CPAP療法
CPAPとは
CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)とは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療の中心となる治療法です。比較的重症の場合にも有効とされています。安全性が高く世界中で最も普及している治療法です。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり浅い呼吸になることで、良質な睡眠を取ることができなくなったり、体内の酸素が不足してしまう疾患です。特に10秒ほど息が止まった後に大きな〝いびき〟をかき始めたら、睡眠時無呼吸症候群の可能性がかなり高いといわれています。原因は肥満・扁桃肥大・アルコールの日常的な摂取などがあげられます。
また、高血圧、心臓病、糖尿病、脳卒中、うつ病など多くの合併症があり、放置すると様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
CPAP治療を継続することで、睡眠時無呼吸症候群に関係する疾患の改善や、不眠が解消されることで生活習慣の改善につながり、肥満が解消されるといったこともみられます。
CPAP治療のしくみ
睡眠時にCPAP装置を使用します。専用のマスクを装着して鼻から気道に空気を送り込み、圧力をかけ、気道を開いて呼吸を安定させ、睡眠時の無呼吸・低呼吸や〝いびき〟を軽減させる方法です。CPAPの治療効果
1. 睡眠の質の向上
CPAP装置を使用することで、夜間の気道閉塞を防ぎ、連続した呼吸を確保します。これにより、睡眠の質が劇的に改善され、深い睡眠段階(ノンレム睡眠)の時間が増加します。質の良い睡眠は、日中の活力や集中力を向上させます。2. 日中の眠気の軽減
睡眠時無呼吸症候群の患者は、夜間の断続的な呼吸停止により十分な休息が取れず、日中に強い眠気を感じることが多いです。CPAP治療により、夜間の呼吸が安定するため、日中の眠気が軽減し活動的な生活を送ることができます。3. 心血管疾患のリスク低減
睡眠時無呼吸症候群は高血圧、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患のリスクを高めることが知られています。CPAP治療により、夜間の低酸素状態が改善されることで、これらのリスクが低減します。特に、高血圧の改善は顕著です。4. 糖尿病の管理
睡眠時無呼吸症候群はインスリン抵抗性と強く関連しており、糖尿病のリスクを高めます。CPAP治療により、インスリン感受性が改善され、血糖値コントロールが改善されます。5. 精神的健康の向上
CPAP治療により、うつ病や不安症状が軽減されることがあります。質の良い睡眠は、精神的な健康にも大きな影響を与え、全体的な生活の質を向上させます。6. パートナーの睡眠改善
CPAP治療により、いびきが軽減されるため、同居するパートナーの睡眠の質も向上します。これにより家庭内のストレスが減少し、より良好な関係を築くことができます。7. 全体的な生活の質の向上
CPAP治療は、これらの効果を通じて、患者の全体的な生活の質を大幅に向上させます。日常生活でのパフォーマンスが向上し、趣味や活動をより楽しむことができるようになります。CPAP治療の流れ
CPAP治療の開始方法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の典型的な症状である、いびき、日中の過度の眠気、集中力の低下などがある場合、まずは内科、呼吸器内科または耳鼻咽喉科で医師の診察を受けます。問診や睡眠検査などを受けて、医師の判断によりCPAP治療が開始されます。
一般的に、睡眠検査は医療機関に1泊入院して行う夜間ポリソムノグラフィー(PSG)がありますが、当院では睡眠中に鼻にセンサーを装着し、呼吸の停止や低下を記録する携帯式装置を使用する簡易検査と、精密検査を自宅で行うことができます。
CPAP治療の継続と定期的な診察
CPAP治療は、適切な診断と一貫したCPAP装置の使用が重要です。医師や専門の技師のサポートを受けながら、快適に治療を続けていくことが大切です。当院では、専用の通信回線を用いてCPAPの使用状況を確認できるクラウド型CPAP管理システムを導入しているため、診察時にデータを持参し忘れるなどの心配がありません。
また、当クリニックが導入しているオンライン診療を利用することで、受診しなくても遠隔診療でCPAPの使用状況の確認と診察が可能です。なお、当院にてCPAP治療開始後、CPAPによる安定した治療が毎月の受診で連続3ヶ月に渡って確認できた場合、その後は最長3ヶ月毎の受診が可能になります。
CPAP治療の適応疾患と効果的な使い方
CPAP治療の対象となる疾患
簡易検査での無呼吸低呼吸指数(AHI)が40以上の場合、「重症の睡眠時無呼吸症候群」と診断され、保険適応となります。 AHIが20以上40未満の場合は精密検査が必要です。CPAPの装置選びと使い方のコツ
CPAP装置の選び方は、個々のニーズや健康状態に応じて慎重に検討することが重要です。医師の指導のもと、自分に最適な装置を選ぶことで、快適で効果的な治療が期待できます。CPAP装置の圧力設定は、医師の指示に従って行います。 装置の設定が適切かどうか、定期的に確認します。異常を感じた場合は、医師や技師に相談して調整を行ってもらいます。
CPAP装置の加湿機能を活用し、適切な湿度に設定します。これにより、喉や鼻の乾燥を防ぎ、快適に使用することができます。湿度が高すぎると結露が発生することがあるので、適度に調整しましょう。
CPAP治療の効果を最大限に引き出すために
CPAP治療の効果を最大限に引き出すためには、以下のポイントに注意することが重要です。・毎晩継続して使用すること。
・正しく装着すること。
・マスクや装置のメンテナンスを怠らないこと。
・定期的に医師の診察を受け、治療効果の確認を行うこと。
これらの取り組みを続けることで、CPAP治療は長期的に有効な治療法となり、健康状態の改善につながります。
CPAP治療のメリットとデメリット
CPAP治療の効果と睡眠への影響
CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群の患者にとって多くの健康上のメリットがあります。睡眠中の呼吸が安定することで、睡眠の質が向上し、日中の眠気が軽減されるだけでなく、心血管疾患のリスクが低減し、全体的な生活の質が向上します。治療を続けることで、長期的な健康改善が期待でき、快適な生活を送ることができます。
CPAP治療のリスクと問題点
- 1.マスク装着の不快感 マスクを装着すること自体が不快に感じる場合があります。特に最初のうちは、圧迫感や装着によるストレスを感じることがあります。
- 2.皮膚のトラブル マスクの接触部分が肌に刺激を与え、赤みや炎症を引き起こすことがあります。適切なフィッティングと定期的な清掃が必要です。
- 3.定期的な危機のメンテナンスが必要 ・マスクとチューブ、加湿器の清掃:機器の種類により、マスクとチューブ、加湿器 を、決まった間隔・方法で洗い、しっかり乾燥させます。これにより、バクテリアやカビの繁殖を防ぎます。
CPAP装置に慣れるまでに時間がかかることがあり、最初の数日間は装着して眠ることが困難な場合があります。
マスクのストラップがきつすぎると、圧力痕や潰瘍が生じることがあります。マスクの調整や異なるタイプのマスクを試すことが必要です。
・フィルターの交換:フィルターは定期的に交換し、装置が常に最適なパフォーマンスを発揮できるようにします。
そのほかにも、うつ伏せで寝ることが難しくなり、寝姿勢が制限されることがあります。空気漏れが発生すると、騒音が生じ、睡眠の妨げになることもあります。
CPAP治療の装着時の注意点と調整方法
マスクがしっかりとフィットしていることを確認してください。空気漏れがないかをチェックし、必要に応じてストラップを調整します。フィットが不十分だと治療効果が低下してしまいます。横になった状態でマスクの位置を再確認し、寝返りを打ってもずれないかを確認します。特に横向きで寝る場合は、マスクの位置がずれやすいので注意が必要です。
鼻や喉の乾燥を防ぐために、CPAP装置に加湿器が付いている場合は使用します。湿度設定を適切に調整し、快適な湿度に保ってください。
CPAP装置の圧力設定は自己判断で変更せず、設定に疑問がある場合は必ず医師に相談しましょう。
CPAP治療の費用と保険
CPAP治療と健康保険について
CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群に対する保険適応があり、少ない自己負担で健康保険を使って治療をすることができます。なお、CPAPの保険適応の条件の一つとして「原則月1回の受診」が必要です。
また、当クリニックが導入しているオンライン診療を利用することで、受診しなくても遠隔診療でCPAPの使用状況の確認と診察が可能です。なお、当院にてCPAP治療開始後、CPAPによる安定した治療が毎月の受診で連続3ヶ月に渡って確認できた場合、その後は最長3ヶ月毎の受診が可能になります。
CPAP治療の自費購入について
CPAP療法は当院から装置を患者様に貸し出す形で行うため、装置を購入していただく必要はありません。CPAP治療中の注意点
- ・CPAP装置は毎晩使用することが重要です。一貫した使用により、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状を効果的に管理できます。
- ・CPAP装置は定期的にメンテナンスを行い清潔な状態での使用を徹底してください。
- ・定期的に医師の診察を受け、治療の効果を確認し、必要に応じて設定の調整を行います。使用中に不快感や異常があれば、速やかに医師に相談してください。
CPAP治療と他の睡眠障害治療法の比較
CPAP治療と他の睡眠障害治療法
- ・手術…気道を拡張する手術を行うことがあります。
- ・口腔内装置の使用…口腔内装置を使用して、気道を開き、呼吸を改善することができます。
- ・マウスピースの作成…無呼吸が軽度の場合にはマウスピースの作成による治療を行うことがあります。 当院では、提携の歯科・口腔外科にご紹介いたします。
- ・減量療法…睡眠時無呼吸症候群の原因が主に肥満である場合、減量することで改善がみられることがあります。体重の10%減量によって、AHIは26%減少することが推測されています。
CPAP治療と手術治療の比較と適応症
CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群の治療の中でも安全性が高く、全世界で最も普及している治療法です。装置の継続的な使用が必要となります。手術治療は、気道の構造的な問題を解消するために、手術を行う方法です。
鼻腔、口蓋、咽頭、舌などの解剖学的異常が原因で気道が閉塞していることが明らかな場合の治療方法です。
一度の手術で済む場合が多いというメリットがあります。
しかし、手術にはリスクが伴い、手術後の回復期間が必要で、痛みや不快感を伴うことがあるというデメリットがあります。
CPAP治療のトラブルシューティングとQ&A
CPAP治療中の装置トラブルと対処法
空気漏れのチェック:空気漏れがある場合、マスクのフィットを再確認し、ストラップを調整します。必要であれば、別のタイプのマスクを試してみるなど、医師等に相談してください。乾燥や鼻詰まり:加湿器を使用している場合、湿度設定を調整します。鼻詰まりがひどい場合は、鼻スプレーや加湿器を追加で使用することも検討してください。
CPAP治療に関するよくあるご質問(FAQ)と回答
Q1. CPAP装置を使うと〝いびき〟は止まりますか?A1. はい、CPAP装置を正しく使用すれば、いびきをほぼ完全に止めることができます。CPAP装置は気道を開いた状態に保つため、気道の狭窄や閉塞がなくなり、いびきが軽減または消失します。
Q2. CPAP装置を使い始めてからどれくらいで効果を実感できますか?
A2. 効果の実感は個人差がありますが、多くの人は数日から数週間で改善を感じ始めます。睡眠の質の向上や日中の眠気の軽減は、早ければ数日で実感できる場合があります。
Q3. CPAP治療はどのくらい続ける必要がありますか?
A3. 多くのケースで、CPAP治療は長期間続ける必要があります。治療を中止すると、睡眠時無呼吸症候群の症状が再発する可能性があります。ただし、体重減少や他の治療法(例えば手術)によって症状が改善された場合、CPAP治療が不要になることもあります。定期的に医師の診察を受け、最適な治療計画を維持しましょう。
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