全身感染症「腸チフス」もし罹患してしまったら完治する?腸チフスについて徹底解析
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全身感染症「腸チフス」もし罹患してしまったら完治する?腸チフスについて徹底解析
「腸チフスってどんな病気なの?」「腸チフスの原因や治療法は?」「感染してしまったら完治するのだろうか…?」このような疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか?
本記事では、腸チフスとは一体どんな病気なのか、経過の説明と治療法、予防法についても解説していきます。
腸チフス・パラチフスとは?
腸チフスとパラチフスは、ほとんど同じ症状を示すため、セットで認識している方も多いのではないでしょうか。
ここでは、腸チフスとパラチフスについて解説していきます。
病態と感染経路
サルモネラによって起こる感染症のうち、チフス菌(Salmonella enterica subsp. entericaserovar Typhi)とパラチフスA菌(Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi A)によるものをそれぞれ、腸チフス、パラチフスと呼んでいます。
腸チフスとパラチフスの主な違いは「病原菌」です。
細菌を含んだ食べ物や水、手指を介して口から感染する全身性感染症で、一般のサルモネラ感染症とは区別されます。
人にしか感染しないため、衛生状態がよくなることで発生数は減少すると言われています。
腸チフスとパラチフスの臨床症状や重症度はほとんど同じです。腸チフスは、南アジアへの旅行者でのリスクが最も高く、他の目的地への旅行者全てでのリスクの6〜30倍といわれています。
腸チフスの感染が最も深刻なのは南アジア地域というわけです。
その先進国を除くほとんどの国や地域においても中等度の感染リスクがあります。
東および東南アジア、アフリカ、カリブ海諸島、中南米などがあります。
パラチフスのリスクも、南および東南アジアへの旅行者の中でしだいに高くなっています。
また腸チフス、パラチフス共に三類感染症に指定された感染症であり、患者を診断した医師は法第12条第1項の規定による届け出が義務付けられています。
腸チフスの原因と症状
腸チフスの原因や症状の経過について見ていきましょう。
腸チフスになってしまう原因
腸チフスは、細菌を含んだ食べ物や水を介して広がります。
一旦、腸チフス菌が食べ物や飲み物を介して摂取されるとすぐに、細菌は増殖して血流中に広がります。
また、性行為でも感染することがあります。
日本国内でも昭和初期から戦後にかけて代表的な感染症の一つでありましたが、環境が整備され衛生面の進展に伴って患者数が減少しています。
腸チフスの症状とは?4病期について説明
通常、7〜14日(報告によっては3〜60日)の潜伏期間を経て発症します。
- ● 第1病期
体温が段階的に上昇。数日で39〜40℃に達し、腸チフスの3主徴とされる比較的徐脈、バラ疹、脾腫が出現します。 - ● 第2病期
40℃台の稽留熱(けいりゅうねつ)となり、チフス性顔貌と呼ばれる無欲状顔貌がみられ、下痢または便秘を起こしたり、重症時には意識障害、難聴などが見られることもあります。 - ● 第3病期
弛張熱を経て、徐々に解熱していきます。
この時期に腸出血とそれに続く腸穿孔といった合併症を起こすこともありますが、ニューキノロン系抗菌薬が治療に使用されるようになってからは稀となりました。 - ● 第4病期
解熱し回復に向かいます。
また病初期に下痢が見られないことが、特徴の一つとされていましたが、最近では半数程度に見られるとされています。
重症になると合併症を引き起こし、死に至る可能性もあります。
腸チフスとパラチフスの症状はほとんど同じですが、パラチフスは腸チフスに比べて症状は軽い傾向にあります。
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腸チフスの診断・治療法
腸チフスはどのように診断されるのか?
衛生水準の高くない開発途上国(南アジア、東南アジア)での罹患率が高いため、危険性のある海外渡航歴を調べます。
そして血液や便、尿、胆汁などの培養によるチフス菌、パラチフス菌の細菌検査をおこないます。
感染していた場合はどうするのか
腸チフスは、感染症法では三類感染症に定められており、診断した医師は直ちに最寄の保健所に届け出ることが義務付けられています。
治療法は?完治するの?
腸チフスに対する治療は長期間による抗生物質の投与または内服ですが、近年は薬剤耐性菌が増加しています。
医師に相談して、検査結果や感染地域情報を参考にして治療方法を決定します。
正しい治療を行わなれけば、長期に渡り保菌者となる可能性があり、腸チフスは周囲に移す危険もあるので完治するまで正しい治療を行うことが重要です。
腸チフスの予防策
予防と日常生活の注意点
日常生活のなかで、腸チフスを予防するための注意点は下記の通りです。
- ● 手洗いの徹底(特にお手洗いの後、調理や食事の前)
- ● 流行している地域では、生水、氷、生野菜、カットフルーツなどの食品を喫食しない
- ● 水道水、氷は飲まない
- ● 飲料水は開封されていないペットボトル飲料もしくは煮沸した水等の飲用
- ● 野菜、魚類などは十分に加熱されたものを摂取すること
- ● 屋台など衛生状態が悪い場所での飲食はなるべく避ける
ワクチンの安全性と副作用
予防接種により腸チフスの拡散を制御することができると提唱しており、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では、感染リスクの高い方、例として腸チフスが一般的に発症する地域に旅行する方に、ワクチン投与を勧めています。
MYメディカルクリニックでは、腸チフスワクチンを取り扱っているため接種することができます。
ワクチンのご予約については、下記URLよりお申込みをお願いいたします。
▼ワクチン仮申込フォーム
https://mymc.jp/contact/vaccine/
24時間以内(土日・祝日を除く)に、当院からお電話もしくはメールにてご返信の連絡をいたします。そちらにてご予約の確定になります。
◎料金
腸チフスワクチン(税込11,000円)
◎診療時間
午前 9:00~13:00 (受付時間 9:00~12:30)
午後 13:30~17:00(受付時間 13:30~16:30)
夜間 18:00~21:00(受付時間 18:00~20:15)
ワクチン仮申込フォームはこちら
まとめ
腸チフスがどのような感染症なのか、症状や予防法などについて解説いたしました。
腸チフスはサルモネラによって起こる全身感染症です。
感染した人の便や尿に汚染された水、氷、食べ物によって移り、1週間以上持続する高熱が症状に現れます。
早期発見、早期治療により完治が期待できる病気です。
そして予防のための基本的な「手洗い」や「予防接種」なども積極的に行っていく必要があると思われます。
もし罹患してしまったとしても腸チフスに関する理解を持っていれば落ち着いて行動することができるでしょう。
略歴
- 藤田保健衛生大学医学部 卒業
- 公立昭和病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院麻酔科 助教
- 北部地区医師会病院麻酔科 科長
- 2016年 MYメディカルクリニック 医師