水痘の診断や治療方法はどういうもの?合併症についてもご紹介

  • クリニックブログ
2024/09/19

水痘の診断や治療方法はどういうもの?合併症についてもご紹介

 

 

病気の深刻化を防ぐために、幼い頃からさまざまなワクチンを接種することが推奨されています。
水痘もそのうちのひとつです。
軽く見られることもある水痘ですが、重症化すると最悪死亡してしまうケースもあります。
 
今回は、水痘と水痘による合併症についてご紹介します。
妊娠時に水痘にかかってしまった場合や診断と治療法についても解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

 
 

水痘について

それではまず、水痘とは何かということについて解説いたします。

水痘帯状疱疹ウイルスによる病気

水痘は水疱瘡(みずぼうそう)という名でも呼ばれており、水痘帯状疱疹ウィルスで引き起こされる病気です。
多くは9歳以下の小児に発症する病気とされていますが、まれに成人した後に発病することがあり、予防接種を受けていない場合は重症化するおそれがあります。
 
予防接種や医療技術が進んだ現在でも、日本では年間およそ100万人が発病しており、そのうち4000人ほどが重症化のため入院、20人ほどが亡くなっているのです。

 
 

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空気感染などで発症する

水痘帯状疱疹ウィルスは、感染者と同じ空間にいたことで空気を媒介したり、くしゃみなどによる飛沫や感染した方との触れ合いによる接触だったり、さまざまな経路で感染します。
ウィルスは麻疹ほど強いとはされていませんが、おたふく風邪や風疹以上の強さを持つため、家庭内で発症するとほぼ全員が罹患するおそれがあります。
水痘の特徴である発疹がなくなるまでは感染性があるとされているなど、危険性の高いウィルスといえるでしょう。
 

発熱と赤い斑点のような症状がでる

水痘の症状は、赤い虫刺されのような発疹が体のあらゆる場所に出て、およそ24時間後に水や膿を含んだ水疱となって強いかゆみが伴うというものです。
その際高熱が出ることもありますが、通常はおよそ2〜3日後におさまる上に、中には熱は出ずに発疹のみが出るといったケースもあります。
ただし、発疹は水疱がかさぶた化して治るまで7日間ほどかかります。
 

妊婦さんが水痘にかかると赤ちゃんにリスクがある

妊婦が水痘にかかってしまうと、重篤な合併症を併発してしまうおそれがあり、最悪の場合、死に至ることもあります。
 
また妊婦が無事でも、お腹の中の赤ちゃんにウィルスが感染するかもしれません。
その場合、四肢が歪な奇形に変わってしまったり、網膜に炎症を起こしたりといった先天性水痘症候群を持って生まれてきてしまうおそれがあります。
 

帯状疱疹との違い

水痘と帯状疱疹は同じウィルスによる病気ですが、その違いは過去に水痘を発病しているかどうかです。
水痘帯状疱疹ウィルスは水痘が完治しても体内から完全に消え去ることはなく、神経細胞などに潜んでいます。
 
そのため体調不良に陥った際には、水痘帯状疱疹ウィルスが体内で復活し、発熱やひどい神経痛などを引き起こすのです。
帯状疱疹は50代以上の方の発症率が高くなっているため、重症化や後遺症の抑止として50歳以上で水痘ワクチンや帯状疱疹ワクチンを受けることができます。

 
 

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水痘の診断と治療方法

ここでは、水痘はどのように診断され、治療されるかについて解説します。

水痘の診断方法

水痘は主に、医師が患者の症状や経過を見て診断します。
検査が必要になる場面は多くありませんが、成人後に発病した際に確定診断として唾液または水疱ぬぐい液を使用したPCR検査、血液検査を行うことがあります。
 
血液検査ではペア血清と呼ばれる検査が行われていますが、これは症状が出た初期の血液と症状が落ち着いた頃の血液を比べて、抗体の結果を調査するという検査方法です。
 

水痘の治療方法とは

小児で水痘と診断された場合は、ほとんどが対処療法です。
12歳以上の場合は抗ウイルス薬のバラシクロビルなどを処方されることもありますが、重症化の可能性や副作用などを鑑みて自然治癒に任せることもあります。
 
ただし、妊婦が発病した際は、合併症を避けるために抗ウィルス薬を注射や点滴で投与して症状が重篤な状態にならないようにします。

 
 

水痘の合併症について

水痘は重篤な状態になると、さまざまな合併症を引き起こしてしまうおそれがあります。
ここでは、水痘と合併することがある合併症について解説します。

毎年4000人が重症化する

水痘では、毎年4000人ほどの方が入院し、20人ほどの方が死亡していると推定されています。
重症化する年齢は1歳頃と7〜10歳の小学校低学年頃であるとされており、特に皮膚に疾患を持つ方は重症化しやすい傾向があるようです。
 
完治しても生涯に渡って体内に潜伏しているため、帯状疱疹として再びウィルスが発症してしまうと神経痛などの後遺症が残りやすく、長期の治療が必要となる大変厄介なウィルスであるといえるでしょう。
 

さまざまな合併症が起こる

水痘が重症化すると脳炎や肺炎、敗血症などの重篤な症状のほか、膿痂疹といった皮膚に細菌が入り込むことで起こる疾患などさまざまな症状を引き起こすおそれがあります。
特にウィルスが脳に侵入して炎症を起こす脳炎は、成人後に発病した方の中でも1000人に1〜2人の割合で起こる、大変危険性の高い症状です。
他にも多くの疾患が水痘の合併症として報告されているため、水痘と侮らずにしっかりと治療を受けるようにしましょう。
 

水痘ワクチンで予防できる

 

 
水痘にかからないためには、ワクチンによる予防接種が有効です。
ワクチンを1回受けるだけで重症化することはほぼなくなり、2回受けることで軽い症状のものも予防することができます。
ワクチンは1歳頃から3歳まで定期的に受けることが推奨されていますが、なかには他のワクチンと勘違いして予防接種を受けていないという方もいます。
一度母子手帳などでワクチン履歴を調べ、自分が受けたワクチンについて把握しておくことが大事です。

 
 

まとめ

今回は、水痘について解説いたしました。
水痘は毎年約4000人が重症化し、後に帯状疱疹として再発するおそれがあります。
 
水痘にかかったことがない方も、成人してから発症してしまうと重症化する可能性があるため、予防としてワクチンを接種することが大切です。
 
特に妊娠時はワクチン接種ができないため、妊娠前に受けておきましょう。
また妊婦だけでなく、お父さんや周囲の方々もワクチンを接種する必要があります。

 
 
 

MYメディカルクリニック渋谷 笹倉 渉医師

監修:MYメディカルクリニック渋谷 非常勤医

笹倉 渉 Dr. Sasakura Wataru

資格

略歴

  • 藤田保健衛生大学医学部 卒業
  • 公立昭和病院
  • 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
  • 北部地区医師会病院麻酔科 科長
  • 2016年 MYメディカルクリニック 医師
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