクチンについて
帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症を予防するための重要な手段です。
50歳以上の成人に推奨されており、免疫力の低下による帯状疱疹のリスクを軽減します。
日本では、シングリックス(不活化ワクチン)と弱毒生水痘ワクチン(生ワクチン)の2種類があります。
シングリックスは2回接種が必要ですが、高い予防効果があり、接種後も持続性が高く、長期間にわたって帯状疱疹の予防が期待できます。
副作用として、注射部位の痛みや腫れ、発熱などがありますが、重篤な副作用は稀です。ワクチン接種により、帯状疱疹の発症率やその後の神経痛のリスクを大幅に減少させることができます。
予約でスムーズ!
待ち時間が少なく接種可能!
帯状疱疹ワクチンの定期接種化について
現在、帯状疱疹のワクチンは任意接種ですが、50歳以上の方に接種費用を補助している自治体も増えています。
2024年6月、厚生労働省の専門家委員会で『高齢者を対象とする帯状疱疹のワクチン』について、「科学的に定期接種化が妥当」と判断され、厚生労働省は接種費用を公費で補助する『定期接種』に含める方針を決めました。
これにより、今後は定期接種化に向けて、対象年齢やワクチンの種類などの詳細な議論が進められ、定期接種になれば、費用の一部もしくは全額が公費負担となります。
まとめ
帯状疱疹は、50代以上の方で発症しやすい、小さな赤い発疹と水疱が出る疾患です。
皮疹より先に痛みや感覚異常を感じるのが特徴です。
原因としては、水疱瘡と同じウイルスが身体の中で潜伏しており、ストレスや過労、病気などの免疫力が低下することで再活性化することがあげられます。
検査は細胞検査や血液検査がありますが、問診と診察で診察されることが多いです。
抗ウイルス薬と鎮痛薬で治療しますが、特に高齢者の方には、帯状疱疹後神経痛という後遺症が残りやすく、別の治療薬を内服して対応します。
50歳以上の方はワクチンを打つことで帯状疱疹の発症を予防できますし、免疫力を下げないような生活を送るのが大切です。
合併症や後遺症をできるだけ起こさないためにも、帯状疱疹を疑ったら早めに受診するのがおすすめです。
帯状疱疹ワクチンについて詳しくはこちら
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師