視診触診・目・骨・胸・消化器

医師診察(理学所見)

医師の観察の所見です。

頭頸部・胸部(腹部) 視診・触診によって、頸部のリンパ節や甲状腺の腫れがないかを調べたり、聴診器を胸部に当て呼吸音や心音などに異常がないか調べます。

心電図

心電図

心臓の収縮・拡張のときに起きる微弱な電流の変化を波形のグラフで記録し、心臓の動きを検査します。
心臓の筋肉の異常、不整脈などを調べます。健康な方でも性別、年齢、体格によって所見が付くことがありますが、自覚症状(めまい、動悸、胸痛)がある場合は、精査をします。
(専門医を受診された方は、専門医の指示に従ってください。)

主な所見·診断

洞性徐脈
洞性頻脈
心拍数が100回/分以上のものを洞性頻脈、50回/分以下を洞性徐脈といいます。体質による頻脈や徐脈の場合は、経過観察で十分です。頻脈では貧血、心不全、甲状腺機能亢進症など、徐脈では甲状腺機能低下症や薬剤の副作用が疑われるときもあります。動悸や倦怠感などの自覚症状があるときは治療が必要になる場合もあります。
房室接合部調律 心臓は本来、洞結節というところで電気を発生させ収縮していますが、ときに洞結節以外で電気を発生する方がいます。問題はなく、治療の必要もありません。
上室性期外収縮
心室性期外収縮
洞結節とは異なる場所で電気を生じることによる不整脈です。上室性期外収縮と心室性期外収縮があり、どちらの期外収縮も正常な方でも生じることがあります。期外収縮の頻度が低い場合は、経過観察されることがほとんどです。頻発している場合や自覚症状(動悸,胸部圧迫感など)の程度が強い場合には精密検査や治療が必要です。
(不)完全右脚ブロック
(不)完全左脚ブロック
心臓の中で刺激が正常に伝わらないために起こる不整脈の一種です。右脚ブロックは基礎疾患のない若年者でよくみられ、特に治療の必要はありませんが、中には経過観察が必要な方もいます。左脚ブロックは心筋障害などを伴っている場合があり、初めて指摘されたときには循環器内科で精密検査が必要です。
T波平低
T波陰性
ST降下
R波減高
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や心臓に負担がある場合などの際、心電図波形は特異的に変化します。波形の変化は軽度から重度まで多彩で、変化の強弱により重症度が分かれます。経過観察されることが多いですが、中には循環器内科で精密検査が心要な場合もあります。
WPW症候群 先天的に、心臓の中での刺激の経路を二つ持つ方がいます。このため正常ではない波形を示したものをWPW症候群といいます。動悸や不整脈など症状を伴うものについては治療が必要な場合があります。症状がないときには定期的な経過観察をします。
房室ブロック 心臓の中で刺激が正常に伝わらないために起こる不整脈の一種です。伝導の遅れや途絶の程度によりⅠ度からⅢ度まで分類されます。

第Ⅰ度房室ブロック 時間はかかりますが、止まらずに伝わるときの所見です。自覚症状もなく、治療の必要もありません。
第Ⅱ度房室ブロック 伝導が伝わったり伝わらなかったりしたときに現れる波形です。失神発作があれば人エペースメーカーの適応になる場合があり、発作の既往がなくても精密検査が必要です。
第Ⅲ度房室ブロック 伝導が完全に途絶え、心房と心室がまったく個別のリズムで動いている状態です。失神発作があれば人工ペースメーカーの適応になる場合があり、発作の既往がなくても精密検査が必要です。
心房細動 心房が無秩序に興奮(電気を発生)し、この刺激が心室に伝わり不規則に収縮·拡張を繰り返す不整脈です。慢性と発作性がありますが、心房細動によってできた血栓(血のかたまり)が、血流に乗り脳動脈を閉塞するなどの合併症を引き起こすことがあります。適切な治療が必要です。

血圧脈波

検査項目 基準値 基準値
(東振協)
この検査でわかること
PWV
(右/左)
(左右とも)
1.00~1.29
心臓から押し出された血液による拍動が動脈を伝わっていく速度で、動脈壁の硬さがわかります。速度が速いほど、動脈硬化が進んでいることを意味します。
ABI
(右/左)
(左右とも)
0~1400
足関節と上腕間の最高血圧の比率で、末梢動脈疾患をスクリーニングするための検査です。高値の場合、血管の壁が硬くなっていることが疑われます。

胸部

胸部X-P(X線)で、肺・気管支の状態や心臓・大動脈などの形に異常がないか、また、脊柱や肋骨に異常がないかを調べます。

主な所見·診断

石灰化巣
陳旧性陰影
肺の組織が以前に肺炎を起こして治った跡(痕跡)です。痕跡の程度により「石灰化巣」「陳旧性陰影」と診断されます。
胸膜肥厚
胸膜癒着
肺の表面を覆っている胸膜が肺炎によリ、膜の厚みが増したリ、ひきつれたリした状態を意味します。
ブラ(肺嚢胞)
透亮像
肺胞が拡張、癒合して袋状になります。嚢胞が大きな場合は破れて胸の中に空気がもれる気胸になることがあります。喫煙と深く関係すると考えられています。
心拡大
心陰影拡大
X線写真上の心胸郭比(胸の横幅に対する心臓の横幅の割合)を調べます。50%を超える状態を心拡大といいます。心臓疾患や肥満が原因となります。
脊椎側弯 脊椎がゆがんでいることを意味します。肩こりや背中の痛みがある場合には、整形外科医の診察を受 けることをお勧めします。

上部消化管

検査項目 基準値 基準値
(東振協)
この検査でわかること
上部消化管/
X線検査
所見なし 所見なし バリウムにより消化器を二重造影し、テレビモニターで観察すると同時にX線撮影をして臓器の形の変化や異常(がん、潰瘍など)を調べます。人間ドックの場合は、食道も調べます。
上部消化管/
内視鏡検査
所見なし 所見なし 先端に小型カメラを内蔵した細い管を口または鼻から挿入し、食道·胃·十二指腸をじかに観察する検査です。異常がみられた箇所の組織を取って悪性度の評価をする場合もあります。

主な所見·診断

ニッシェ
バリウム斑
くぼんだ粘膜にバリウムが水たまりのようになった所見をバリウム斑といいます。ニッシェとは、たまったバリウムが、側面像で胃壁からこぶのように突出している場合をいいます。いずれも潰瘍を示唆し、精密検査が必要となります。
粘膜集中 潰瘍ができて治る過程で粘膜のひきつれが起こり、しぼりのようになった画像が描出されたものを粘膜集中といいます。過去に潰瘍があったことを示唆する所見で、過去に潰瘍の指摘を受けたことがない場合でも精密検査が必要です。
アレアの不整 規則正しく並ぶ胃粘膜組織にバリウムが付着するときれいな網目模様が描出されます。炎症やただれがあるとこの粘膜の網目模様が乱れますが、不揃いが目立つときは精密検査が心要となります。
顆粒状変化 粘膜表面の凸凹が目立ち、粒状に描出された場合をいいます。萎縮性胃炎のとき認められますが、顆粒が大小不同など不揃いが目立った場合は、精密検査が必要です。
ポリープ 粘膜表面から発生する隆起をポリープと呼び、様々な形があります。ポリープは一般的に良性のことをいいますが、悪性の病変でも隆起するものがあります。この場合はポリープとは診断せず、精密検査が必要と判定されます。
粘膜下腫瘍 粘膜の中に埋もれた腫瘍が、なだらかな山のような形をした盛り上がりとして描出されます。多くは筋肉や脂肪でできた良性の腫瘍ですが、まれに悪性の場合があります。大きさや形から悪性を否定できない場合、精密検査が必要です。

※この項目での精密検査必要とは、「良性・悪性の鑑別が必要である」という意味です。

検査項目 基準値 基準値
(東振協)
この検査でわかること
ヘリコバクターピロリ抗体 3.0u/ml未満 3.0未満 ピロリ菌に対する血清抗体を調べます。感染の有無は、抗体価が3未満は陰性、10以上は陽性です。3.0~9.9はグレーゾーンとなり、感染していない可能性が高いですが、尿素呼気試験をお勧め致します。
ペプシノゲン ペプシノゲンⅠ値
70.1ng/mL以上
または
ペプシノゲンⅠ/Ⅱ比が
3.1以上
血清中のペプシノゲン値を測定して、胃粘膜の萎縮の程度を調べます。胃がんに発展する可能性がある萎縮性胃炎の診断に役立ちます。

ABC検査

ヘリコバクターピロリ抗体検査と胃粘膜萎縮マーカーのペプシノゲン検査を組み合わせて、胃がんリスクをABC(ABCD)の3郡(4郡)に分類するのが、こちらの検査です。

ABC分類
(ABCD分類)
ヘリコバクター・ピロリ抗体価検査
(-) (+)
ペプシノゲン検査 (-) A B
(+) D(C) C
A群 おおむね健康的な胃粘膜で、胃の病気になる危険性は低いと考えらえます。逆流性食道炎などピロリ菌に関連しない病気に注意しましょう。未感染の多能性が高いですが、一部にはピロリ菌の感染や感染の既往がある方が含まれます。一度は内視鏡検査などの画像検査を受けることが理想的です。
B群 少し弱った胃粘膜です。胃かいよう・十二指腸かいようなどに注意しましょう。胃がんのリスクもあります。内視鏡検査を受けましょう。ピロリ菌の除菌治療をお勧めします。
C群 萎縮の進んだ弱った胃粘膜と考えられます。胃がんになりやすいタイプと考えられます。定期的な内視鏡検査をお勧めします。ピロリ菌の除菌治療をお勧めします。
D群
(C群)
萎縮が非常に進んだ胃粘膜と考えられます。胃がんなどの病気になるリスクがあります。ピロリ菌感染診断をお勧めします。かならず専門医療機関で内視鏡検査などの診断を受けてご相談ください。
E群 ピロリ菌の除菌治療を受けた方は除菌判定の結果に関わらず、E群(除菌群)として定期的に内視鏡検査を受けましょう。
※除菌により胃がんになるリスクは低くなりますが、決してゼロになるわけではありませんので、除菌後も内視鏡検査委による経過観察が必要です。

腹部超音波

腹部に超音波をあて、肝臓、腎臓、胆嚢、膵臓、脾臓等の病変の有無を調べる検査です。

主な所見·診断

肝臓 肝血管腫 血管から構成される肝臓の代表的な良性腫瘍です。ただし、徐々に大きくなることもあり、経過観察を受けてください。
脂肪肝 肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態です。糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病と密接な関係があり、内臓脂肪型肥満や飲酒が原因であることが多いです。脂肪肝から肝硬変・肝細胞がんへ発展することがあり、脂肪肝がみられる人は生活改善が必要です。
肝腫瘍 肝臓の腫瘍には良性腫瘍から悪性腫瘍まで色々な腫瘍があります。良性か悪性かの鑑別のため、精密検査を受けてください。肝臓の悪性腫瘍には肝臓自体から発生した腫瘍(原発性腫瘍)と他の部位から転移してきた腫瘍(転移性腫瘍)があります。原発性腫瘍では肝臓がんが多くを占め、転移性腫瘍では、消化管、胆道、膵臓、子宮、卵巣等に発生した腫瘍からの転移が多くを占めます。
肝腫瘤 腫瘍の可能性の低い結節像(炎症後の瘢痕など)を肝臓に認めます。精密検査の必要はありませんが、経過観察を受けてください。
肝嚢胞 液体が貯留した袋状の病変です。単発あるいは多発し通常は無症状ですが、嚢胞が大きくなると腹部膨満感、圧迫感等の自覚症状が認められることもあります。
慢性肝障害 肝障害が継続的に起こっている、あるいは起こっていたことが考えられます。慢性肝障害の原因として、飲酒、脂肪肝、B型肝炎、C型肝炎、自己免疫性肝疾患などがあります。原因を明らかにすることと、現在どの程度まで進行しているのかなど精密検査を要します。
腎臓 腎腫瘍 腎臓の腫瘍には良性腫瘍から悪性腫瘍まで色々な腫瘍があります。良性か悪性かの鑑別のため、精密検査を受けてください。悪性腫瘍の代表的なものは腎細胞がんです。
腎腫瘤 腫瘍の可能性の低い結節像を腎臓に認めます。良性か悪性かの鑑別のために精密検査を受けてください。
腎石灰化 腎実質に、カルシウムが沈着した状態です。炎症性など様々な原因で石灰化がみられます。そのほとんどは良性所見であり、放置しても差し支えありません。
腎嚢胞 液体が貯留した袋状の病変です。単発あるいは多発し、加齢とともに発生頻度が増加します。良性病変で放置してもよいのですが、嚢胞が大きく、周辺臓器への圧迫症状や破裂の危険性がある場合や、水腎症をきたす場合(傍腎盂嚢胞)などは治療(外科的手術など)の適応となることがあります。
腎の変形 腎臓は左右に各1個ありますが、左右で大きさが違ったり、左右がつながっている(馬蹄腎)場合などがあります。特に心配はありません。
胆嚢 胆管拡張 肝外胆管(肝臓から十二指腸への胆汁の通り道)が8mm以上(胆嚢摘出後は11mm)に拡張した状態です。胆管結石や腫瘍が疑われる場合には精密検査が必要です。
胆泥 濃縮胆汁や感染に伴う炎症性産生物のことですが、胆嚢がんなどの腫瘍と紛らわしい超音波像を示すため精密検査が必要です。
胆嚢腫瘍 胆嚢には良性の腫瘍(多くの胆嚢ポリープ)だけでなく、胆嚢がんなどの悪性の腫瘍ができることもあります。腹部超音波検査のみでは確定診断ができないことが多いので、早急に精密検査を受けてください。
胆嚢腫瘤 腫瘍の可能性の低い結節像(炎症後の瘢痕など)を胆嚢内に認めます。精密検査の必要はありませんが、経過観察を受けてください。
胆嚢腫大 胆嚢が腫れた状態です。一番多い原因は胆嚢の炎症で、症状がなくても経過観察をお勧めします。胆管結石や腫瘍などにより胆汁の流れが滞ったときにも認められ、この疑いがあれば精密検査が必要です。
胆嚢ポリープ 胆嚢の内側にできる隆起です。人間ドック受診者の10%程度にみられると言われています。10mm未満でかつ良性であることを示す所見が認められる場合は問題ありません。
胆嚢 膵腫瘍 膵臓の腫瘍には良性から悪性まで色々な種類の腫瘍があります。代表的な悪性腫瘍である膵がんは、大きくなると周囲の血管などにも影響が出ますが、ごく初期には悪性の特徴を捉えることが難しいことが多いのです。膵腫瘍が見つかったら早急に精密検査を受けてください。
膵腫瘤 腫瘍の可能性の低い結節像(炎症後の瘢痕など)を脾臓内に認めます。精密検査の必要はありませんが、経過観察を受けてください。
脾臓 脾腫 超音波で脾の最大径が10cm以上の場合を脾腫としています。軽度の脾腫は病気ではありません。原因が感染症(肝炎、マラリア、結核など)、腫瘍(リンパ腫、白血病、骨髄線維症など)、貧血、蓄積症(アミロイドーシス、ヘモシデローシスなど),うっ血肝(肝硬変,バンチ症候群など)、膠原病など多岐にわたるため精密検査が必要な場合があります。
副脾 脾臓の近くに脾臓と同じ組織像をもつ1~2cm大の腫瘤のことを副脾と呼びます。病的意義はなく特に治療の必要性もありません。
腹部腫瘍 胸部に対し、腹部の腫瘍という意味です。正確には、腹腔内腫瘍、後腹膜腫瘍(副腎・尿管・大動脈・下大静脈・交感神経幹などの腫瘍)、骨盤内腫瘍(膀胱・前立腺・直腸・卵巣・子宮などの腫瘍)が含まれます。腫瘍臓器の特定と良・悪性の鑑別診断のため精密検査が必要です。
腹部大動脈瘤 心臓が血液を送り出す最も太い血管が大動脈で、その壁がもろくなり膨らんでこぶのように突出したり、風船のようになった状態を大動脈瘤といいます。原因の多くは高血圧と動脈硬化です。5cmまでの場合には経過観察、5cm以上になると精密検査の上、治療が必要です。

ドクターからのアドバイス

脂肪肝が疑われる方へ

ドクターからのアドバイス脂肪肝が疑われる方へ

超音波画像検査での脂肪肝の診断と、血液検査での肝機能異常がみられる場合には、食活生を中心に生活習慣の見直しが必要です。特にアルコール性脂肪肝の場合は、節酒、禁酒に気を付けることが最も大切です。

  • 甘い物を摂ったり、間食の習慣をやめる
  • 肥満の方は、まずダイエットを実践しましょう。無理のない程度に1ヵ月に1~2kg減を目標とするとよいでしょう
  • 良質なたんぱく質、野菜をきちんと摂る
  • 飲酒量を少なめにする、禁酒をする
  • 日常生活の中で、なるべく積極的に動く